"従業員体験"が求められる時代へ!スタートアップ・ベンチャー企業が導入しやすい"福利厚生"とは
数年前まで、「スタートアップ・ベンチャー企業に充実した福利厚生はそもそも必要なのか?」という時代でしたが、昨今、働き方改革や法整備等が行われ、スタートアップ・ベンチャー企業にも、"従業員体験"(企業が従業員の働く環境を整えることで、離職防止や組織の生産性向上につなげる取り組み)を求められる時代になりました。
一部のスタートアップ・ベンチャー企業の平均年収は、上場企業と肩を並べるというデータ(参考資料)が出ており、従業員体験を求められている一つの事例ではないかと思います。
昨今、従業員体験を求められているが故に、スタートアップ・ベンチャー企業が新たに福利厚生を導入しよう!となっても、上場企業と比較すると、資金(コスト)や人手(マンパワー)が足りず、結局福利厚生の導入が進まないと言う事例も多く聞きます。
そして、今回は福利厚生を導入する上で、キーポイントになるコスト・マンパワーがかからない福利厚生、つまり、スタートアップ・ベンチャー企業が導入しやすい福利厚生をまとめましたので、新しく福利厚生を導入する際の参考にしていただけましたら幸いです。
1. 福利厚生について
福利厚生は企業に「当たり前に存在するもの」という認知があるため、福利厚生の役割や内容などを感覚的にわかっているけれど、詳細は深く知らないという方も多いのではないでしょうか。そのため、まずは福利厚生について簡単に説明します。
1-1. 福利厚生とは
福利厚生とは、「福利」(幸福と利益)と、「厚生」(生活を健康で豊かなものにする)を組み合わせた言葉で、「従業員とその家族の健康で幸せな暮らしの実現」を表しています。
やや固い表現になっているので、平たく表現すると、企業が従業員に提供する「給料や賞与以外の報酬、サービス」の総称です。こちらが一般的に浸透しているものですね。
そして、一般的に福利厚生の役割は、大きく以下2点あります。
この目的に沿った福利厚生を企業がさまざまな形で従業員に提供していることになります。では、さまざまな形で従業員に提供している福利厚生はどのように分類分けできるのかを次項でお伝えします。
1-2. 福利厚生の分類
福利厚生は、「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類に分類されます。
「法定福利厚生」とは、その名の通り、法律によって企業に実施が義務づけられている福利厚生のことです。具体的には以下の項目です。
一方、法定"外"福利厚生とは法律で義務化されたものではなく、企業が任意で導入する福利厚生のことです。各企業が自由に設定できるため、法定外福利厚生の種類は多岐にわたります。多岐にわたると言っても、いくつかの項目に大別できるので、以下で説明します。
大体の福利厚生は上記のどこかの項目に分類されることを認識いただければと思います。
ある程度福利厚生について理解が深まったところで、教科書的な話はここまでにして、各企業が具体的にどんな福利厚生を導入しているかを見ていきましょう。
2. 福利厚生の具体事例
前項の「福利厚生の分類」で説明したように、福利厚生は合計6つに分類されます。その6つの項目を元にして、具体的な福利厚生を見ていきます。
※本項では福利厚生の全体感を知っていただくことを目的としているため、コストやマンパワーの詳細の話は割愛します。
2-1. 効率(備品・軽食)
1つ目は、従業員の"仕事の効率"を目的とした福利厚生の一覧です。
まず、表の説明をすると、右から大分類・中分類・制度の概要・制度の詳細・コスト(5段階評価)・マンパワー(5段階評価)・導入難易度(10段階評価)となっています。
仕事の効率を目的とした福利厚生は、日常的に使用するものが多く、実際に利用されている方も多いのではと思います。主に、仕事で使用するPCやチェア、社内コンビニなどが該当します。
2-2. 成長・キャリア
2つ目は、従業員の"成長やキャリア"の促進することを目的とした福利厚生の一覧です。
成長・キャリアに関する福利厚生は、一般的な書籍購入制度や、MBA等の研修補助の以外に、「能力開発支援金制度」や「自己研鑽手当」など、会社から特定の何かを提供するのではなく、従業員が学びたいことを支援すると言う制度が見受けられました。
