低予算で映画留学が可能!European Film College🇩🇰
海外で映画を作りたい!って思いませんか?
すごく精神的にも経済的にもハードルが高く聞こえますが、デンマークのEuropean Film College(EFC)ならそのハードルがぐんと下がります。
自分は2021年8月〜2022年5月のタームでEFCに留学していました。
その後2022年10月〜2022年12月までインターン生としてEFCで学生サポートのお仕事をしていました。
なかなか日本語でEFCの情報を発信している媒体がIFAS(アイファス)くらいしかなく、知らないことだらけで飛び込んでいきましたが、留学前に知っておけたらよかったことは行ってみてたくさんあったのでご紹介します。
EFCの詳細についてはこちらの記事から。
なかなか載せられない学校生活や実際の撮影の様子など写真も盛りだくさんです。(内容はかなり濃いので、EFCへの留学を検討している方やEFCに限らず映画留学を検討している方へおすすめです)
その他にもEFCについて様々な角度から解説している記事を"EFCシリーズ"としてマガジンにしています。併せてご覧ください。
EFCの魅力3選
・留学費用が安い
・授業は全て英語&コースがたくさんある
・初心者でもOK。修了時にはプロの現場に参加できるレベルになる
留学費用が安い
EFCの魅力はなんといっても留学費用の安さです。
全寮制の映画学校なので学校と寮が併設されている中、
9ヶ月間の留学で112,768 DKK=約240万円 ※1 DKK= 21JPYで計算
学費・食費・寮費・映画制作費・ビザ申請料、さらにはベルリンの修学旅行費といったEFC滞在中の費用が全て含まれてこの金額は破格ではないでしょうか。
映像系の大学1年分の学費とほぼ同じくらいの金額で、
・デンマークへ映画留学できてしまい
・1年現地に住めてしまい(長期休暇は他のヨーロッパの国へ旅行するのもアリ…!)
・10作以上の作品制作実績というポートフォリオができてしまい
・ヨーロッパの映画祭へ参加するという名目の修学旅行
までできてしまうのです。
2022-2023のタームからプログラムの期間が2週間ほど延びたことによる金額改定、レートの影響から数十万円値上がりしているものの、この他の追加費用は基本的にありません。
対して映画制作で有名なアメリカの映画学校の1 year programに参加したらいくらかかるのか。
学費だけで1年間約30000 USD=約436万円という世界。
さらに生活費などが1年間で約240万円かかると考えると、学校に行って普通に生活するだけで700万円はかかってしまうことになります。
なぜEFCは安いのか
EFCはデンマークの成人教育機関であるフォルケホイスコーレの一つだからです。
このフォルケというシステムはデンマーク政府から2/3費用を受けており、この安さが実現され、ありがたいことに外国人留学生もその恩恵を受けられています。
海外の映画学校へはEFCしか行ったことがないため、内容の比較は難しいですが、安い=授業の質が低いのではなく、政府からの公的援助があるからこそ学生負担分が少ないだけであって、EFCで得られる経験は金額以上のものです。
学内の公用語は英語&コースがたくさんある
デンマークの公用語はデンマーク語であるものの、第二外国語として若い人からお年寄りまで英語がペラペラという国。
EFCを含むフォルケはデンマーク人が全学生のうち最低50%という規則があり、毎年60人はデンマーク人、残りの60人はヨーロッパを中心に世界各国から留学生がやってきます。
そのためインターナショナルに開かれた映画学校として、学内での公用語は英語となっています。
朝礼も集会も授業も映画制作も全て英語です。
英語力に自信がなくても大丈夫
フォルケは入学試験や成績評価が行われない学校ということもあり、EFCでは入学時に英語力を問われることはありません。
コミュニケーションを多く必要とする映画制作を学ぶ学校ということで一定のスコアを求められるか、英語面接が行われるかとヒヤヒヤしていましたが、そういったことは一切なかったことから一応英語がそんなに話せなくても入学は可能とだけ言っておきます。
ただ英語力があまりにもないと、入ってから自分のように地獄を見ます。
英語の能力よりも熱意や行動力の方が評価されて、チャンスにつながる学校です。
裏を返せば、行動力さえあれば各方面協力してくれる人は多いです。
どんなことがどの程度のボリュームで学べる?
