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創業4年で宇宙へロケット発射成功 Astra (HOL)ってどんな会社?

1月にARK ファンドが宇宙ETFを立ち上げるというニュースが出てから、宇宙ビジネスへの注目が加速しています。

カネ余りの状況では、堅実な銘柄よりも、夢のある銘柄にお金が集まりやすい傾向があることから、宇宙ビジネスには多くの投資家の投資が集まる可能性があります。

ARK社のETFは多くの資金を集めると考えられているため、投資家の間では、ARK社が選ぶであろう宇宙銘柄の探索が始まっているようです。

この宇宙ブームに乗って投資を検討したいと考えており、いくつか宇宙銘柄を紹介してみたいと思います。今回は、Astra社を紹介します。同社はSPAC上場しようとしています。

宇宙ビジネスが盛んになってきた背景に、衛星コンステレーションという考え方があります。こちらを簡単に説明した上で、Astra社の事業概要を説明します。衛星コンステレーションをご存じの方は飛ばしてください。

比較対象
 赤:QQQ
 紫:ARKK
 黄色:QCLN

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衛星コンステレーションとは

衛星の運用はこれまで、単体の衛星で比較的高度の軌道を周回する衛星が多かったが、技術の発展に合わせて、多数の衛星を協調させて運用するというコンセプトが広がってきています。イメージとしては一回一回に全ての機能を詰め込んで超大型投資で衛星を打ち上げるという一か八かの賭けのような運用から、比較的少額の投資で済む小型の衛星をいくつも打ち上げて数を束ねて運用するイメージです。これにより、投資のリスクとリターンが政府にしか耐えられなかった状況が変わり、民間企業でもビジネスとしての可能性を見出せるようになり、民間企業の参入が相次いでいるのかなと感じます。

多数の衛星を群として運用する方式を衛星コンステレーションと呼びます。

特に低軌道衛星が注目を集めており、技術開発競争による革新が続いています。

低軌道衛星とは地上から500~2000キロメートル程度の高度を周回します。低軌道は地表に近いため、以下のようなメリットがあります。

衛星軌道への投入コストが低い。

通信衛星用途では、大型の指向性のアンテナが不要なたけ小型化・コスト削減できる、通信の遅延が少ない、電力消費が少ない、高緯度の地点でも容易に交信可能など。

また地球環境のモニタリングを行うリモートセンシング用途では、分解能(画像1ピクセル当たりで表現できる地表のサイズ)が高い。

デメリットとしては、ひとつの衛星から見渡せる地域は狭くなるため、多数個の衛星を衛星間通信により協調動作させる必要が生じます。このため大量の衛星を打ち上げてネットワークを構築する必要があります。

近年の技術革新により、打ち上げコストの削減、小型衛星のコスト削減、協調動作による複数衛星連携能力の向上などが実現されてきたため、低軌道に大量の衛星を投入し運用する低軌道衛星コンステレーションが注目を集めてきています。

テスラ社のCEOイーロンマスクが行おうとしている衛星ネットワークサービス事業を手掛けるStarlink社もこの低軌道衛星コンステレーションを活用したサービスとなります。

事業概要

さて、Astra社を見てみましょう。Astraは創業4年、昨年12/15に商用ベースで最速で宇宙へのロケット発射を成功させた会社です。これはイーロンマスクが手掛けるSpace X社の7年を大きく上回ります。

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CEOはChris Kempさん。NASA出身で、Plannet Labs社やRipcord社のアドバイザーを務めています。この方なんと2007年若干30歳でNASAの初代CIOに就任しています。NASAという歴史の古い、国家官僚組織で30歳でCIOとはちょっと普通では考えられない天才なのではないでしょうか。ちょっとNASAのCIOになった年齢を見て衝撃を受けています。現在44歳とのこと。

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現在までに年間4,062台の衛星が打ち上げられていますが、2029年までには3万8000台以上の衛星が打ち上げられると予想されています。

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民間企業単独で開発した液体ロケットエンジンで宇宙空間に到達した事例としては、世界で5社目の実績(SpaecX,Blue Origin,Rocket Lab,インターステラテクノロジズ)となります。

同社は比較的安価なロケットを高い供給能力で生産することに重点を置いています。

他のロケットと比較して、一番小型でコストが安いロケットを目指しています。

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まさに低軌道衛星コンステレーションをターゲットとしたロケット開発に重点を置いています。

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同社の事業は以下のスタックで構成されています。

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衛星の開発・製造・テスト・運用を効率的に行う自動化を含めた技術基盤を有しています。

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発射基地を世界で10か所以上保有。新規の発射基地も6か月以内で構築することが可能です。発射基地の建設も安価に行うことが可能です。

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ポータブル発射システムを保有しており、衛星の到着から数日で発射が可能、発射台はポータブルで移動後24時間以内に発射可能、小型衛星を打ち上げるのに最も安いロケットとなっています。

同社のロケットの打ち上げは、なんとたったの5人のチームで打ち上げサイト全体とロケットを準備、数日以内での打ち上げが可能になっているといいます。

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モジュラー型の宇宙船でコンセプトからYearsではなくMonthsで宇宙船を実現できる

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コンステレーション運用サービスを提供

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10顧客50回打ち上げ、$150M以上の契約バックログ

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$1.2Bのパイプライン

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2021 商業オペ開始
2022 初売上
2025 累積投資回収

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今後の展開スケジュール。

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競合に関しては、Space Xなどもあるが、直接的に小型衛星に特化している競合としては、ロケット・ラボ社があります。また、ヴァージン・オービットが開発している空中発射型の超小型ロケット「ローンチャーワン(LauncherOne)」、ファイアフライ・エアロスペースが開発している「アルファ(Alpha)」、2021年以降はさらに世界中から参入企業が増えることが予想されているとのことです。

雑感

衛星コンステレーションにフォーカスするロケット打ち上げ会社のAstra。最短で宇宙空間まで到達したということで、注目の企業ですね。また設立からステルスモードで開発を続けてきて、あまり情報がなかったようですが、昨年急速にVisibilityが上がってきて、今回のSPAC上場合意で一気に注目度があがりそうですね。

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参考









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