【実用的】媒体のデータベース枯渇時に行いたい6つのアクションを具体的に解説
「媒体のデータベースが枯渇してきたのですが、次に何をしたらいいでしょうか?」
これは、ある企業様がいただいたご質問です。
ダイレクトリクルーティングが一般的になり数年が経ち、採用ターゲットにスカウトを送りきり、媒体のデータベースが枯渇してしまう状況が最近、よく見られます。
特に母数がそこまで多くないエンジニア採用だと、その傾向が顕著に見られます。ポテンシャライトでも、合計200社を超えるエンジニア採用のご支援をさせていただく中で、このような場面には多く出会いました。
では、媒体のデータベースが枯渇したタイミングで何をやればいいでしょうか?本ブログでは、この問いに回答できればと思いますので、最後までご覧いただき、自社の採用に活かしていただけますと幸いです。
0. 「媒体のデータベース枯渇」の定義
まず、「媒体のデータベース枯渇」の本ブログでの定義を記載したいと思います。
「媒体の枯渇」と聞くと、採用可能性がありそうな全ての媒体をやりきっている状態を指したり、色々な状況を想像できますが、今回は上記のように定義付けしました。これを元に、データベース枯渇時に行うべきアクションを以下でお話したいと思います。
1. 再送の実施
まず、枯渇して行うべき一つ目のアクションは、「再送」の実施です。ただ、「再送しましょう!」と言っても、どんな"ターゲット"に、どんな"スカウト文面"を送れば良いのか?や、再送を実施するタイミングは?と思ったりする方も多いのではないでしょうか。一つひとつ見ていきましょう。
1-1. どんなターゲットに送るべき?
まずは再送対象者に優先順位をつけて、返信が見込みやすい方から注力して送付を行なっていきましょう。
下記でどんなステータスの方から優先して再送を行なっていくのが適切か紹介いたします。
※大前提、どの優先度の求職者様でも、「直近、ログインやレジュメの更新を全く行なっていない」=「Hotではない」方や、「転職意欲が全く無い」方への送付は、返信があまり見込めないため推奨しておりません。
1-2. どんなスカウト文面にするべき?
1-1で再送を行う際の優先順位をお伝えいたしました。
未開封の方であれば問題無いかと思いますが、開封をして無反応の方や辞退をした方へ同じ文面やテンプレート感が強い文面を送付しても返信は期待できません。
そのため、再送を行う際は、前回とは異なる訴求や、前回送付時と現在の自社の「変化」を求職者様のステータスに応じて盛り込むのが良いと考えています。
❶ 会社 or 会社が募集を行っていることへの認知が無い方
主にスカウト未開封の方や初回送付から期間が空いている方が当てはまる
かと思います。1のステータスの方に関しては初回送付時と内容を変えず
1からアプローチする感覚で送付を実施しましょう。
とはいえ、以前と同じ件名ではまた開封をされない可能性があるので、
件名に変化をつける必要があるかと思います。
❷ 認知はしているが、会社への興味関心が無い方
❸ 認知・興味関心はあるが、カジュアル面談に参加するほどでは無い方
主に開封済みかつ反応が無い方や、過去辞退をしている方が該当します。
これらの方々へ再送をする時は、主に「本文」の切り口を変える必要があります。本文の切り口を変える場合、いくつか方法がありますので、下記に記載いたします。
上記の手段の内、どれが最も効果を発揮するかは会社によって異なります。
まずは効果検証を実施し、相性の良い手段を模索しましょう。
1-3.いつ再送は実施するべき?