EFCは8月中旬〜12月中旬は前半戦、12月中旬〜1月2日頃(日本と違って正月<
クリスマスです)までクリスマス休暇、1月は前半戦の続き、2月〜5月の卒業まで卒業プロジェクトというスケジュール感で進んでいきます。
前半戦は下の図のように授業が進んでいきます。
大体1ヶ月半ペースで、1コース(図の青と緑とオレンジでワンセット)が終わるという感覚で、それぞれコースが始まる前に9科目の中から希望する科目を選択し、その1つの科目のみを4週間基礎から演習までひたすら学びます。
5週目に各パート(DirectingやEditingなど)から2人ずつ無作為に選ばれていくつかのチームが作られます。
6週目にそのチームでA filmとB filmに分かれて2本Fiction Filmの撮影を行います。
この際、どちらか一作品が自分がメインでの参加となります。(例:Directorの場合、A filmがDirector、B filmがAssistant Director)
Documentaryのクラスだけは特殊で、Docの選択者は6週間かけて1人1本のショートドキュメンタリーを作るので、上記のFiction Filmの制作にはその回だけ参加できません。
これを3回それぞれ違い科目で行い、前半戦の基礎過程が終わります。
年明け、特に2月頃からは卒業制作に向けて本格的に動き出すことになります。卒業制作の詳細については別の記事で紹介します。
先生の質は?
EFCの先生の質はかなり良いと思います。
全ての先生に共通して必ずプロでの経験は持っていて、なおかつ人格者が多い印象です。
具体的な技術や理論といった何を学ぶかももちろん大事ですが、どんな人から学ぶかというのは実はすごく大切なことだと行ってから気づきました。
先生方の経歴としては、
Directingの先生は主に映画監督として商業映画を撮っていたり、海外の大学で映画制作の教鞭を取っていた人が務めています。
Documentaryもデンマークのテレビドキュメンタリーを長らく手がけていた人が担当していたり、Editingに関してはデンマークやスウェーデン版のアカデミー賞であるロバート賞やゴールデン・ビートル賞にて最優秀編集賞を取っている先生がいたりと、実績も伴っている方が多いです。
他にも年に各ポジションで10名程度しか入学できない、デンマークのエリート学校であるDen Danske Filmskole(国立映画学校)出身の先生もチラホラいらっしゃいます。
さらにEFCのシステムとして、どんなに忙しい時でも1人1人の学生をしっかり見てくれます。
EFCは17.5歳以上から入学可能で、ほとんどの学生が18歳以上です。
欧米諸国の感覚では(最近は日本でも18歳成人なので感覚が近付きつつあると思いますが)18歳はもう自立している立派な大人となりますが、それでもしっかりと正面から向き合ってくれる先生や職員に囲まれていたと強く感じます。
過保護という意味ではないです。むしろ放任主義でお国柄自己責任論が強目です。
無理に型に当てはめるのではなくのびのびさせてくれますが、異国の地で必要な時は普段のコミュニケーションから自分のことをちゃんと分かってくれていて、頼れる大人が必ずいるというのはとても心強い要素ではないでしょうか。
EFCはクラス担任制なので、10数名単位のクラスごとに1人担任が付きます。
その担任とのコミュニケーションももちろん、授業のクラスではまた別の担当教員と関わることになりますし、作品を制作するときもまた1グループに1人チューターとして教員が付きます。
このように必然的に特定の教員だけでなく、様々な大人が近くにいる環境、その先生たちもしっかり情報共有をして学生と関わっているからこそ安心して学べるのではないかと思います。
これは全寮制で先生も学校に住んでいるというEFCならではの距離の近さだと思います。
初心者でもOK。修了時にはプロの現場に参加できるレベルになる
EFCは映画制作が全くの初心者でも入学可能です。
映画制作は未経験という人は結構いますが、話を聞くと俳優として小さい頃から映画への出演経験がある人や、高校で作曲を勉強していた人、高校で映像のクラスを取っていた人など、高校から芸術科目を専門に勉強していた学生が多かった印象です。
