採用競合はスタートアップ|大手×DX組織だからこそ採用でやるべきこと4選
昨今、大手企業様がDX推進(not 社内DX)を行うケースが増えてきました。DX組織を組成する中で欠かせないのは、エンジニアやデザイナー、プロダクトマネージャー等、デジタル人材と言われるような方々の採用です。
ただ、ご認識の通り、上述したデジタル人材はベンチャー/スタートアップ企業様も含め、どの企業様も採用したいと考えており、実際に採用活動は難航しています。
そんな中で、大手企業様がDX推進をする上で、どのようにしたら採用を成功させることができるのか、当社ポテンシャライトでの採用支援を事例にお話できればと思います。
1. 大手×DX組織の位置付け
ひとえに「大手×DX」といっても企業における位置付けは様々です。また、意外かもしれませんが、実際に複数社様の採用支援をする中で、DX組織をどのような位置付けで、社外に公開していくのかは採用成功に大きく関わる部分です。今回は大きく分けて3つの位置付けをご紹介します。
1-1. "一つの事業部"として位置付ける場合
こちらが最もオーソドックスな形かもしれません。多くの事業部がある中で、他の部署と並列で「一つの事業部」として、位置付けるイメージです。所謂、「株式会社●● DX事業部」です。
採用観点で「一つの事業部として位置付けること」のメリットは、企業のブランドを使えるという点です。
これまで既存事業で培ってきたブランドを使わない手はないと個人的には考えています。なぜなら、ブランドを使わなければ、求職者様に他のスタートアップ企業様と同じように見られてしまうからです。
ただ、詳細は後述しますが、企業のブランドをどのように打ち出していくか?は非常に重要なポイントです。「あの有名企業の●●社がDX組織を作り、採用を始めました!」と言っても、簡単に採用できる時代ではないためです。
1-2. 一つの部門の位置付けだが、"組織名が特殊"な場合
こちらはあまり多くない事例になりますが、ご紹介します。
二つ目の場合は、一つ目にご紹介した位置付けとほぼ同じですが、組織名が異なる場合です。
大手×DXを行う企業様の事業部名で、最も多いのは上述したシンプルな「DX事業部」や「デジタル戦略事業部」などかと思います。ただ、これらは多くの企業様が使用しており、事業部名だけを見たら他のDX推進を行う企業様との差別化にはなりません。
もちろん、「事業部名で差別化しなくても良い」という考えをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。ただ、事業部名は会社内外のステークホルダーに、「●●を行う組織ですよ」と最も伝わりやすく、メッセージ性が強いです。ゆえに、差別化できるポイントだと思っており、採用活動の一つのポイントです。
実例をお話すると、とても上手だなと感じている企業様は東急株式会社(以下、東急社)です。東急社は「デジタルプラットフォーム」と言う部門名で、「URBAN HACKS」はその中の組織名です。
本組織の立ち上げに合わせて、当社では約1年ほど前から採用支援を行っているのですが、メガベンチャーやスタートアップ企業様が採用したいと思うようなエンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャーなどのデジタル人材を30名以上採用することに成功しました。(現在も絶賛採用活動中です!)