タイミングに関しては明確な解が無く、ハックしきれていないというのが正直なところですが、感覚値としては下記のように設計している企業様が多い印象です。
今回は再送3通目までのタイミングをご紹介していますが、実際にお客様の採用支援をする中で訴求軸を変えながら、再送7通目まで送るケースもありますので、「再送」は奥が深く、まだまだできることがたくさんあるのではと考えております。
※実用的なお話がしたく、再送の話だけでボリューミーになってしまいましたが、ご了承ください。。。
それでは、2つ目のアクションを見ていきましょう。
2. 可能性がありそうな媒体を全てやりきる
再送が終わった後のアクションは、「可能性がありそうな媒体を全てやりきる」ことです。(再送と可能性がある媒体をやり切ることの優先度は、企業様の状況によって変化する部分かと思います。)
Web系エンジニアの採用を例にして話していきましょう。
上記のようなエンジニアを複数名求めている場合、一つの媒体運用だけではなかなか採用が難しいです。
例えば、上記の人物像であれば、Findy・Forkwell・LAPRAS・転職ドラフト等が該当するかと思います。Forkwellで1通目のスカウトを送付しきった場合、大項目1でお伝えしたように再送を行いつつ、可能性がありそうな媒体(今回の人物像であれば、Findy・LAPRAS・転職ドラフト等)で優先度を付けて媒体運用を行うことが重要です。
イメージとしては👇の表のように、タイミングをズラして各媒体使用すると枯渇感もなくうまく使用できるかと思います。媒体運用の優先度は運用工数や媒体料金を鑑みて、選択することをおすすめしています。
3. スカウト送信対象者のキャリアの幅を広げる
可能性がありそうな媒体をやり切るまでに、一定の期間がかかるかと思いますが、ここまでやり切った後に、次に何をするべきかというと、「スカウト送信対象者の幅を広げる」ことです。
スカウト送信対象者を決めるにあたり、必須要件をどの企業様も選定しているかと思います。その必須要件を「下げたり、広げる」ことが枯渇時の3つ目のアクションとしてやるべきことだと考えています。
3-1. 必須要件を「下げる」とは?
これは文字通り、設定していた必須要件を「下げる」手法になります。例えば、「開発経験年数を5年から3年にする」「法人営業経験から営業経験に変える(法人営業経験無し)」などです。
エンジニア採用を少し深ぼると、「Go経験者のみ」から静的型付け言語を経験している人ならOK(つまり、Java or Go等の経験者)と、することも該当します。この手法はどの企業様も試していらっしゃるかと思うので、詳細の説明は割愛します。
3-2. 必須要件を「広げる」とは?
どの企業様も当該職種の「実務経験者」を採用したい気持ちがあるかと思いますが、そのポジションは異なる職種の経験者でも対応できることはないでしょうか。
例えば、2018年頃から一気にトレンドとなったカスタマーサクセス職について。SaaS業界のカスタマーサクセス経験がある方はもちろんターゲットかと思いますが、2023年現在であっても、ドンピシャの経験者の採用は難儀です。では、どのような職歴がある方がカスタマーサクセス職として適しているのか?例えば、と言う前提条件をつけて下記してみます。
などがあります。これらの職種に「広げた」場合、スカウト送信対象者が増えます。
ここまでは「職種」軸で必須要件を広げることについてご紹介しましたが、他にも、年齢を「30歳〜40歳」から「28歳〜50歳」に広げたり、居住地を「関東圏」から「全国」に広げることで、スカウト対象者を増やすことができますので、お試しいただければと思います。
ここまでの媒体枯渇時のアクションを表で整理してみましょう。
4. "タレントプール"の本格的な実施
大項目3までは採用媒体でのスカウトをどのように運用していくかという話がメインでしたが、ここからは話がガラッと変わり、4つ目のアクションは、"タレントプール"の本格的な実施です。(ここからはポテンシャライトの既存のnoteを一部抜粋しながら、端的にアクションをご紹介していきます。詳細は下記でご紹介しているnoteをご覧ください。)
HR業界に関係のある方なら1度は耳にしたことがある「タレントプール」ですが、多くの企業が「活用」の方法を探している状態ではないかと思っております。
詳細は以下の記事をご覧いただけたらと思いますが、本ブログではタレントプールの全体像・作り方・運用方法の概要をお伝えします。
4-1. タレントプールの全体像とは?
まずは全体像をお伝えします。
結論としては、以下の4つのステップを行えばOKです。
海外と国内の事例を調べまとめてみたところ、全体の流れはどの企業も大きな変化はありませんでした。では次に、タレントプールのリストにはどんな人を入れればいいの?カジュアル面談から入れるの?最終面接まで行った人だけ?など、リストの作り方をお伝えします。
4-2. タレントプールの対象になる人とは?