EFCではどの科目も基礎から応用、演習、そして映画制作という実践までカバーした教育が行われているので最初がどのレベルであれ、若干英語が苦手だとしてもついていけると思います。
授業でうまくいかなかったとしても、月におよそ2本のペースで映画を作り続けていくので、回数を重ねるごとに作業も覚えて役割も果たせるようになっていきます。
そして年にもよりますが、EFC卒業後は、卒業生や主にヨーロッパ出身の学生の友人繋がりで自主制作や映像の仕事での技術スタッフの募集がグループチャットに流れてきて、多くの人が参加しています。
多くはデンマーク国内(特にコペンハーゲン)で行われる撮影における募集ですが、友人繋がり、EFC繋がりで卒業後も同期と一緒に撮影ができるという関係性が作れるのもEFCの魅力の一つです。
その他
学校の治安
学校の治安は非常に良いと思います。
代表的な
いじめ
盗難・窃盗
教員などからのハラスメント
差別
これらのことは在学中に自身も経験しませんでしたし、周りで受けている人もいませんでした。
ほぼ皆無なアジア人だからという理由でいじめられることもありませんでしたし、英語が苦手だからとグループに入れてもらえないということもありま
せんでした。
盗難・窃盗
盗難や窃盗は、全寮制の留学生活の中で心配する人が多い項目だと思います。
こちらに関しても若い学生が多い学校ではありますが、こういったモラルは皆持っており、被害を見聞きしたことはありませんでした。
共用スペースのダイニングホールにMacbookを毎晩放置している学生もいました。
寮でも多くは仕切りのない2人部屋に住むことになりますが、(筆者も最初の4ヶ月弱は2人部屋で過ごしました)特に所持品がなくなるということもありませんでした。
稀に"事故"で学校の備品(特に大物)が行方不明になることがあります。
具体的には、寮の共用スペース(Common room)のテレビが消えたり、ダイニングホールの電子レンジが消えたり、スタジオから脚立が消えることがありますが、大体は
「自室でどうしても友達とゲームパーティーをしたくてテレビを持っていってしまった」
「どういうわけか電子レンジを自室へ運びたくなってしまった&撮影の小道具として使いたくなり借りたまま返すのを忘れてしまった」
「2階の寮の部屋の鍵を無くしてしまい、窓から出入りするために脚立を使っている」
という悪意のない謎行動によるものなので時間が経てば出てきます。
ハラスメント
ハラスメントについては学校としてはもちろん、デンマークの国自体で厳しく防ごうと取り組んでいることであるため先生方は人格者が多く、職員の方も良い人ばかりでした。
万が一ハラスメントやいじめがあった際も学生と先生や職員との距離が近いため、非常に大人に相談しやすい空気を持つ学校です。
差別
差別についても学校内ではありませんでした。
ただ他国出身の友人によると、学校では一切ないものの、学校のあるEbeltoftが田舎の地域のため、寛容だと言われるデンマークの中でも保守派の人々が都市部よりも存在するので気をつけた方がいいと言っていました。
特にLGBTや障害を持つ人、デンマーク語を話せない人などへの当たりが少し強い人が一部いるとのことです。
現地の人々との接触がほとんどなかった自分は特に何も感じませんでした。
薬物など
違法薬物に関しては日本と同じ感覚でいってください。
基本的に日本で禁止されている薬物の所持・販売・使用はデンマークでも犯罪になります。
EFCとしても薬物に関連した行動は全て厳しい処分の対象(停学・強制送還・退学)になります。
ただ、EFCの学生の中には薬物が合法な国から来ている留学生も多くいます。
正直な話、帰省のタイミングなどで学内に持ち込む学生やコペンハーゲンで手に入れてくる学生も見ました。
薬物をやっている人は少数の少数ですが、万が一仲の良い友人/パーティーで盛り上がっている中で勧められても断ってください。
隣の部屋の人が薬物をして強制送還されていた話
学生として留学していた21/22のタームでは薬物の使用者は見たことありませんでした。
しかしインターンとして滞在していた際に、CA(College Assistant…前タームの卒業生の中から3人、翌タームの学生のサポートとして有給で学校で働いている人たち。先生代わりのようなポジション)
が薬物を使用していました。
CAはCAのみが住む建物で1人部屋をもらえるのですが、自分の隣の部屋がドイツ人CAでした。
