0→1、1→10、10→100。フェーズが変化する際に打ち出すべき魅力の考え方の一案
こんにちは。ポテンシャライトです。
12月は「Potentialight Advent Calendar 2023」と題して、25日まで毎日(営業日)ブログを公開する企画を実施中です!
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全てのまとめnoteは [こちら]!では、本ブログをご覧ください。
先日、下記のブログを弊社代表の山根が執筆しました。
このブログを一言でお伝えすると、「各魅力項目において、フェーズ別で甲乙をつけることができる」ということです。
企業はシード→シリーズA、シリーズB、C、D、上場….というように、成長していくにあたり、言わずもがな事業も組織も変化していきます。ここで課題になるのが求める人物像も変化していく中で、「企業の魅力をどのように見せていくのか?打ち出していくのか?」ではないでしょうか。
そこで、今回は上記のブログをベースにしながら、0→1、1→10、10→100フェーズにおける採用活動で打ち出しやすい魅力をお伝えできればと思いますので、ぜひご覧ください。
1. [おさらい] 魅力項目である「6P+SMC GODB」について
詳細はこちらのブログに記載しておりますが、2023年2月に当社から新しい魅力項目の発表をしました。
「6P+SMC GODB」です。
上記は、新しい魅力項目を整理している図になりますが、当社としてはこちらの項目を魅力項目の最新版として定義しています。
文字で記載すると下記のイメージです。
2. [おさらい] 一般的にフェーズごとにどのような魅力が打ち出せるのか?
本項の内容は本ブログの冒頭に記載をした山根執筆のブログに詳しい話を記載していますが、概要のみお伝えします。各魅力について「フェーズ」を意識してみると、いくつかの発見がありました。結論をお見せします。
上記の表は、縦軸を魅力の項目、横軸をフェーズで作成したマトリックスです。各フェーズにおいてどの魅力が該当するかをチェックしました。
当たり前ですが、フェーズが浅い頃はオペレーションも整っていないでしょうし、ブランド形成もできていません。また、福利厚生も充実していないことのほうが多いと思います。一方で、フェーズが深くなるとあらゆる魅力のカードを提供することができることは、なんとなくご理解いただけるかと思います。ただ、ここでこのような疑問を覚えました。
「フェーズ別に打ち出すことができる魅力の重み付けが異なるのではないか?」
ということ。
philosophyは、アーリーフェーズにおいて確固たる内容になっているのか?シリーズCくらいのフェーズになると固まっている気がする。一方で、メガベンチャーになると事業が多角化するため、philosophyがややぼんやりしたり形骸化したりするのではないか?
personについてはどうか?アーリーフェーズにおいては面接に登場した社長やキーパーソンと毎日顔を合わせて働くことになると思いますが、フェーズが深くなってくると、入社して社長と話す機会はほぼないかもしれません。つまり、面接官の方に惹かれて入社をしたとしても、結果的に入社するか否かのジャッジをする場面で有効的な魅力にならない可能性もあります。
など、各魅力の「重み付け」は、フェーズの浅い深いが起因していると感じたのです。そこで下記を作成してみました。
上記の表において、数値が大きければ打ち出しやすい魅力。一方で、数値が小さければ打ち出しにくい魅力として記載しています。ただ、数値が小さければ魅力として打ち出すことができないわけではありません。数値が小さい/数値の記載がない箇所において魅力をうまく発信している会社もありますし、数値が大きいのにもかかわらず、あまりうまく魅力として打ち出していない会社も存在しています。
ここまで一般的にフェーズごとにどのような魅力を伝えられるか?という概要をお伝えしてきましたが、ここからが本ブログでお伝えしたいコトです。
3. フェーズごとに変化する「ヒト」・「モノ」・「情報」
前段の話がやや長くなりました。ここからは、別角度でフェーズごとに変化する項目や打ち出すべき項目についてお話したいと思います。フェーズが変化しているいくつかの企業事例を調査したところ、4大経営資源の中で「ヒト」・「モノ」・「情報」の変化に応じて打ち出す魅力を変化させられると良いのではないか?というのが今回の話の結論です。
3-1. 「ヒト」 20名→50名→100名の変化
まずは「ヒト」から。事業体によりますが、会社が成長していくことと、人材の採用はある程度比例関係にあるかと思います。上記で触れましたが、人の魅力は「規模が大きくなると伝えにくくなる」と記載しています。ただ、これは「アーリーフェーズで面接に登場した社長やキーパーソンと毎日顔を合わせて働くことになることが多いが、フェーズが深くなってくると、入社して社長と話す機会はほぼないかもしれない」という場合の話です。
では、組織の規模が大きくなっていく上でどのように魅力を打ち出すことができるかの一案を本ブログでお伝えします。少し回り道をして結論をお伝えさせてください。
突然ですが、皆さん「BTD」という言葉はご存知でしょうか?