当社の考えでは、下記の基準でタレントプールに追加した方が良いと考えています。
上記の基準で追加する理由は、タレントプールは「媒体でのスカウト」などの短期的な採用施策ではなく、中長期的な採用施策であるためです。
もし、「すごく採用したい!」と思った方が他社の就業を選択したとしても、その方のお人柄やスキルが数年以内に採用ターゲットでは無くなる可能性は低いです。(詳細は大項目5で後述しますが、プール系の施策は中長期的な施策であるため、現時点でスキルが足りない人=不合格になった人もプールに追加することが必要だと考えています)
4-3. どのようにアプローチするべきか?
結論からお伝えすると、求職者様の状態によって、どのようなアプローチを取るべきかが変わってきます。👇をご覧ください。
ステータスごとに取るべきアプローチを変えましょうという話ですが、その求職者様のお人柄や関係値に合わせて、アプローチ方法を策定することをおすすめします。
ここまでアプローチ方法をお伝えしましたが、最後に、「どれくらいの周期で求職者様に連絡をするべきか?」について補足します。
こちらも、求職者様との関係値や転職意欲への温度感によりますが、転職意欲の"低い"方には大体「3ヶ月に一回」くらいのイメージで、転職意欲の"高い"方であれば、「1ヶ月に一回」くらいのイメージで連絡できると良いかと思います。
5. "ポテンシャルプール"の実施
続いて"ポテンシャルプール"の実施です。
あまり聞き慣れない方もいらっしゃるかと思いますので、まずは定義からお伝えします。
ここでのポイントは「将来的に」と言う部分です。つまり、「今」はタレントプールに格納するレベル感ではない求職者様になります。
では、大項目4でお伝えした"タレントプール"との違いをみていきましょう。
👆 上記をご覧いただけると2つの違いをご理解いただけるかと思うのですが、主に以下の項目が異なります。
ポテンシャルプールが「選考不合格者」を対象としており、タレントプールは「選考離脱者」を対象としています。この2つの概念の違いとしては、「選考に進んでいるか否か」「選考結果が出ているか否か」です。
ただ、比較的近しい概念と言えると思いますし、運用手法もそこまで大きな違いはありません。(運用手法は大項目4でお伝えしている通りです)
改めて、大項目5の企業様の状況を整理すると、
可能性のある採用媒体でのスカウトを再送まで実施しており、新規の登録者のみこちらからアプローチできる状態です。ただ、新規登録者のみのアプローチでは、採用計画の達成が難しいことが多く、一度選考に進んで辞退された方(タレントプール)が次点の対象となり、その次に、一度選考に進んでいてお見送りになった方(ポテンシャルプール)も対象にした方が良い、というご理解いただければと思います。
本ブログでは、ポテンシャルプールの概要のみしか触れませんが、以下2つのブログではポテンシャルプールの詳細についてアウトプットしておりますので、ご覧頂ければ幸いです。
6. "リファラル採用"の本格的な実施
最後、6つ目のアプローチはリファラル採用の"本格的な"実施です。あえて、"本格的"という単語を用いたのですが、多くの企業様でリファラル採用は既に行なっているかと思います。ただ、どこまで本格的に運用されていますか?と聞かれて、「イエス」と答えられる企業様はそこまで多くないのではないでしょうか。
ということで、本格的にリファラル採用を導入するにあたり必要なステップ・運用方法についてお話できればと思います。(詳細は下記でご紹介するブログをご覧いただければと思いますので、本ブログではよくご相談をいただくかつ、重要な最初の2つのステップのみ抽出してお話いたします。)
6-1. どのようにリストの作成すれば良い?
まずは今、SNS等で繋がっている人の確認や、メモリーパレスを行い、採用ターゲットとなりうる方のリストを作成してみましょう。このターゲットリストは自社でシートを作成しても良いですし、専用のツールを導入いただいても良いかと思います。
下記にて、試しにアプローチ管理表を作成してみました。
ステータスや関心度合いを可視化することで、選考に進むことになった際もどんな興味度か事前に知ることができますので、参考までにご覧ください。
ターゲットリストの作成において重要なことは、なるべく多くの人を洗い出してみることです。ターゲットリストが全ての土台になるため、「まずは可能性が少しでもありそうな人は書き出してみること、書き出した後に実際にどんなアプローチをするべきか決める」というやり方が中長期的にリファラルを運用していく上でおすすめです。
6-2. どのように運用すれば良い?
