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阪神オリックス優勝パレード協賛金疑惑①

竹内英明元兵庫県議の死

 私がこの記事を書き始めたのは2025年1月20日の夜中(正確には21日の未明)である。昨日19日に竹内英明元兵庫県議が自死したという衝撃的な一報が昼前に飛び込んできた。竹内さんは、斎藤元彦兵庫県知事に対する告発文書問題百条委員会委員であり、斎藤知事等証人ヘ事実や証拠を基に鋭い質問を行ってきた方である。しかし、その鋭い質問をしてきた竹内さんを「斎藤元彦を応援する為に出馬した」立花孝志は知事選挙期間中、百条委員会委員長の奥谷県議や委員の丸尾県議と共に標的とし、デマポストや動画配信、更には奥谷県議の自宅前で誹謗中傷街宣を行うなど精神的に追い詰めてきた。竹内さんは奥谷県議のように自宅での街宣をするとの予告や、誹謗中傷の嵐に家族から議員を辞めてくれと懇願され、家族を守る為に斎藤元彦再選後辞職した。
しかし、誹謗中傷は止まらず憔悴した亡くなる直前の竹内さんの状態は産経新聞の記事にもこう書かれている。「最後に連絡を取ったのは今年1月16日。「『最後まで戦えず情けない』『議会に対しても百条委のメンバーに対しても県民に対しても申し訳ない』と後悔と謝罪の言葉を繰り返していた」
 遺書の存在は発表されていないが、誹謗中傷などが原因で自らの命を絶った可能性が高いと言えよう。

 私は報道を聞いて怒りと悲しみに涙が止まらず、20日朝の囲み会見で竹内さんの死に面しても、誹謗中傷を止める呼びかけを行わない斎藤知事を見て、私のやるべき事が明確化された。元西播磨県民局長が告発文書で指摘した「阪神オリックス優勝パレード協賛金疑惑(キックバック)」を追及する事だ。私は当初大阪府(維新)の問題として、半強制的職員ボランティアやパレード疑惑に対して大阪府へ開示請求を行い様々な資料を入手した。当時、兵庫県斎藤知事に対しては、松井・吉村の子分で無理やり万博やパレードに巻き込まれているという印象だった。
 しかし、元西播磨県民局長が作成し公益通報として外部に配布した告発文書に「信用金庫への補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせることで補った。」という兵庫県の背任行為を疑わせる文言に関心を寄せ、兵庫県にも開示請求を行うこととなった。

元西播磨県民局長の告発文書

優勝パレードを万博に利用した維新

 当時を振り返ると、私は2023年6月に吉村大阪府知事が優勝争いをしていた阪神タイガースの始球式を斎藤知事と共に行った時から、阪神やオリックスを万博や維新等に利用されないか懸念していた。

https://x.com/hiroyoshimura/status/1668913511840497665?s=61&t=uZgREM2Th_W5IxHjBmpqqQ
神戸新聞ニュースサイトより
https://x.com/hiroyoshimura/status/1705208536664584553?s=61&t=uZgREM2Th_W5IxHjBmpqqQ

 その後、阪神タイガースとオリックスバファローズが優勝し、合同パレードが11月23日に開催される事が決定された。9月22日に大阪府・兵庫県と関西経済連合会が合同主催者として「阪神タイガース、オリックス・バファローズ優勝記念パレード」~2025年大阪・関西万博500日前!~」と銘打たれ、吉村知事、斎藤知事、松本関経連会長が出席した記者会見は目を疑う物であった。

AERA.dotより

   「関西万博500日前!」と無理矢理万博に紐付けられたパレードのタイトルは批判を浴びて後に変更されたが、会見会場は万博一色で阪神オリックスのロゴは無く、何の為の会見なのだと世間を呆れさせたものであった。
 会見によるとパレード運営は実行委員会形式を取ることになり、事務局は大阪府と兵庫県に置かれ会長は松本関経連会長、事務局長は吉村・斎藤両知事が務めたが、実質的には大阪府府民文化部・兵庫県県民生活局が事務局の仕事を担当している。

クラファンで集まらなかった5億円

 ここで吉村知事達が懸念したのはパレードに公金(税金)を使用することに対して、市民やマスコミの批判が起きないかということであった。発表された費用は約5億円。事実、優勝パレードが決定した3週間前の8月31日、合同パレード公金支出に対する行政訴訟のリスクが無いか、弁護士に相談が行われた事が開示請求で明らかになった。下記の資料は黒塗りだが、後に公金支出は万博の機運醸成を理由にするのは難しいとの返答があった事がわかった。

