たんぽぽの手紙
桜を眺め楽しみ、いよいよ春本番。
緑が眩しく、道端の花も存在感を増す時期です。
歩いていたら、ふとたんぽぽが目にとまりました。
そして思い出したこの歌をご紹介します。
ままごとの
たんぽぽちらばり
土暮るる
…と詠んだのは、
詩情豊かに日本の自然や風物を描いた日本画家・川合玉堂。
俳句や和歌も詠み、絵とともに友人に送っていたそう。
昨年、青梅市にある玉堂美術館へ足を運びました。ほんの少しですが写真とともにご覧ください。
途中、丸型ポストを見かけてやはり撮る。素通りはできない。
雨に煙る山。この先に玉堂美術館があります。すでに何事にも代え難いヒーリング効果満載で、わくわくと同時に癒されるという最高の状態に。
こちらに見える建物は、酒造の澤乃井さんが運営する、玉堂美術館隣接の飲食店「いもうとや」。
こちらで渓谷を眺めながらの食事をすることができます。
にゅうめんに映る空ごといただきました。
そしてこちらが、当の玉堂美術館です。
実はこの玉堂美術館、アメリカの日本庭園雑誌で2018年日本庭園ベスト8位にランクインしているそう。
実際目にしてため息が溢れました。
小雨に濡れる枯山水の美しさ
葉の重なり合う音、少し重たげな樹々の様子…
川合玉堂の端正な日本画を観たのち、この庭に佇む。静寂に満ちているこの清き空間に、しばし日常を忘れることができました。
青梅の自然を愛した川合玉堂の気持ちが、束の間ながら理解できた気がします。
ままごとの
たんぽぽちらばり
土暮るる
アスファルトから顔をのぞかせる春の日差しそのままのたんぽぽの様子にこの歌を思い出しましたが、玉堂のたんぽぽは土とともにある生活と、そこにある自然を優しくすくい取っているものだったことを実感しました。
そこで、たんぽぽの手紙。
あなたも健気なこの花をどこかで見かけているでしょうか。
たんぽぽ(蒲公英)の古名は鼓草(つづみぐさ)。
たん、ぽん、ぽん と鼓を打つ音から、たんぽぽという名に。可愛らしくも雅ですね。
4月まではたんぽぽの葉書が活躍してくれます。
この後は、すずらんやマーガレット、蓮華草にバトンタッチです。
季節その時々のお花でお便りするのは手紙の醍醐味。
もちろん、季節問わず、大好きな植物でもOKです。
醍醐味とはいっても、絶対的なルールではありません。好きな絵柄で送っても良いのです。
その絵柄が好きで、送りたいなと思ったのなら、それで良いのです。
あなたなら、どんなお花を送りますか?
それでは、本日はこの辺で。
急に寒くなったりして、参りますね。
ご自愛ください。