「BTD」は上記の言葉の頭文字をとった略語です。昨今の市場において、Businessだけに長けていても、Technologyだけに長けていても、Designだけに長けていても、事業はうまくいかないことを謳いたいゆえに出てきた言葉、と個人的に認識しています。※「D」を「C」(Creative)と表現されることもあります。
組織において事業の進め方・強み・価値観は様々かと思いますが、プロダクトを開発している企業において各職種(領域)が縦割りになっていては円滑に事業を進めることはできません。
仮に、
と定義した際に、この3つの職種において価値観がマッチする人材が揃っていたとしたら、非常に仕事がしやすい環境が揃っているのではないかと思っています。(参考ブログはこちら)
少々回り道をしていましたが結論をお伝えすると、BTD(ビジネス/テクノロジー/デザイン)・ファイナンス・マーケティングなどの事業を継続的にグロースさせていく中で必要な要素において、経験の深いメンバーが在籍していることをお伝えできると良いでしょう。
20名前後のフェーズでは経営陣(特にCEO)が先頭に立ってメディアに出たり、広報やPRを行うことが多いかと思いますが、50名、100名と人数が増えるにつれて各領域においてどのようなメンバーが在籍しているのかは候補者さまにとって気になるポイントです。
もちろん、ミッション/ビジョンなどの発信は継続的に経営陣が行なっていく必要があるかと思いますが、フェーズが変わる際の一つの打ち出し方として各領域にどのようなメンバーが在籍しているのかを意図的に打ち出せると良いと思っています。
3-2. 「モノ」 0→1、1→10、10→100の変化
続いて、「モノ」について。今回は「モノ」を「事業」と捉えて説明します。詳細は以下に記載していますが、各フェーズによって事業の攻め方/作り方が変化する中で、社外にどのように事業を打ち出していくかはとても重要なポイントです。
まず、事業フェーズは大きく下記4つに分かれると言われます。
また、0→1、1→10という表現で投資フェーズを分けると下記のようなイメージです。(さらに詳細まで分けることができたり、企業の状況によって若干異なる部分もあるかと思いますが、大枠のイメージとして捉えて頂けたらと思います)
0→1フェーズのときには見えなかったものが、1→10、10→100フェーズになって見えてくるものがたくさんあるでしょう。(各フェーズの特徴について、より具体的に知りたい方はこちらをご覧ください。)
例えば、0→1フェーズで作成していたミッション/ビジョンが、1→10フェーズになると解像度が上がりより詳細なミッション/ビジョンを描けるようになることも多々あると思いますし、単一プロダクトがマルチプロダクトになりプロダクトが価値提供できる範囲が大幅に広がることもあるかと思います。
これら以外にも事業フェーズが変化することで多くの変化があると思います。そのため、変化した部分をそのまま伝えることも重要ですが、求める人物像から逆算した上でどのような変化(魅力項目)をどのように伝えるかを考えていただけたらと思います。(大項目5の落とし穴の話につながります)
3-3. 「情報」 データは21世紀の「新たな石油」
ご存知の方も多いと思いますが、20世紀は石油が経済を支配した時代でしたが、21世紀はデータが経済を支配する、と言われています。GAFAMを中心に顧客の検索履歴や購買履歴などをもとに、該当ユーザーが関心を持っている商材などを広告として見せることで多くの売上を生み出しています。
最近はAIのトレンドがありますが、事業成長に応じて生まれた多くの顧客データを収集・加工・分析・導入・運用するという流れが自社プロダクトを持っている企業を中心にあります。ひいてはデータをどのように活用して、新しい価値を生み出せるかは各社の事業戦略において必要不可欠になっているのではないでしょうか。
一般論的な話になってしまいましたが、フェーズが深くなることで徐々にデータの蓄積がされてくるかと思います。データを用いて将来的にどのような事業戦略を考えているかを伝えることで、候補者さまのプロダクトの見方やプロダクトの可能性が広がる一つの要素になりえますので、魅力の打ち出しの参考にしていただけたら幸いです。
4. 実際のスタートアップ企業の事例を紹介
事業フェーズの変化に伴い、魅力の打ち出し方を変化させたスタートアップ企業の事例を2つご紹介できればと思います。
まず一つ目は、現在シリーズCのSaaS企業さまの事例です。こちらの企業さまはやや珍しい事例かもしれませんが、経営陣が30代がメインということもありアーリーフェーズから「スタートアップでも家庭と仕事との両立ができ、働きやすい環境を整えている」という打ち出しを当時していました。実際に「家庭と仕事との両立・働きやすさ推し」が響いて、採用活動もうまくいっていました。