弁護士相談結果票 大阪府提供資料


 弁護士への相談結果を踏まえ、批判を恐れた吉村知事はパレード費用は公金を入れない、クラファンで賄うと豪語した。更に、経費を浮かせるため大阪府職員からボランティアを募ったが、「日当交通費食事代無し」という対応に多くの批判を浴びたのは読者の皆さんも記憶しているであろう。
 結局クラファンの結果は目標の約2割、1億418万円という惨憺たるものに終わった。クラファンは10月18日から募集されたのだが、パレード開催日11月23日の20日前11月4日時点で5000万と、5億円の約10%しか集まらず、目標違成が絶望的となった。これに慌てた実行委員会は企業の協賛金集めにシフトしていく事となる。   
これが後の混乱と悲劇を招くことになる。

クラファン実施結果 大阪府提供資料

高騰する委託費用


   ここで、開示資料からパレード費用に関する内容を示していきたいと思う。
 まず、パレード運営委託業者に随意契約で選ばれたのは持株会社である電通グループ株式会社傘下企業「電通ライブ」であった。大阪府兵庫県ともに1億8900万円で契約したが、ここで疑惑が生じた。当時、電通ライブと同じ電通グループの傘下企業、株式会社電通は大阪府から東京オリンピック入札談合事件で停止処分を受けており、別会社とはいえグループ企業が府の委託業者となる事に「抜け穴」という批判が上がった。私が大阪府に開示請求し「電通ライブ」との契約が明らかとなり、FRIDAYデジタルの記事にもなった。


兵庫県と電通ライブの契約書


大阪府と電通ライブの契約書

 この10月24日に結ばれた契約書を見ると合計3億7800万円となり、他の費用と合わせて約5億円の概算は妥当な計算だった。しかし、10月3日に示された概算見積書には7億4500万円、契約後の10月31日には6億4400万円が電通ライブから示され、当初の予想を大きく上回る費用が必要だったことが伺われる。

10月3日の見積書
10月31日の見積書

 後に兵庫県担当者から高騰の原因は警備関係の費用だと聞いた。笑えない話だが、大阪との取り合いで大阪兵庫の警備会社だけでは人手不足で九州の警備会社から派遣される程だったらしい。
 その中、更に兵庫県を混乱させた見積書が届いた。

11月14日の見積書

 10月31日、兵庫県負担分は3億1400万だった見積書は11月14日3億5300万円と3900万円も引き上げられた。公開資料のメールを見ると兵庫県の混乱ぶりを伺うことができる。

16日深夜兵庫県から電通ライブに送信されたメール
17日電通ライブから兵庫県に送信されたメール

 11月16日に兵庫県から電通ライブに送信されたメールを見ると、送信された時間は深夜0時2分。「緊急MTG(ミーティング)が行われました」「県職員が代替できるものは置き換える」「警察協議が必要なものは説明に行く」など、見積書を見て高騰する費用を削減するため兵庫県内で緊急協議が行われ、恐らく警備関係の人員を県職員に代替させる提案をしたものであった。実際、兵庫県では1500人の職員に休日手当を支給して警備や案内スタッフをさせていた。
 因みにこのメールのCCには、パレード担当者で後に自死されたH総務課長の名前がある。H総務課長は協賛金集めには関わっていないが、大阪府との調整に苦慮していたとの証言もある。費用の問題については、他の職員と同じく苦労していたことだろう。自死の理由は明らかになってはいないが、メンタル的な病を患っていたと報道されている。この時の対応が自死に影響した可能性が高いと思われる。
 更に17日に電通ライブから兵庫県に送信されたメールを見ると兵庫県から9時45分に送信されたメールの返信で、県と電通ライブ側で見積額の認識相違があり、電通ライブも警備人員確保に苦慮し費用も確定できなかった事が伺える。
 パレード開催が直前に迫る中、費用の増額とクラファン・協賛金不足が次第に兵庫県担当者を追い詰めていった。
 そして、苦慮する県民生活部とは別に協賛金集めにも暗雲が垂れ込み、片山副知事を始め県幹部は次第に焦りをあらわにしていく。

   次回の記事では、この疑惑の核心、協賛金集めと金融機関補助金増額に対する片山副知事の関わりを書きたいと思う。


片山前副知事 日経新聞より
12月期補正予算口頭メモ 兵庫県提供資料

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