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AT限定解除は「つよくてニューゲーム」─AT限定免許持ちがクルマ好きになってMT車に乗るまでの話

「AT限定免許で十分」は本当か? MT免許で得られる意外なメリットとは https://bunshun.jp/articles/-/43506

こんな記事を見つけて、その勢いで下書きを書いたのがもう3年も前。ずいぶんと温めてしまいました。

この記事でも触れられている通り、20世紀中ならいざ知らず、ここ10年くらいのAT車が「性能的に」MT車に劣るという事はまずないようで、この令和の時代、あえてMT車に乗る事による合理的なメリットはなくなりました。
というか都市部ではそもそも、クルマを持つこと自体が既に合理的でないかもしれません。カーシェアなんかもだいぶ流行っておりますし。

ただ、それを差し置いてもMT車って楽しいんすよね。

しかしその「楽しい」にカネを突っ込み、私生活を犠牲にする事について、家族を説得できるかっていうところがポイントでして。
私はそこについてちょっと難しいので、次もやっぱりAT車を買うんじゃないかと思っています。
娘が大きくなったら、あるいは。

「欲しくなったら取ろう」という考え方

さて、記事の表題にある【「AT限定免許で十分」は本当か?】ですが。
私としては「普通の人はAT限定で十分。そんでMT車に乗りたくなったら限定解除すればいい」という、ふたつマルを付けてちょっぴりオトナな回答に至ります。メッチャメッチャー。

というのも私自身がそういう道をたどって、結果として意外とこれはいいぞ、と思ったんですよね。

クルマに興味のない若者が免許を取るまで

ここから実体験の話になります。軽く身の上の話も。

私が10代の頃は、まだスポーツカーを持て囃されていました。幼少期にF1ブームとバブル経済が生み出した国産スポーツカーの隆盛を目にして、そろそろ原付免許が取れそうな頃に頭文字Dが大ヒット。同世代のクルマ好きは数多くいました。

そんな同世代に反発するように、そんなにクルマが好きでなく、運転免許を取る気もあまりなかったのが私。
しかし専門学校に通い始めたある日、親から「金出すから免許取れ」と言われて、渋々教習所に通うことに。「早く終わらせたい」「親に金をあまり掛けさせたくない」「自分に運動神経が驚くほどない」という条件が揃うと、おのずとAT限定でいいよね、となりました。
時は2001年。場所は東北。AT限定の教習手帳を持っていたのは7~8人に1人くらい、それも私以外はほぼ女性でした。

その後、ブッチギリの運転センスのなさと、学科試験への騙されやすさで、オーバーしまくった多額の教習料にふてくされて1ヶ月くらい教習所に行かなくなったりもして、4ヶ月近くを掛けてようやく免許を取得しました。
AT限定ですらこれなんだから、MTだったら本当に取れたかどうか。

ただまあ、いったん路上に出てしまえば運転センスはどんどん磨かれるもので、たまにドライブしたり、バイト先へ親の車を借りて行ったりして、就職する頃にはすっかり一人前になりました。

遅咲きのクルマ好き開花、からのAT限定解除

就職先が(間接的にだけど)自動車関係だったこともあって、やがて私は遅咲きのクルマ好きに変貌していきます。直接的な諸悪の根源は「頭文字D」と「グランツーリスモ4」。あと「ホンダ」。

00年代前半当時のホンダ党となると、やはり気になるのはVTEC。当時の新車についたi-vtecではなく、90年代後半に出回ったB系やK系といった、スポーツにも街乗りにも適した夢の高回転型エンジンを、自分もブン回してみたいと思うわけです。
しかしこれらの搭載車は当然のようにみなMT車。ここでついに自分がAT限定免許である事が障害になります。

で、それなら限定解除しようと決心しました。

幸い当時の職場は、ほぼ1年スパンのプロジェクトに参画して、それが終わった直後は比較的まとまった有休のとりやすいところでしたので、有休と定時退社を駆使して短期間で教習所に通い詰める事にしました。

限定解除に必要なのは、教習所にもよるのかもしれませんが、私の場合は以下の通りでした。

  • 5万円ほどの教習費

  • 3~5日ほどの実技教習

これも教習所によるのでしょうが、教習の結果で見極めが取れれば、路上教習や卒業試験、免許センターでの試験等もなく、修了証書を免許センターに持っていって完了でした。

そして中古車探しを始め、約1年後、住まいから300km以上離れた埼玉で見つけた初代シビックタイプR、所謂EK9を買うに至ります。

限定解除は「つよくてニューゲーム」

さて、ここからが本題。

2001年当時の話ですが、AT限定免許とMT免許の差額は、たしか2~3万くらい。その6年後にAT限定解除に掛かった教習料は、5万くらいでした。
今はどうなのか分かりませんし、通う教習所にもよるのでしょうが、ここに免許更新にあたる様々な費用も掛かりますから、最初からMT免許を取るより、金銭的には無駄と言えるでしょう。

それに私の場合は仕事の都合がつき、プライベートでもさほど忙しくなかったので何とかなりましたが、大人になると時間の確保ってメチャクチャ大変です。特に平日は。

しかし限定解除の利点は何と言っても、表題に示した「つよくてニューゲーム」

限定解除で教習所に通う際は、免許を取りに通ってた当時にはなかった、膨大な運転経験が多いに活きてきます。普通に何年も運転していれば、当時儀式的に覚えるしかなかった諸々の行為が、自然にできるようになっているはず…だよね?みんな法規守ってるよね?
なので、MT車の操作だけに集中して教習を受けられます。

つまるところ、AT限定で免許を取れば、MT車の複雑な操作を覚えずに、クルマの運転と交通ルールに集中できる。
やがてMT免許が必要になってきたときに限定解除すれば、それまでで身についた運転技術でMT車の操作に集中できる。
どちらもハードルがぐっと下がり、精神的負担がだいぶ軽減されるわけです。

そうしたら免許取得時の時間オーバー代ももっと減らせて、結果的にはお得にもなるはずです。もっとも、AT限定ですら多額のオーバー代を親に払わせた私が言うと説得力がないですが。

今やトラックすらATの時代。急にMT車を運転しなければならない事態なんて、運送業などに勤めでもしない限り、ほとんどないでしょう。
なので、MT免許が必要になるのは、大抵は趣味の変化、あるいはパートナーのクルマがMT車だったなど、猶予のある理由にとどまるかと。

これを読んでる免許未所持者がどのくらいいるか分かりませんが、参考になれば幸いです。

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