皆さん、ご存知かと思いますが、リファラル採用は「運用」が全てと言っても過言ではありません。
その前提のもと、どのように運用するべきかというと、毎週もしくは隔週のタイミングで採用定例ミーティングを行い、リファラルの状況を随時確認する時間を作り、リファラル採用について定期的に考える・触れる機会を作ることが重要です。この時間では、主にアプローチができていない方にどのようなアプローチをするべきかという議論やアドバイス等を行います。
ここで、あるベンチャー企業様の運用事例をご紹介します。
その企業様は毎週、必ず採用定例ミーティングをマネージャー以上のメンバーで行い、リファラル採用の状況確認を詳細に行なっていました。「詳細に」というのは、各メンバーのリファラル候補となりうる方、一人ひとりの現在のアプローチ状況を確認して、今週〜来週にかけてのネクストアクションを決めるという運用をしていました。その結果、定期的にリファラル採用を成功できたという事例です。
リファラル採用の運用の難しさとして、「工数が取れずにアプローチを継続できない」という課題をよく聞きますが、マネージャー以上が集まる会議体でネクストアクションができていないという状況は避けたいから、ネクストアクションをやってくるという心情もあったことと思います。
また、会社としてリファラル採用を本格的に取り組むのであれば、やはり経営陣やマネージャークラスがまずは本気にならないと、組織として継続的に運用していくのは難しいので、色々な状況を鑑みた上で本格的に実施するタイミングをいつにするかは決めていただけると良いかと思います。
※本ブログではここまでとしますが、リファラル採用についてさらに深く知りたいという方は以下の記事をご覧くださいませ。
番外編|採用マーケティングはどのタイミングで行うのか?
だいぶ長くなってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございます。最後、番外編としてもう少しだけお付き合いください。
よくお客様からいただく質問として、「採用マーケティングはどのタイミングで力を入れて行うべきでしょうか?」というご質問があります。本ブログをご覧いただいている方も、同じように思われていらっしゃるかもしれません。
まず採用マーケティングという言葉の定義が広いので、定義付けをすると当社では以下のように定義しています。
つまり、貴社を「認知」して「興味」を持ってもらって「応募」に至るまでに求職者様にどのような手法を用いて魅力を伝えるのか、そのフェーズにおけるアクションを指します。
採用マーケティングの「手法」を一部ご紹介すると、
などが、該当します。
本題に戻ると、これらの手法をどのタイミングでやるべきか?というこの問いの明確な正解はありませんが、早ければ早いほど求職者様に対して認知や興味をしていただけるので、早い方が良いかと思います。
今回の6つのステップで申し上げると、大項目1の「再送」の"前"から実施すべきアクションもあれば、大項目4の「タレントプールの本格的な運用」辺りから実施すべきアクションもあります。表で整理すると、👇のようなイメージです。
「いつ行うべきか?」というより、媒体運用と並行して随時行うことが重要だと考えているため、上記のような表を作成しました。
結果的に、採用媒体の運用と採用マーケティング活動、両輪を回している企業様の採用がうまくいっていることが多いため、両輪を回すためにどうしたら良いのか?を一度考えてみてはいかがでしょうか。
最後に
いかがでしたでしょうか。
改めて、媒体のデータベース枯渇時に行いたい6つのアクションを整理すると、👇の通りです。
6つの施策+採用マーケティングについて説明しましたが、それぞれの施策において工数や効果が変わりますので、👇にてそれぞれ整理しました。参考までにご覧くださいませ。
冒頭にお伝えしましたが、今回、ご紹介した6つのアクションはそれぞれの企業様の状況に応じて、行うべきアクションは変化することがありますので、現状を鑑みてベストであろう選択をしていただければと思います。
最後まで、ご覧いただきありがとうございました!
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