1からPdM採用を始めるあなたへ。【プロダクトマネージャー採用の教科書】
昨今、「プロダクトマネージャー(以下、PdM)」の採用を行なっている企業が多くなっているように思います。スタートアップ/ベンチャー企業の採用支援を行う当社にも、「PdMの採用に困っているので、知見を貸していただきたい」というお問い合わせをいただくケースが増えています。
「プロダクトマネージャー(PdM)」という職種自体がここ数年で出てきている言葉ですので、どのように採用するのか、そもそもPdMは転職市場にいるのか?という疑問が多くの企業で生まれているのでは思います。
そこで今回は、PdM採用に必要な前提情報や施策、手法について本noteで説明いたします。PdM採用をゼロから始める方にも、本noteを読んで全体感を理解していただければと思っています。
※先日当社メンバーの寳田がエンジニア採用をどのようなステップで、進めたら良いのかというnoteを執筆し、そのnoteを参考に今回の記事を執筆していますので、構成は似ています。
1. PdM採用を進める前に把握しておいたほうが良いこと
PdMを採用するための手法を公開する前に。
1-1. PdM採用の市場について
「PdMの採用が盛り上がってるよね」と、昨今言われていますが、実際、PdMの求人がどれくらい募集されているのかご存知でしょうか?あくまで参考例ですが、転職サイトのGreenで、「プロダクトマネージャー」という職種で募集している求人を検索をしてみると、、
「637企業1231求人」
でした。これを見た時、普段からPdMの採用に携わる者として、「え、こんなに、多いの、、!!」と感じました。(読者の方はいかがでしょうか...?)
業界をIT系に絞ったら、もう少し変化するかと思い、検索してみると、、
「600企業1163求人」
でした。あまり変わりませんでした。
ただ、ご安心ください。
求人を細かく見ていくと、”プロジェクト”マネージャー(以下PM)、プロダクト”マーケティング”マネージャー(以下PMM)、新規事業責任者、エンジニアなどの求人も含まれていたので、おそらく”プロダクト”マネージャー(PdM)は上記の求人の10%くらいかと思います。つまり約100求人と言えます。ただ、それでも、100求人以上はあります。
言い換えると、PdMの採用は、人材要件が高い上に、100以上の企業が採用競合になりうるということです。その中で、求職者様にどのように自社の魅力を知っていただくかが鍵になります。
本項では、PdMの採用は多くの企業が行なっており、簡単に採用できるポジションではない。ことを認知していただければと思います。
※ "プロジェクト"マネージャー(PM)と"プロダクト"マネージャー(PdM)の違いについて知りたい方は以下の記事をご覧ください。
1-2. PdMの対象となる職種
本項では、話はがらっと変わり、「PdMの対象となる職種」について話します。
冒頭でお話した通り、「プロダクトマネージャー(PdM)」という言葉自体が、ここ数年で出てきた言葉です。では、PdMという職種には、どのようなキャリアの人が該当するのでしょうか。この点を説明いたします。
本項は、PdM採用をする上で、重要な部分です。なぜなら、PdMを経験していて、転職活動をしている人がそもそも市場に少ないからです。求人の必須要件が、「PdM経験のある人のみ」だと、なかなか採用に至りません。
PdM経験者の採用は難しい。となった時に、次はどのような経験を持った人をターゲットにするのかを事前に知っておく必要があるので、PdMになるためのキャリアプランについて理解しましょう。
👇下記の図をご覧ください。
上記の図の通り、PdMになるためのキャリアはいくつかあります。(もちろん、上図以外の職種でも、PdMになれるケースはありますが、一般的には上記の職種が多いです。)
当社が採用支援している企業様のPdMの求人を集約し、分析したところ、PdM経験者以外であれば、開発経験のあるPM経験者や、UXデザイナー経験者まで、幅を広げている企業様が多かったです。
1-3. PdM採用の理想的な進め方
ここまででPdM採用の実態を把握いただけたかと思いますが、このような難題ばかりのPdM採用だからこそ採用に注力する「前」にやるべきことをやっておきたいですよね。
PdMに関わらず、一般的な採用活動の流れはこちら👇
上記を踏まえ、PdM採用を行う会社のほとんどの進め方はこのような手順になるのではないでしょうか?
