1からフロントエンドエンジニア採用を始めるあなたへ【フロントエンドエンジニア採用の教科書】
「フロントエンドエンジニアの採用ってどのように行うのですか?」
と、あるエンジニア採用に関わる方からご質問をいただきました。
ここ数年でエンジニア採用を行う企業様はとても増えてきましたが、言わずもがな企業側の需要に対して、エンジニアが圧倒的に少ない状況です。これはフロントエンドエンジニアにも同じことが言えます。
エンジニアが市場に少ない中で、いきなりエンジニアにアプローチしても良いですが、それでは限界がありアプローチする前にどのようなことを行い、採用活動を進めていくかが非常に大事です。
そこで今回は、フロントエンドエンジニア採用に必要な前提情報や施策、手法について本noteで説明します。ゼロから採用を始める方にも、本noteを読んで全体感を理解していただければと思っております。
1. フロントエンドエンジニアの採用を進める前に把握しておいたほうが良いこと
フロントエンドエンジニアを採用するための手法を公開する前に、よりスムーズに採用活動を進めるために事前に把握した方が良いことをお伝えします。
1-1. フロントエンドエンジニアの採用市場
どのような職種を採用するにしても、市場にターゲットがどれくらいいて、求人数がどれくらいあるのかは大前提知る必要がありますので、まずは、フロントエンドエンジニアの市況感について説明します。
個人的にフロントエンドエンジニアが最も多く登録していると思っている採用媒体で、母集団の調査をしましたのでデータ(2023年5月調査)をご覧ください。
フロントエンドエンジニアの母集団調査のみだと、少ないのか多いのか判断がしにくいため、開発(web問わず / フルスタック含む)エンジニアの母集団調査も行いました。その結果が下記です。
上記のデータをご覧いただき、どのように感じられたでしょうか。
個人的にフロントエンドエンジニアは開発エンジニアの一部であるため、少ないだろうという感覚があったのですが、3000名以上、差があり想像以上にフロントエンドエンジニアの数は少ないな…と感じました。(フルスタックエンジニアとして開発に従事している人は、フロントエンドの職種を選択していない可能性があるため、フロントエンドの開発をできる人は実際、もう少し多いのではと個人的には思っています。)
また、フロントエンドエンジニアは求人数に対して、求職者数がほぼ 1 対 1 の結果になり、開発エンジニアと比較すると、採用する側としては難易度が高いと言えることがわかります。
1-2. フロントエンドエンジニアの業務範囲
続いて、フロントエンドエンジニアの業務範囲についてです。
フロントエンドエンジニアはその名の通り、「Webサービスのフロントエンドを開発している人」と言われていますが、実際に各企業ではどのような業務内容を求人票に記載しているかを10社ほど取りまとめましたので、下記をご覧ください。(中項目の業務内容のダブりはあります)
上記の表を補足すると、まとめ①は主に、開発・UIUXに関する業務内容で、まとめ②は主に、開発後に起きる改善や自動化業務に加え、他職種(デザイナーや他エンジニア)との連携などが入っています。求人票を作成する際の参考にしていただけたらと思います。
2. フロントエンドエンジニア採用の全施策をまとめてみる
さあ、ここからが本題です。一体、フロントエンドエンジニア採用において取り組むべき施策・取り組んだほうが良い施策はいくつあるのか。まずはフロントエンドエンジニア採用において出来ることを項目別で洗い出してみました。
それがこちら👇
これをレベル別にまとめてみると・・・👇
レベル5に近づけば近づくほどフロントエンドエンジニア採用において「強者(レベル高)」になるイメージです。(個人的な所感ですが、レベル5まで到達している企業はほとんどないかと思います。)
また、フロントエンドエンジニアの採用手法はバックエンドエンジニアと同じく、Forkwell / Findy / LAPRAS / 転職ドラフトの4媒体が優先的に挙げられることが多いので、媒体選定の際の参考にしていただけましたら幸いです。
3. フロントエンドエンジニアの魅力設計
ここまでフロントエンドエンジニア採用の大枠について、触れてきました。大枠がわかっても、具体的な採用戦術や手法を理解しなければ、採用成功は難しいです。ということで、採用成功の鍵を握る魅力設計についてお伝えします。
魅力設計をする際に重要なことは、「ターゲットから逆算したインサイト/メッセージング設計」です。インサイトとメッセージングとは何かを下記にて紹介します。(詳細を知りたい方はこちらのブログをご覧ください。)
それでは詳細を見ていきましょう。
3-1. 魅力設計例①
自社サービス企業に在籍しているフロントエンドエンジニアの魅力設計例をここからお伝えします。
上記の魅力設計について簡単に解説します。
フロントエンドはバックエンドと比較して、フレームワークの進化が早いため、フロントエンドエンジニアは常に新しい技術を求めている傾向にあります。そのため、組織としてトレンドの技術を着手できているかが重要なポイントです。
現在のフロントエンドの技術スタックでいうと、React.js / Next.js / TypeScriptなどがトレンドであるため、これらの言語を使用できているかが魅力として打ち出せるポイントになりそうです。(ちなみに、バックエンドの技術スタックはGoやRustがトレンドだと思っています)