彼は元々ヘビースモーカーで巻きタバコを吸っていましたが、夜やパーティーの時にCA寮のCommon room(共用スペース)で"ハシシ"という大麻樹脂や若芽をすりつぶして固めたものを何度も使用し、ドイツへ強制送還されていました。
ハシシは日本でもデンマークでも犯罪です。
発覚理由は「CAがハシシを寮で吸って騒いでいた」と複数の学生が校長へ知らせたことでした。
十分に反省の色が見られることから、校長などの判断で彼はドイツで2ヶ月の謹慎の後にまたEFCに戻り、CAを続けていました。
当時校長は全校生徒が集まる朝礼の際に学生に、状況を包み隠さず全て話した上で注意喚起をしていました。
またその後に開かれた学校主催のパーティーでは校長が、ハシシの彼が不在の中、学校生活を振り返る替え歌をピアノで弾き語りしてネタにしていました。普通にウケていました。
流石にブラックジョークがすぎると思うかもしれませんが、厳しい時は厳しく、でも引きずらず、という学校です。
奨学金について
日本人がEFCに通うためにEFC独自の奨学金制度やデンマーク政府が出している奨学金制度は自分の留学中及び執筆時点でありませんでした。
そのため、日本の文部科学省が官民協働で行っている奨学金制度であるトビタテ留学JAPANを利用して留学しました。
EFCやEFCに限らず留学を考えている高校生、大学生であればぜひトビタテは受けることをお勧めします。
留学期間や地域、家計基準にもよるものの、留学費用の大部分をカバーしてくれるので留学の経済的なハードルを下げてくれることも魅力ですが、それ以上にトビタテコミュニティには留学中も留学後も大きな助けとなる場合が多いです。
下記のトビタテ留学大図鑑にEFC留学の記事を掲載しています。
皆様へのお願い -2024/6月末追記-
最近EFCについて、フォルケ留学について個人SNSに様々な方から「noteを見た!もっと知りたい!」とお問合せをいただくことが増えてきました。質問やご相談には基本的にご連絡くださった方全員にお答えするようにしていますが、2点お伝えしたいことがあります。
【1点目】
ご連絡の際には一言、「noteを見た」とメッセージをいただけると幸いです。
Instagramは鍵付きですが、リクエスト承認前でもメッセージは送れるように設定しております。
皆様からのメッセージは励みになりとても嬉しいのですが、お名前に心当たりがない方からの無言フォローが非常に多く(ほとんどがこちらから「どなたでしょうか」と連絡を入れない限り何もアクションを起こしてくださいません)把握が間に合っておりません。
ご連絡くださるのは迷惑ではないので、お手数ですが最初に一言お送りくださいますよう、よろしくお願いいたします。
【2点目】
他者に「聞く」ことも良いですが、まずは自ら調べる/調べ尽くす努力は必要だと考えています。
自分自身情報収集が大変だった留学前の思いから、日本の方向けに詳しい情報を盛り込んだこのEFCシリーズのnoteを書きました。
例えば、
⭐︎EFC応募の際の提出書類は何がありますか?
→EFCのHPに書いてあります。
⭐︎何月から募集開始ですか?
→EFCのHPやSNSに書いてあります。
⭐︎授業は英語ですか?
→HPに書いてあります。
⭐️学校のことを教えてください。
→全体的なことを知りたいのであればnoteをご覧ください。全て書いてあります。
こういった自分で調べたらすぐ分かる事やほぼ丸投げ状態でSNSで質問してくる方がかなり多いです。
noteを書いた理由の一つに皆さんに同じ質問をされるからというものがあります。問い合わせが多い内容は随時note記事にも反映させています。
相談や質問回答は自分が留学当時に多くの方から受けた恩返しの一環としてボランティアでやっているので、全て丸投げのお問い合わせはご遠慮ください。
そしてこの記事の1番最初にEFCの授業詳細や現地での生活について細かくまとめたnote記事のリンクとマガジンのリンクを貼っています。
有料記事ではありますが目次は未購入でも見られますので、知りたい内容が入っているかの予測はできると思います。
まずはご自身で調べて、必要に応じて上記のnoteを参考にして、それでも分からないことや書類添削等、個別対応を希望される方はご連絡ください。
instagram @4nori2go