ただ、シリーズがAからBに上がるくらいのタイミングで、資金調達のリリースを行なった影響や福利厚生などを発信していたこともあってか「働きやすさの履き違え」が出てきてしまいました。ミッションやビジョンにおいても、最初から在籍しているメンバーと直近入社したメンバーで理解のニュアンスが若干異なることがあるかと思いますが、それと同じく、「働きやすさを優先できる」というニュアンスに変化してしまったという形です。まだシリーズBということもあり仕事への一定のコミットを求めていたため、予期せぬ出来事でした。
そしてこの課題に対して、0→1、1→10の訴求や仕事へのコミットに関する訴求を新しい採用広報の公開や求人票の記載内容をアップデートなど、さまざまな手段を行い、徐々に企業側が候補者さまに与えたい印象を与えられるようになりました。
次に2つ目は、現在シリーズBのSaaS企業さまの事例です。フェーズの変化により採用ターゲット/求める人物像が変化し、魅力の打ち出しを変化させた事例です。
シリーズA前後までのフェーズでは各領域のシニア層を採用するために、メディアで経営陣の過去の経歴(外資コンサルやMBA等)を全面に打ち出し、優秀な経営陣がいることをメインに打ち出していました。実際に元々採用したいと思っていたシニア層の採用につながりました。
そして、フェーズの変化に応じて採用ターゲット/求める人物像が変化(シニア層→ポテンシャル層)するにあたり、最初は同じ魅力の打ち出しで採用を行なっていたのですが、ここで壁にぶつかりました。
一言でいうと、ポテンシャル層の候補者さまには入りにくい組織になっていたということです。優秀な経営陣と一緒に働くことができるのは魅力になる一方で、「教育/研修体制がどれくらい整っているのか?」や「自分自身が活躍できる場があるのだろうか?」という疑問が湧き、一歩踏み出しにくい状況だったというイメージです。
このような課題に対して実施したアクションは、経営者の経歴ではなく、マネージャーやメンバークラスのインタビュー記事や、どのようなキャリアでも輝ける環境があるという打ち出しに変化させたことによって、ポテンシャル層の入社のハードルを下げることに成功し、採用活動が順調にいくようになりました。
実際の企業さまの事例を通して魅力の打ち出し方のイメージを深めていただけましたら嬉しいです。
5. フェーズの変化において魅力の打ち出しにおける「落とし穴」
ここまでフェーズの変化において、どのように魅力を打ち出していけば良いかを話してきましたが、最後に「落とし穴」についてお伝えします。
結論をお伝えすると・・
「良いところばかりをアピールしすぎない」
ことです。
一般的にはフェーズが変化することは良いことが多いです。事業は成長しているし、資金調達額も増えることが多いですし、優秀なメンバーも集まります。それに伴い、PRや広報も増え、認知度を広めるための良い機会になります。また、フェーズが変化することは会社にとって一つの区切りでもあるため、しっかり発信していくべきでしょう。
ただ、良いところばかりをアピールをすると、社外と社内の認識のギャップを引き起こしかねません。社外には良いところを中心にアピールしてキラキラしているように見えますが、社内はまだまだスタートアップ感のあるカオスな状況…ということもあります。
スタートアップ企業は本来であれば、勝ち馬に"したい"人を採用したいという企業が多いかと思いますが、実際には成長している企業の勝ち馬に"乗りたい"人が応募に来てしまうことが実際によくあります。その一つの理由が良いところばかりをアピールしてしまうことです。
そのため、「弊社は特別な存在」という打ち出しをしていくことは逆にリスクになることを考慮した上で、魅力の打ち出しは考えていく必要があることをご理解いただければと思います。(参考動画はこちら)
社内の実態も良いところもこれから改善しようとしているところも、候補者さまにうまく伝えられることが入社前後のギャップを防ぐためには必要だと感じているため、例えば、応募前の段階では良いところを中心に伝えて、カジュアル面談以降のプロセスではエントリーマネジメント(入社後のギャップを限りなく0にするアクション)を行い、期待値調整をした上で候補者さま側も採用企業さま側もお互いに見極めることも一つのやり方かと思います。
6. 最後に
いかがでしたでしょうか。
今回、フェーズが変化するにあたってどのような魅力項目をどのように打ち出していくべきかをさまざまな観点から考えてみましたが、一概に正解はなく、各企業さまの状況に応じてベストプラクティスを見つけていくことに尽きるのではと感じました。
早い段階でベストプラクティスを見つけるための考え方やフレームワークを理解いただくブログになっていましたら幸いです。
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