また、技術スタックに加えて、技術選定に対してどのような意思決定の軸を持っているのかを打ち出しても良いかもしれません。なぜなら、現在はトレンドの技術を使っているが、今後はどのようになるのだろう?という疑問が生まれるためです。ぜひ参考にしてみてください。
3-2. 魅力設計例②
続いて2つ目の魅力設計例です。
こちらも簡単に解説します。
まずインサイトについてですが、ユーザーの気持ちを理解できるか?ユーザーの声を聞いて開発できるか?はフロントエンドに限らず、多くのエンジニアにも同じことが言えます。
次にメッセージングですが、前提としてフロントエンドエンジニアは仮説を立てて実装した結果から、素早いフィードバックを得て改善していくという志向を持っていることが多いです。そのため、ドッグフーディング(正式リリースの前のプロダクト・サービスを社内テストで利用すること)を好むエンジニアも一定数いるため、今回はメッセージングに記載しました。
また、エンジニアが自ら企画フェーズに携わることができるのも、実装だけではなく、ユーザーに必要な機能から考えたいというエンジニアにとっては魅力になるポイントであるため、ぜひ参考にしてみてください。
3-3. 魅力設計例③
最後に3つ目の魅力設計例をお伝えします。
※今回、記載している魅力設計は実際に存在している企業様の参考例です。
今回はキャリア観点での魅力設計です。実際にエンジニア採用をする中でも、キャリアや評価制度に関する悩みを持っている方は多く、転職理由になりうるポイントの一つです。
直近、ある採用媒体のデータでは、「技術的な専門性を高めていきたい」といういわゆるスペシャリストを志向している方が圧倒的に多かったので、領域ごとの専門性を高めることができる環境が用意されているかは採用活動においても重要なポイントと考えています。
フロントエンドの軸でお伝えすると、フロントエンドとして専門性を高めていきたい方もいれば、UIUXデザイン領域まで染み出していきたい、フルスタック的に活躍していきたいなど、さまざまな志向性をお持ちです。企業の開発体制やエンジニア組織への考え方によって用意できるキャリアは限られてしまうかと思いますが、ぜひ参考にしてみてください。
4. フロントエンドエンジニア採用の落とし穴
最後に、フロントエンドエンジニア採用における落とし穴を紹介しますので、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。
4-1. シニアなフロントエンドエンジニアに固執し、採用に至らない
一つ目は、フロントエンドに特化した専門性の高いエンジニアに固執した採用を続けることです。大項目1でも少し触れましたが、純粋なフロントエンドエンジニア(フロントエンドのみを中心に開発しているエンジニア)が年々少なくなっていると感じており、フロントエンドもバックエンドも開発できるソフトウェアエンジニアや、企画〜運用を一気通貫で行うフルサイクルエンジニアが市場的には増えていると感じています。
また、特にスタートアップ企業ではTypeScriptでバックエンドとフロントエンドの開発が増えている気がしています。(正確に調査しているわけではないので、あくまで感覚ですが)
そのため、フロントエンドに特化した専門性の高いエンジニアをターゲットにするのは良いですが、自社のエンジニア採用ブランディングを鑑みた上でのターゲット選定をおすすめします。
4-2. 会社としてフロントエンドを軽視しており、最適な環境を整備できておらず、採用に至らない
二つ目は、会社としてフロントエンドの軽視しており、フロントエンドエンジニアにとって最適な開発環境を整備できていないことです。バックエンドエンジニアの採用はうまくいっているが、フロントエンドエンジニアの採用はうまくいっていない企業様がたまにありますが、この要因の一つとして挙げられるのは最適な環境が整備できているかです。
バックエンドの開発環境は整備されているが、フロントエンドの開発環境が整備されていないことをたまに聞きます。(これはフロントエンドを軽視している組織もあれば、優先順位的にこれから整備する組織もあるかと思いますが)
直近、エンジニアが働く環境を決める上で、「開発者体験(Developer Experience)」を重視しているという話をよく聞きますので、開発環境の状況を一度整理してみるのも良いかもしれません。整理する上で、日本CTO協会が監修・編纂し、2021年4月に公開したソフトウェア活用のガイドライン『DX Criteria(DX基準)』というものがありますので、参考にしていただければと思います。
5. 最後に
いかがでしたしょうか。
ここまでフロントエンドエンジニア採用に必要な前提情報や魅力設計、採用手法に触れてきました。フロントエンドエンジニア採用をこれから始めようとしている方や、悩んでいる方に読んでいただけたら嬉しいです。
フロントエンドエンジニア採用について勉強中ですし、これからさらにトレンドになっていく領域だと思いますので、引き続きベンチャー/スタートアップの採用活動を行いつつ、情報をアップデートしていきたい思いが強いです。
長文でしたが、最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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