見出し画像

GODJ Plusを改造してみようとした話 その1・内蔵メモリ拡張に失敗

何とも締まらないタイトルである。

私にはできなかったので、第二・第三の改造を試みたい人たちに期待しようと思ったんですが、まだ望みはありそうだなあという事で、その1としました。

地元産の夢のDJ機材がやってきたと思ったらメーカーとサポートがなくなってしまった

GODJ Plus。

宮城県発の国産ガジェットとして「Makuake」でクラウドファンディングを行い、音楽ジャンルでの国内クラウドファンディング史上最高調達金額(当時)を5300万円超で更新した事で、県の経済誌にも顔を出すなど、2010年代後半において大変話題になったプロダクトでした。

宮城県で生まれ育った者として、趣味でDJをやっている者として、このプロダクトには当初からかなり注目しておりました。そもそもGODJが欲しかったところに、縦フェーダーやパッドがついたモデルは実に魅力的で、早期に出資してGODJ Plusを手に入れ、今でもメイン機器として活用しています。

・・・が。

その後、純国産を謳ったはずがファイナルロットは一方的に韓国製へ変更となり、メーカーのJDSound社は突然の韓国人社長へのトップ交代、従業員の一斉退職、そして解散、製品サポート打ち切り・・・と、あれよあれよという間にGODJ Plus神話はガラガラと崩れ去り。
今は誰のサポートも受けられないポータブルDJ機器が手元に残るのみとなってしまいました。

今後もし故障しても誰も修理してくれませんし、だとしたら、せっかくならこれまでやってみたかった改造をいくつかしてみようと思い立ちました。
しかし本来は「故障しないように気を付けよう」とするのが賢明です。この記事を参考にして行ったあらゆる行為は自己責任とし、決して私に文句を言わないでください。

というわけで、まずは分解

画像1

最近は分解をさせまいと、ネジが外側になかったり、あるいは特殊な形のネジを使ったりする製品も多いですが、GODJ Plusは全て+ネジ。
GODJ Plusではなく同社製品のOVOでのことですが、社長(当時)の宮崎氏は買った人自身で手を加えられるように…という理由での事とおっしゃっていました。今度OVOも分解してみるかな。

さて。

ネジをすべて外し、スピーカー側にちょっとした引っ掛かりがありますが、ゆっくりじっくり開けていきます。蓋側にスピーカーとバッテリーがくっついているので、コネクタを慎重に外すと、晴れて中身が白日の下に。

画像2

まずは蓋の方から。

画像3

バッテリーは電子部品店でよく見る一般的なLi-Poでしょうか。絶縁のためか板と接着しています。正直なところ、こういうガジェットはバッテリーがヘタると一気に使い勝手が悪くなるので、一般的な3.7Vのものであるなら、おそらく交換可能であろうというのはうれしい限りです。
マルツで5000円くらいで買えたかな、確か。

画像4

スピーカー部分を、その発展モデルであるOVOと並べて撮ってみる。
当たり前ですがブラケットがプラスチックなので、鳴りを良くするならこの辺の材質を変えてみると良いのかもしれません。元々のモノが良いらしいので、きっと伸びしろがあるはず。

ところでこのスピーカー、当初は「どうせライン出力するんだし、スピーカーなんて邪魔なだけ。なくしてもっと筐体を小さく薄くしてよ」なんて思ってましたが、しかしこれがあると意外に便利で。
首都圏在住時、代々木公園のDJ仲間の花見にこれ1台持参して、飛び入りDJができたりもしました。PCDJコントローラーではこうはいかない。

画像5

お次は本体側。基盤が+ネジで止まっています。
以前バーでアルコールをかぶってしまった事故があり、その際にオーバーホールを試みたんですが、一度外すと元に戻すのが結構面倒でしたので、今回はここまでにしておきます。

画像6

実装されている部品でひときわ目立つのが上の写真の左側にあるIC。「winbond W9825G6KH-6」とあります。調べたところ台湾のメーカーwinbond社のSDRAMのようでした。何に使われてるんだろ…位置的に画面描画用のバッファメモリかしら。
下のHA125はテキサスのらしいですが、よくわかりませんでした。
右側は裏面のディスプレイに繋がるフレキですね。