これは、東急社の元々保有しているアセットがとても大きく、求職者様から魅力的に感じていただけるような事業展開をしていると言うのは間違いなくあると思いますか、組織名を「URBAN HACKS」(URBAN =「都市」HACKS =「変革」)にした事による影響はとても大きなものだったと実際に採用支援をしながら感じています。
1-3. "子会社化"する場合
こちらは企業様によって見受けられる体制かと思います。直近だと、「株式会社RIZAPテクノロジーズ」・「株式会社博報堂テクノロジーズ」・「株式会社ニトリデジタルベース」など、DX推進組織を子会社化するケースが増えています。
子会社化をするメリットの一つは、「スピード感」を早くできることです。(上述した一つの事業部にするメリットにも含まれますが)
ひとえに「スピード感」と言っても、"様々な"スピードがあります。契約の承認フローや、開発環境、人材採用の意思決定….などなど、これまで通り、大手のスピード感で行なっていると、様々な競争に負けてしまう可能性が大いにあります。
DX組織で採用活動をスムーズに行うために求められるのはいくつかありますが、その中でも「スピード感」は特に重要です。なぜなら、採用観点で言えば、"大手×DX企業様"が求める人物像と"スタートアップ企業様"が求める人物像がほとんど同じだからです。つまり、これはスタートアップの採用のスピード感に合わせる必要があることを表しています。
2. 大手×DX組織で採用を行う上で気をつけたいこと
今回、最もお伝えしたいのは本項目です。現在、大手×DX組織の採用に関わっている方や、これから関わろうとしている方にぜひご覧いただければと思います。
2-1. 「社内DX」・「情シス部門」と間違えられている
こちらは求職者様もそうですし、エージェント様にも勘違いをされてしまうケースが多いです。特に、DX組織を会社の中の一つの事業部として、位置付けている場合にこの事象が発生しやすいです。
本ブログでも、ここまで"DX推進"などの表現を使っておりますが、社内の一部のシステムをDXしたり、古くなった情報システムをDXするのかな?と勘違いされてしまいます。
ただ、無理もないかと思います。
数十年前から存在している著名な大手企業様が「DXを推進します!」と発信したら、社内のDXをするのかなと思いますし、実際に社内のDXを推進している部署もあるので、「どのようなDXをなぜ行うのか?」を正確に求職者様、エージェント様に伝える必要があることをご理解ください。
2-2. スモールチームの「機動力」を活かせていない
こちらは社内の組織体制な話ですが、上述の通り、大手×DX組織はいくつかの位置付けができます。事業部、もしくは、子会社として、ある程度組織として動きやすいスモールチームが形成されているかと思いますが、実態としてなかなか活かせていないケースも多いと感じています。
こちらをご覧ください。
上記の5つのポイントから「機動力」に限った話をすると、「決裁権」と「採用への理解」の2点が非常に重要です。
まず、「決裁権」からお伝えします。
決裁権のベストプラクティスは、部門の責任者にほぼ全権を移譲できていることと、いくつかの企業様をご支援する中で感じています。
なぜ、事業部の責任者に全権を移譲できていることが重要なのでしょうか?
採用に限った話をすると、上述の通り採用活動はスピードが命だからです。
エンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャー等の職種はどの企業様も採用したいと思っている昨今ですし、言わずもがな求職者様は複数の企業様の選考を受けています。その中で、選考フローにおけるスムーズな意思決定ができなければ、採用の競争に負けてしまう可能性が大いにあります。
ちなみに、東急社では、VPoEの宮澤さんにほぼ全権が移譲されており、とにかく意思決定のスピードが早いです。一方で、独立した組織にはなっているものの、最終決裁権が会社本体にある場合だと、意思決定のスピードがだいぶ遅くなってしまい、採用活動に大きく影響していると実感しています。
もちろん、DX推進を任せる方のご経歴や、会社の状況によって、ほぼ全権を移譲するのは難しい場合もあると思いますが、参考にしていただければと思います。
続いて、「採用への理解」についてです。
デジタル人材の採用市場についてどれだけ理解できているかが、この5つの指標の中でも、最重要です。なぜなら、採用市場への理解ができていれば、リモート環境や選考スピード、面接回数等を採用競合になりうるベンチャー/スタートアップ企業様と同じように設定するべきという感覚があるためです。
ただ、採用市場への理解をした上で大手×DX組織の採用を変化させることは簡単なことではありません。
「大手×DX」のデジタル人材の採用は、大手企業様が既存で行っている採用とは全く異なると理解しつつも、大きい組織で既存のやり方を捨てて、新しいやり方に変更するのは大きな労力がかかり、実行するところまでいけていない企業様も多い印象です。
