映画から考える"ノスタルジー"について
"ノスタルジー"について最近考えている。
先日、東京都美術館での展示を友人と観に行ったのも影響していると思う。『上野アーティストプロジェクト2024ノスタルジア─記憶のなかの景色』という展示。グループ展で様々な視点のノスタルジーを浴びる事ができた。参加者の作者それぞれが作品だけでなく、ノスタルジーについてのQ&Aにも答えたボードも見ることができた。
https://www.tobikan.jp/exhibition/2024_uenoartistproject.html
帰路で「はて、私のノスタルジーって何?」という気持ちにもなった。もしかして、自分自身でノスタルジーなんて考えた事無かったのでは?とも思えてきた。
たまに"猛烈に懐かしエモい"みたいな気持ちにはなるのだけど、これがノスタルジーなのかは分からない。なのでノスタルジーを感じていたのかもしれない映画をいくつかピックアップして、考えてみる事にしました。
『ロボット・ドリームズ』
友人達の間で話題になっていて、気になって観てきた今作。犬さんandロボさんの1年の話(シンプルだけど作り込まれたアニメーションが美しいし気持ちのいい作品)。隣の席で観ていた革ジャングラサンのお兄さんは震えながら泣いていました。みんなこの作品観たら泣くよね。(私は中年ラスカルのいい奴感がすごくて泣いた)
何がノスタルジーだったのかというと、2024年に新作映画を観てるとは思えないほど、圧倒的な過去を感じたからかもしれない。
特に過去を感じたのは、夏のビーチやセントラル・パークを思わせる公園にたくさんの人ならぬ"どうぶつ達"が居て楽しそうに動き回っている事。1980年代位の雰囲気や街の明るさ。そして何回も流れる『September』や、マイミックステープ。タイトル通り『ロボット・ドリームズ』なので、ロボ君の夢シーンが挟まるのですが。私も幼少期に自宅にて、お昼に窓から外を眺めながら"外に遊びに行きたいな〜"と妄想し、自由を渇望する子供だったので、そうゆうノスタルジーもあるのかも。📻
『フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン』
名画座で1回、家で1回観。
明るくてPOPな雰囲気が素敵なNASA映画。強すぎないラブストーリーと仕事・スカヨハ演じる広告屋の過去・黒猫大活躍🐈⬛と、機の打ち上げに向けての希望や緊迫感を楽しむ映画。
自分自身はひねくれ者なので、今作を観て『オッペンハイマー』『トップガン・マーベリック』『フォードVSフェラーリ』の良い部分を混ぜて作ったような印象を受け。。。少々苦笑いというか、コロナ禍前に観れば、もっと呑気な気分で観れたかもと感じた。
まあ舞台は1969年な訳で、ソ連との宇宙競争・ベトナム戦争の背景も映しているし、主演2人も本当に当時のアメリカ人になりきっているからか、昔の人っぽさやオールディーズ感を感じた。
(仕事人としては2人ともプロなんだけど)昔の人の恋愛を観て、ええ?となる感じというか。少し恥ずかしくなるようなエモーショナル映画だった。
『バグダッド・カフェ』
ミニシアターヒットの有名作をやっと今年観た。
砂漠っていってもアラビアではなく、アメリカの西部の砂漠が舞台の人間ドラマ。ギクシャクしていた人々が終盤にかけて心を通わせるストーリーなのですが、なんだか強烈な懐かしさに襲われた。
なんといっても、砂漠のモーテルと時間が止まったようなカフェのインテリアだったり、日差しに包まれる砂漠の静けさが凄いなと感じた🌞🏜️
私自身は東京育ちなのですが、幼少期は東京の割と静かな地域で育ったこともあり、この映画の序盤のシーンは"静かで晴れていて風が吹いていて、自分の力で、どこにも行けない感じ"をすごく思い出してエモーショナルな気分に。
登場人物達がなんとなく打ち解けていく感じも凄く良かったし、ラストの歌がバリ上手いシーンも楽しかったので定期的に観たい〜!
『トウキョウ・ソナタ』
この映画を観たのが10年以上前で、少し記憶が薄れている。観た後に、ロケ地で駒場東大前周辺の歩道などが使われているときいて だからこんなに親近感があったのか!とびっくりした思い出がある。家族それぞれの持つ、寂しさとか無言の時間に共感する昨品で、あの駒場の細い路地をふらふら歩いてピアノ習いに行く感じがやばい。(私は駒場育ちではない)育ってないのにあの風景がとっても懐かしかった。とりあえずもう一回観る。。!
『(ハル)』
森田芳光映画が個人的に凄く好きなのですが。この作品はBBSで交流する主人公2人を観ていて、懐かしさが爆発してしまった1991年生まれ。私はBBSだと思っていたが、この映画のあらすじを読むと"パソコン通信"と書いてある。考えてみればWindows95が発売された位の話だ。そう考えると気が遠くなりそう。。。↑写真のシーンの時に着ている赤いワンピース・手にはハンディカム(これも懐かしワード)が絵的にも完璧で最高。ラストシーンは新幹線のホーム、パソコン通信のみの交流だった2人が出会う瞬間だったと思うのだけど、このアナログとデジタルの狭間にいる時代が、自分にとっては本当に懐かしい空気だと感じた映画だった。
この映画も観てから5年は経っているので、もう一度観たい。
以上、5本映画をあげてみました。
いざ考えてみると、自分にとってノスタルジーは、心象風景とか記憶とかの要素が強いかもしれない。。。と思ったり🤔
おまけ
友人が美術館の展示を観ながらアンドレイ・タルコフスキーの『ノスタルジア』の話をしてくれた。私はタルコフスキー映画は『ノスタルジア』と『鏡』を観たけど本当に映画館で寝まくった思い出があって、内容も結構忘れていた。友人に対してもタルコフスキーさんに対してもなんか申し訳ない気持ちになった。次はしっかり観るぞ〜!