「スカウトの返信が来ないんです・・・」「応募が全くで・・・」というご相談はPdM採用においては特に多いです。しかし、PdM採用を実際に開始する「前」にやるべきことはいくつかあります。ここまでできたらベストというような理想的なPdM採用の進め方はこちら👇
採用開始前に、自社でPdMとして働く魅力やプロダクトの状況含めた事実をなるべく整理しておくことをおすすめします。
2. PdM採用における全施策を並べてみた。
さあここからが本題です。一体、PdM採用において取り組むべき施策・取り組んだほうが良い施策はいくつあるのか。まずはPdM採用において出来ることを項目別で洗い出してみました。
それがこちら👇
これをレベル別にまとめてみると・・・
レベル5に近づけば近づくほどPdM採用において「強者(レベル高)」になるイメージです。(個人的な所感ですが、レベル5まで到達している企業はほとんどないかと思います。)
PdM採用の場合は自然応募を待っているだけでは、応募は見込めません。そのため、各社ダイレクトリクルーティング(=スカウト)を実施しているかと思います。が故に採用マーケティング・スカウト設計(スカウト文面作成や、各媒体でのスカウト)が重要になってきます。
3. キャリア別の採用施策
ここまでPdM採用の大枠について、触れてきました。大枠がわかっても、具体的な採用戦術や手法を理解しなければ、採用成功は難しいです。ということで、本項では、上記の施策を参考にした上で、キャリア別のPdM採用の施策について説明いたします。
キャリア別の採用施策は大きく2つに分かれます。ターゲットから逆算したインサイト/メッセージング設計、採用手法です。
それぞれのキャリア別採用施策の話をする前に、まず、インサイトとメッセージングとは何かを簡単にご紹介します。
そして、インサイトとメッセージングは、6P+CGM+Techという当社が提唱している魅力設計のフレームワークに基づいて分けられると考えています。(今回は一部をご紹介します。)フレームワークを用いて、インサイト、メッセージングの設計をすることがターゲットから逆算したインサイト/メッセージング設計を表しています。
インサイトとメッセージングについて、詳細を知りたい方は以下の記事をご覧ください。
続いて、キャリア別PdM採用手法の一覧をご覧ください。
👇こちら
上記では、6つの職種からPdMへのキャリア別採用手法をまとめていますが、ターゲットから逆算したインサイト~メッセージングの設計は4つのキャリアに絞って紹介します。
3-1. 現職がPdMの人向け
それでは、ここからキャリア別の採用施策の話をしていきましょう。まずは現職PdMの人から。
3-1-1. インサイト/メッセージング設計
上述した6P+CGM+Techの魅力設計のフレームワークを用いて設計してみましょう。
※インサイト、メッセージング共に、1つというケースはないですが、文量がとても長くなってしまうため、今回は1つのみ記載いたします。
3-1-2. 採用手法
上図の通り、現職がPdMの採用手法は以下の大きく6つあると考えています。
WantedlyとGreenを○にしているのは、当社が採用支援をする中で、PdM経験者を採用できる可能性が特に高い採用媒体のためです。PdM経験者を採用したい際は、ご参照ください。
3-2. エンジニアからPdMになりたい人向け
次にエンジニアからPdMになりたい人向けのご紹介。
3-2-1. インサイト/メッセージング設計
個人的な所感ですが、エンジニアからPdMになりたい人は、まだそこまで多くないと思っています。ただ、一定数、プロダクト企画やディレクションに興味を持っているエンジニアがいるのも事実です。採用媒体のプロフィールを見て、プロダクト企画やプロダクトマネジメントに興味を持っているかを見分けるのは簡単ではないですが、一意見として捉えていただければと思います。
3-2-2. 採用手法
上図の通り、エンジニアからPdMを目指している求職者様の採用手法は以下の大きく7つあると考えています。
Forkwell、Findy、LAPRASは、エンジニアに特化した媒体ではありますが、エンジニアからPdMになりたい人が現状そこまで多くないため、△にしています。(エンジニア採用の求人媒体としては、◎です。)
※エンジニアにおける採用手法を知りたい方は以下の記事をご覧ください。エンジニア採用でやるべきことが網羅的にまとまっています。
3-3. デザイナーからPdMになりたい人向け
デザイナーもエンジニア同様、PdMを目指す方はそこまで多くないですが、直近、デザイナーからPdMになるケースをいくつか見ましたので、今後増えてくるのではと思います。
3-3-1. インサイト/メッセージング設計