では、どうしたらいいのかというと、詳細は大項目3でも記載しておりますが、一つは「Web・IT業界のスピード感がわかる人材が社内にいること」が非常に重要だと考えています。
"知識"として、IT業界のスピード感を理解している人と、実際にIT業界での採用を既に経験して、"体感"としてIT業界のスピード感を理解している人であれば、間違いなく後者の方が理解度、そして実行度が高いです。
最後に話をまとめると、スモールチームの"機動力"を活かすために、特に「決裁権」と「採用への理解」を抑えていただければと思います。
3. 大手×DX組織"だからこそ"、採用で行うべきこと
大手×DX組織で採用を行う上で重要なことは「誤解されない」ことです。どういうことかというと、大手企業様だと、名前を見ただけで、「あ、スピード感が遅いのかな」や「社内での調整業務が多くなってしまいそうだな」など、と第一想起されてしまうイメージがあります。そのため、まずはこのイメージを変化させにいく必要があります。
では、どうすれば求職者様に実態の組織のイメージを持っていただけるのか?という視点で、採用活動で行うべきことをご紹介します。
3-1. ザ大手企業のスピード感/価値観でないことを伝える
先ほども触れましたが、大手企業様の求人を見ると「どうせスピードがすごく遅いのではないか」と思われてしまいがちです。実際に、某大手企業様の採用活動を見ると、最終面接が"1ヵ月後"になることもよくあります。
そのため、スピード感がベンチャー/スタートアップ業界の企業様と全く一緒であることを面談・面接等で伝えることはもちろん、採用広報のメディア等でも、積極的に伝えていくべきだと考えています。
3-2. Web・IT業界のスピード感がわかる人材が社内にいる
3-1で、スピード感が早くしたいよねと言う話をしましたが、当たり前ですが、結果的に"口だけ"になってしまうのが一番良くないです。
では、どうしたらいいのでしょうか?
口だけではなく、実行できる人が必要になるため、Web・IT業界のスピード感を肌で体感し理解しており、実行できる人材が必要不可欠です。その人材が上の立場であればあるほど、権限が移譲されていき、スピード感のある組織作りを行えるため尚良いです。
大手×DX組織で、現状そのような人材がいない場合は、外部から採用するか、社内でそのような経験のある方を異動するところから始めると良いかと思います。
3-3. マインドセットを大きく変える
大手企業様は採用活動において「母集団形成」を本格的に行うことはそこまで多くないかと思います。ただ、大手×DXの採用活動においては、"採用競合"となる企業様がガラッと変わり、一気に母集団形成が難しくなります。
もう少し具体的に話をすると、特にWeb系エンジニアに対しての母集団形成が難しくなります。これまで大手企業様は社内SEやSIer出身の採用がメインのことがほとんどで、エージェント様を用いて採用が多いのではと思います。
こちらのデータをご覧ください。
上記の資料からわかるのは、離職中のエンジニアを採用できることはとても稀で、ものすごい数のオファー(スカウト)が届いているということです。
あるデータでは、Webエンジニアの有効求人倍率が10倍を超えるというデータもあります。また、Web系エンジニアと、社内SE/Sler出身エンジニアを採用できる経路は全く異なります。
そのため、これまでの採用とは全く異なるという認識を持って、マインドセットを大きく変えないと採用活動が前に進まないケースがすごく多いです。
3-4. 採用活動のスピード感を、これまでの3倍以上に上げる
3-1と少し重複しますが、上述した通り、採用活動における連絡スピードや、判断スピードが大手企業のスピードだと命取りになることが非常に多いです。
こちらをご覧ください。
今年6月に実施されたFindy社のアンケートによると、理想の選考回数は「2回以内」、理想の合否連絡は「2営業日以内」というデータがあります。
実際に複数のベンチャー/スタートアップ企業様の採用活動をご支援する中でも、このくらいのスピード感が普通で、3回以上の選考回数、3営業日以上の合否連絡になってしまうとやや多い・遅いという印象です。
そのため、採用の選考スピード、連絡スピードを従来の2倍、3倍以上に上げないと採用競合の企業様には勝てないことが多くなるかと思います。
最後に
いかがでしたでしょうか。
ここまで大手×DX組織の採用成功法について、話してきました。
今回は採用手法等のスキル的な話ではなく、マインドセット的な部分がメインになりましたが、採用成功のためにはまずマインドセットから変える必要があるため、ご紹介しました。
最後に、改めて大手×DX組織の採用で気をつけたいこと、大手×DX組織"だからこそ"、採用で行うべきことをまとめて締めくくります。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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