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Aぇ! groupの「AKAN」がえぇ曲すぎるわ
Aぇ! groupのDNAをあらゆる曲で表現したファーストアルバム「D.N.A.」。
アルバムの曲について語りたい、語りたい、語りたい…!
それぞれの曲が、どのようにDNAを表現しているのか、ということも考えるほどにおもしろい…!
ということで今回は手始めに、関西人の血に流れる「あかん」を曲にした「AKAN」について語りたい。
私自身も関西人であり、「あかん」という言葉は血管に流れている。「あかん」でしか表現できないニュアンスがある。
そこをうまく汲んでカッコよく昇華してくれた「AKAN」のえぇところを3点、掘り下げてみたい。
1.関西弁に忠実
初めて聴いた時、なんでこんなにしっくりくるんやろうと思った。それが、終盤の「心だけは大事にせなあかんわ」を聞いた時、「こころ」「だいじ」のイントネーションにビビッときた。そう、関西弁で話すまま、音程になっている。関西人の皆様、試しに、「心だけは大事にせなあかんわ」と声に出してみてほしい。もう「AKAN」は歌えたも同然である。
作詞作曲をしたのはシンガーソングライターAyumu Imazu。恥ずかしながらこの曲を聴くまで存じ上げなかったが、大阪出身と聞いてめちゃくちゃ納得。
「あかん」が遺伝子レベルで染み付いていないとこのイントネーションで関西弁は使えない。
関西弁ネイティブなら気持ちよく歌えるフレーズで溢れている。
下ばっか向いててもあかんわ
突っ立ってても何も変わらんわ
そんなんじゃ何も変わらんわ
2.「関西」GENE
関西アイドルに提供される楽曲にはしばしば、「たこやき」「なんでやねん」のような、あからさまな関西らしさ(=大阪らしさ)が散りばめられる。関西人からすれば舐めんなよと言いたくなる。
とはいえ、関西アイドルが避けて通れない道ではある。粉もんもツッコミも関西人の「DNA」ではある。それは認める。私だって関西アイドルにDNAをコンセプトに音楽を提供できるなら、タイトルを「熱々いける?」とかにする。申し訳ない。この曲もご多分に漏れず関西アイコンが散りばめられている。さて、「AKAN」に込められた関西遺伝子は。
放つ言葉にルーツを感じたいんだ
このままじゃあかんわ
初っ端からジャブ打ってた「あかんわ」がここで爆発する。「関西弁」を「放つ言葉」からの「あかんわ」で表現している妙味。
551聞くたび お腹が鳴る現象
流れる血はいまだに継承
なるほど、食べもんは豚まんできたか。我々は「あるときー!あははははー!」が血に流れている民族である。
たまにご褒美の飴も 忘れたらあかんわ
「アメとムチ」のニュアンスに混じる飴ちゃん文化。そら飴は忘れたらあかんわ。
これらの関西遺伝子が、歌詞を見て初めて気づく程度に、サラッと散りばめられていて、関西弁がオシャレな「音」として使われている。関西人としてはありがたい限りである。
3.日々をルーツで救って
アップテンポでリズミカルに展開される曲だが、歌詞はどこか陰があり、不満を募らせるニュアンスさえある。
私はこの曲のタイトルを「東京」に置き換えてみた。関西出身の大人の、上京ソングである。
圧巻されただけじゃまだ終われないでしょう
仕事で、或いは夢を追って上京。目の前のすべきことを着々とこなす日々、周りと自分を比べる日々のなかで、東京という町に圧巻されて諦めかけた時、このままじゃ終われないと思い直す。
怯んだ遺伝子 呼び起こさあかんわ
と。支えになるのは自分のルーツだった。忘れかけていた関西魂だった。
さらにおもしろいのは、繰り返される「〜せなあかんわ」「〜しててもあかんわ」という言葉は、始めこそ切羽詰まった、自分に何かを強いるようなニュアンスが滲むものの、曲の後半になるにつれてポジティブなニュアンスに変化していく。例えば、
たまに立ち止まることも 忘れたらあかんわ
には、最初は「諦めようかな」という面もあると思う。でも、自分のルーツに誇りを持って動かないとって頑張る中盤を越えると、「マイペースでやっていこう」という表現に聞こえる。そして結末は
心だけは大事にせなあかんわ
コテコテのこれである。夢を叶えたいという心も、がむしゃらに戦って壊れそうな心も、関西人としての心も。心だけは大事にせなあかんわ、に行きつく時間的流れもまた、おもしろい。
まとめにかえて
デビューしたばかりのAぇ! groupの「上京ソング」であり「DNAソング」であるこの「AKAN」。不安な時こそ自分のルーツが、慣れた言葉が力をくれるのだと思う。作詞作曲をしたAyumu Imasu自身もアーティスト留学を経験し、アメリカでも活動をしているが、「あかん」に救われた日があったのかもしれない。いつか、セルフカバーなんかも聴いてみたい。
私だっていつか関西を出た時、「あかーん」と宮川大輔ばりに叫びたくなる日が来ると思う。そんな時はこの「AKAN」を聴いて551でお腹が鳴る遺伝子を呼び起こさなあかんわ。