幸福の条件

豊かさとは。

豊かさとは、心の状態のこと。

小さなことも幸せに思えて、そこに感謝できる余裕があること、

それから、ひとを思いやる余裕があること、だと思う。

綺麗ごとにも聞こえそうだけど、本当にそう思う。

豊かさに似ているけど、ちょっと違うのは「幸せ」。

たとえば、家族と楽しく過ごしているとき、これが一生続いたらいいなと思う。

たとえば、友達と恋人と話していて笑いあったとき、幸せだなぁと感じる。

小さいころから行ってみたいとずっと願う美しい景色に想いを馳せているとき、心地よく歌を歌っているとき、心ゆくまま踊っているとき、窓から肌ざわりの良い風が入る部屋で昼寝をしているとき、昼寝しながらスピッツ聴いているとき、

フェスで暴れたあと後ろのほうでビールを飲みながら聴いているとき、コンサートホールでオーケストラの演奏を聴いているとき、甘いものを食べているとき、焼肉を食べているとき、お高い和食のお店に行ったとき…

考えただけで幸せだ…。笑

ただ、これらは「豊かさ」とは別のもので、

あくまで、心に余白があるかどうかはひとまず置いておいた、「幸せ」であるという事実を感じることができている状態。

つまり、幸せだからといってその人自身が豊かであるかと言ったら、そうとも言い切れないのだろうし、お金を払えば叶えられる幸せすら含まれる。まわりから幸せな人生だと思われ、自分でもそう感じているひとも、それは単なる強がりで、実は心に余裕がなくなっているときもある。

わたしも、物心ついたときから社会に出る一歩手前くらいまで

豊富なこと＝幸福なことだと、勘違いしていた。

幸せになれる人と、そうでもない人の運命はコントロールできないものだと思っていた。幸せの定義は、暗黙のうちに社会で決められていて、運がよければその幸せを"ゲット"できるものだと漠然と世の中の不条理を感じていた。

だけど、自分の幸せは自分の手でコントロールできるものだと知った。

ものはいいよう、

という言葉があるけれど、心に豊かさを持っているひとはこのとき

「陽気」に言いかえられる人のことをいうのだろう。

しかられたとき「ありがとう」と伝えられるひと、対立したとき「そういう側面もあるよね」と受け入れて相手に耳をかせるひと、

ひとを区別しないひと、辛い過去を悲観しないひと、失敗して転んだとしても「転んでよかった、新しい世界に出会えたから」なんて前向きでいられるひと

こんな人、どうやったって幸せになるしかない。笑

この明るさで、不幸せになるほうが難しい。

ふと、子どものころを思い出してみる。

昔は誰しもこのこと案外簡単にできていたのではないか？

物心つくよりも前、もっと子どものころは自分が幸せかどうかは気にしてなかったように思うし、それと同時に、不幸になったらどうしようということも考えてなかった。そもそもこんな難しいこと考えずに生きていたから（笑）、なんというか、

幸せに執着していなかったし、幸せも不幸せもそんなものどっちでもよかったのだと。

子どもの世界はとても狭かった。だけど、その分どんなちっぽけな世界の片隅のことを気にかけることができていた。

道に咲いてるたんぽぽが綿毛になったかどうかとか、草が生えてるとか、電車が通ったとか、雲が動いているだとか。。

"大人"の世界はとても広い。広すぎてわけがわからない。だから、その分ちっぽけな世界のことを考える余裕がなくなっている。

道に生えてる雑草とか、蟻の巣があるかとか、よつばのクローバーがありそうかとか。。

そんなことよりスーパーの値引きとか、株の動きとか、ファッションの流行とか、そういったことのほうがよっぽど生活の一部になっていたりして。

もしかしたら、心の余裕というのは「変わらない」ものなのかもしれない。

変わらないもの。流動的でないもの。安定していること。

自分の生きる軸がころころ変わっている人、思考回路がいつもさまよっている人、気分屋な人。そういうひとは自分に余裕がないから、他人に対する余裕もない。

自分の生きる軸明確な人、判断基準が定まっている人、いつもご機嫌な人。そういうひとは自分に余裕があるから、他人に対して思いやる気持ちを持っていたり、不安定に他人を傷つけたりしていない。

そんな気がする。

（いま考えると、子どもの豊かさって本当にすごいな）

生活が豊かであることと、心が豊かなことは結びつかない。

だけど、

豊かに生きることは、幸せであるには絶対に必要な条件。

豊かな心を持てていない人は幸せにはなれないし、だからこそ

豊かな心を持って生きている人は幸せになれるのだと思う。

いや、幸せに"なる"んじゃない。

ずっと幸せでいられるのだと思う。

もしもう豊かであるなら、その時点ですでに十分。

これからなら、豊かさを持てた先には必ずそれぞれの幸福が待ち構えているはず

なのだ。