2-3. 家庭(育児・介護)
3つ目は、従業員の"家庭"を支えることを目的とした福利厚生の一覧です。
家庭に関する福利厚生は、従業員のライフイベント(結婚や出産、育児等)に関わるものが該当します。
2-4. 健康
4つ目は、従業員の"健康"を保つことを目的とした福利厚生の一覧です。
健康に関する福利厚生は、主に、リフレッシュ休暇などの特別休暇や、マッサージルームの完備やジム手当など、ヘルスケア領域に関わるものが該当します。
2-5. コミュニケーション(レクリエーション)
5つ目は、従業員同士の"関係性の構築"を促進することを目的とした福利厚生の一覧です。
コミュニケーションに関する福利厚生は、比較的導入難易度が低く、多くの企業で導入されている人気の福利厚生と言えます。
2-6. その他
6つ目は、住宅手当や勤続手当など、特別手当に該当する福利厚生の一覧です。細かく言うと、これら以外にも該当する福利厚生はありますが、比較的メジャーな福利厚生を記載しています。
ここまで具体的な福利厚生まで説明してきましたが、次項以降では実際に福利厚生を導入する際に、特に気になるコスト面・マンパワー面にフォーカスしたお話ができればと思います。
3. "コスト"が少なく、導入できる福利厚生
まずは"コスト軸"で導入しやすい福利厚生を説明します。
👇 コストの5段階評価の内、「1」「2」に該当した福利厚生
結論、上記の表が"コスト"が少なく、導入できる福利厚生です。今回はコストの5段階評価の内、1、2の福利厚生が該当することになりました。一番左の大分類の項目を見ていただくとお分かりになるように、コストが少なく、幅広い福利厚生を導入いただけることがわかります。
ただ、上記の表の詳細をご覧いただくと、休暇系の福利厚生が多く、スタートアップでそんなに休暇をしてもらっては困ると言う企業もいらっしゃると思いますので、もう少しコストをかけて休暇以外の福利厚生も充実させたい、働きやすい環境を整えたいと言う方には以下の表をご覧くださいませ。
👇 コストの5段階評価の内、「3」に該当した福利厚生
4. "マンパワー"が少なく、導入できる福利厚生
続いて、"マンパワー軸"で導入しやすい福利厚生を説明します。
👇 マンパワーの5段階評価の内、「1」に該当した福利厚生
上記の表が"マンパワー"が少なく、導入できる福利厚生です。今回はマンパワーの5段階評価の内、1の福利厚生が該当することになりました。
コスト軸でみる福利厚生と比較して、マンパワーがかからない福利厚生の方が多くありました。これは福利厚生の目的に立ち返ると、理由が明瞭です。
福利厚生は一言で言うと、企業が従業員に提供する「給料や賞与以外の報酬、サービス」になるため、マンパワーはそこまでかからないが、コストがかかりやすい福利厚生の方が多くなるのは必然の結果と言えます。
5. 最後に
ここまで、"コスト"が少なく導入できる福利厚生、"マンパワー"が少なく導入できる福利厚生について紹介していきました。
最後に、コスト軸とマンパワー軸を掛け合わせたスタートアップ・ベンチャー企業が導入しやすい福利厚生をまとめてみると・・・
👇 導入難易度(マンパワー+コスト)の10段階評価の内、「2〜4」に該当した福利厚生
👇 導入難易度の10段階評価の内、「5」に該当した福利厚生
👇 導入難易度の10段階評価の内、「6〜10」に該当した福利厚生
今回のブログでは以下のような結論になります。
導入難易度が「2〜4」の福利厚生が"導入しやすい"と記載しましたが、企業ごとの課題感や状況によって、最適な福利厚生は変化していくものだと思いますので、今回の表は参考程度にご覧いただき、現時点で最適と思われる福利厚生の導入をしていただけたらと思います。
また、個人的に(コストとマンパワーを考慮した上で)導入したいと感じた福利厚生と理由を簡潔に記載しますので、こちらも参考までにご覧くださいませ。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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