3-3-2. 採用手法
上図の通り、デザイナーからPdMを目指している求職者様の採用手法は以下の大きく5つあると考えています。
既に、ご理解されている方も多いかもしれませんが、Green / Wantedly / エージェントはPdM採用には必須の採用経路になっています。
少し話がずれますが、エンジニア/デザイナー/ビジネス出身のPdMで、これから最も重宝されるのはデザイナー出身ではないかと個人的には思っています。理由は、これからさらにユーザー体験をどのように向上させるかが重視されるためです。物が溢れている時代であり、コモディティ化していくサービスの中で、競合サービスに打ち勝っていくためには、ユーザー体験(UX)の良さは欠かすことができません。ただ、あくまで個人的な意見ですので、一意見として捉えていただければと思います。
3-4. ビジネスサイド(営業/マーケター等)からPdMになりたい人向け
3-4-1. インサイト/メッセージング設計
3-4-2. 採用手法
上図の通り、ビジネスサイド(営業/マーケター等)からPdMを目指している求職者様の採用手法は以下の大きく5つあると考えています。
ここまでリファラルについて触れていませんでしたが、PdMをリファラルで採用できるケースはそこまで多くないため、全て△にしています。リファラルの仕組みを構築(紹介制度等)しつつ、求人媒体やエージェントを活用して採用活動を進めていくのが最も効果的な手法ではないかと思います。
ここまでキャリア別PdMの採用施策についてお伝えしました。
4. PdM採用の3つの落とし穴
最後に、PdM採用における落とし穴をご紹介しますので、ご参考いただけたらと思います!
4-1. PdM経験者に固執した採用を続ける
PdMは他のポジションと比較しても、会社として重要な役割を担うことが多く、要件を下げたくないのはとてもわかります。ただ、PdMを採用できずに、事業を停滞してさせてしまうことを最も避けたいはずです。
急募している状況でなければ、必須要件を変えないという選択もありかと思いますが、急募の場合は、「今、採用したい人は本当に、PdM経験者でなければいけないのか?」ということを改めて考えてみる必要があります。例えば、MustとWantでPdMに任せたいことを分けると、どのような強みを持った人を採用するべきなのかがより明瞭になるケースがあります。
4-2. ターゲットを想定した魅力設計をせずに、採用活動を始める
見出し1-3の「一般的な企業のPdM採用手順」の図でご紹介したものを行なっているパターンです。自分たちのプロダクトがイケてるから、会社のブランドがあるから、媒体に転記して、スカウト開始すれば採用できるよね。と思っていたら、痛い目を見ます。
冒頭でお話したようにPdMの求人は100以上あります。そして、PdMは転職市場にほとんどいません。そういう状況下で、ただ、媒体転記をして採用活動を開始するのは戦場に武器を持たずに行くようなものです。
そのため、まずはターゲットを設定し、インサイト/メッセージングを設計する必要があります。
4-3. 代表の思想に共感できず、採用に至らない
PdMと会社の代表は大きく関わります。そのため代表の思想に共感できず、なかなか採用できないケースがあります。下記にて詳細を説明します。
PdMは職種名の通り、プロダクトの成功を担う責任者です。そのため、プロダクト開発や企画における意思決定においては、代表よりも決定権を持つ場合もあります。(会社によりますが)
一方、プロダクトを主語にして考えると、プロダクトは「会社の顔」と言っても過言ではありません。つまり、プロダクトには代表の思想が大きく反映されることを意味します。そのため、代表とPdMが目指したい世界観を入社時に、共有できるかは大きな鍵になります。そこで思想に共感できなければ、採用に至らないということです。この点は忘れてはならないポイントであり、重要なポイントであるため、3つ目の落とし穴として記載しました。
5. 最後に
いかがでしたしょうか。
PdM採用に必要な前提情報や施策、採用手法に触れてきました。PdM採用に悪戦苦闘している方々に読んでいただけたら嬉しいなと思います。
PdM採用について勉強中ですし、これからさらにトレンドになってくる領域だと思いますので、引き続き情報をアップデートしていきたい思いが強いです。
ぜひPdM採用を主導されている方、PdMの方、情報交換しましょう。
長文でしたが、最後までご覧いただき、ありがとうございました!
また、当社の採用/人事組織系支援にご興味がある方はお気軽にお声掛けください。
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