まずやっておきたかった事は「内蔵メモリの拡張」

画像7

さて、分解したところでいよいよ本題。
まずやってみたかった事は「内蔵メモリの拡張」です。

先述の通り一度オーバーホールのために分解済みなのですが、その際に基板上にmicroSDカードが実装されていたことに、実は気づいておりました。
容量が16GBですし、恐らくこれが内蔵メモリなのでしょう。
後で気づきましたが、隣に実装されているMKL27Z32というICがARM CPU搭載のマイコンでしたので、これが中枢となっていると思われます。

画像8

ちょうど手元にUbuntu MATEを組み込んだラズパイがあったので、これで中身を見てみると、フォーマットは意外にもFAT32。
私はこれが組み込みLinuxやμITRONのようなもので稼働していて、そのハードディスク的な役割をこのmicroSDカードがしていると思っていたので、恐らくWindowsでは読めない類のフォーマットだろうなと睨んでましたが、見当違いもいいとこでした。

画像9

続けて中身を見てみると、音楽データとWindows PCに接続したときにできるデータだけ。本体をPCにUSB接続したときに見れる中身そのままです。
てっきり、ここに曲ごとの解析結果やキューポイントの記録がされていると思ったんですが。

という事はだ。
これ、単にmicroSDカードを差し替えるだけで容量を拡張できるのでは?

先述の通り特殊なディスクフォーマットで本体の情報を記録する領域もあったりするだろうから、元のイメージを吸い出して容量の大きなディスクに焼いて、パーティションを変更…くらいの事が必要だと思っていたのですが。

画像10

というわけで、部屋にあるmicroSDを2枚ほど持ってきました。
一番右がGODJ Plusの内蔵メモリ(SDHC 16GB)、一番左がSDHC 32GB、そして真ん中がSDXC 64GBです。
GODJ Plusは件のファイナルロットで内蔵メモリを64GBに拡張したそうですので、恐らくこうやって64GBに換装したんじゃないかと踏んでいました。

結論。
どれを刺しても起動しませんでした。

内蔵メモリ以外のmicroSDを刺すと、電源もリセットも反応しなくなりました。泣く泣く内蔵メモリに戻してリセットを押したところ、これまで通りに無事起動し、内蔵メモリ内の楽曲でプレイできました。

ちょうど珍しく使いたい用事もあったので、ここで一旦調査終了。

考察とまとめと今後の課題

まず64GBのmicroSDは、カード自体の規格がSDHCではなくSDXCです。
(フォーマットはたまたまexFATではなくFAT32でした)
SDカードの規格の違いをどう吸収しているのかよく分かりませんが、そもそも「製品としての」SDカードスロットはSDXC対応ですので、ソフトウェア的な違いだけではないと思われます。
という事は、コストダウンなどの目的で、内蔵メモリだけはSDXC非対応のハードウェア構成になっている、とかでしょうか。
いや、ほんとにSDカードの規格の違いが分からないので、推察ですけど。

次に32GBのmicroSD。こちらは本来の内蔵メモリと同じSDHCですので、規格の違いは理由になりませんが……実は後で分かった事に、調査に使ったmicroSDはパーティションを切り直せないくらい故障してました。
元々ラズパイに使っていたのですが、WindowsのSDFormatterやDISKPART、UbuntuのGPartedを使って、何度パーティションを削除しても消えず。

というわけで、GODJ Plusの内蔵メモリについてまとめると。

・SDHC規格のmicroSDカード。フォーマットはFAT32。
・SDXC規格に対応していない可能性がある。(単に相性の可能性も)
・プロテクトが掛かっている事を疑ったが、FAT32フォーマットで隠しファイルも見つからないので、可能性は低い。
・microSDカードのデバイス情報?を識別している事も考えられるが、量販品のmicroSDカードでそんな事できるのかね、という疑問もあり、微妙。

今後の課題としては以下の通り。

・32GB SDHC規格のmicroSDカードは、壊れていないもので改めて調査
・64GB SDXC規格のmicroSDカードは、もう何枚か試してみる

改めて調査しましたら、その2を書こうと思います。

そういえば…

ここまで記事を書いて気になったんですが、基板上に実装されたmicroSDカードが単純な内蔵メモリなら、曲ごとの解析情報やプレイリスト、キューポイントなどの管理情報は、どこに保存されるんでしょうか?

ちょっとしたEEPROM程度の情報量じゃないと思うんですよね。もしかして基盤裏面にもSDカードが実装されていたりするのかしら。
次に分解するときは、基盤を外すところまでやってみようかと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?