『物の間違った使い方』豊岡演劇祭2022@絶景温泉 北前館 活動記録
2日目 @絶景温泉 北前館
1日目とはうってかわって、海を目の前にした会議室。
大きな窓からは日本海を一望することができる絶好のロケーション。
歩いて10秒で浜辺にも行ける。
2日目は この北前館で、ワークショップが行われた。
今日は、参加者の方が多種多様。
地元の方、学生さん、豊岡演劇祭に参加のアーティストさん、近くでやる公演の前にふらっと来てくださった方、など。
ひろーい会議室で、椅子を円形にして、皆さんの顔が見える形でのスタートとなった。
またもや壁にスライドを写して、ポシロ舎の活動、今日のワークショップの内容なんかをお話しした後に
みんなで丸い円卓を囲んで、「洗濯バサミゲーム」
同じ洗濯バサミでも、見つける人によってこんなに色んな使い方があるんだな!と思わされる。昨日とはまた違った、多種多様な洗濯バサミたち。
洗濯バサミが…スマホスタンドになり、蟻からみた東京タワーになり、、ぱちっという音が指パッチンの代わりになり、眉毛になり、解体されてスリッパになり、マスク留めになり
その後、場所の探索。昨日はお屋敷で、今日は海。
まずは大きな窓から海をみてみる。
少し上から俯瞰的に見渡せる景色。
改めて色々な発見がある。
実際、浜辺にも行ってみた。
でも、実際行ってみると、あまりにも浜辺と海を、「浜辺と海」としてしか認識できていない自分に気づいた。
「海が見える!」という興奮はあるものの、「海」をそれ以上に捉え直すことの難しさを感じた。
その後、会議室に戻って、各々のものと向き合う時間へ。
今日は、広い部屋に大きな丸いテーブルを何個か置いて、その上に道具を置いてみた。色ごとに分けてみたり、会議室ならではの、椅子も雑多に置いてみた。
テーブルごとに人が集まって、参加者同士での合作が多く生まれていたようだった。
今回は、アイディアがあまりにも豊富だったので、お芝居形式での発表ではなく、それぞれの「間違った使い方」を発表していく形式に。
立っている女性の上に、椅子を重ねていく。その椅子の脚の部分にハンガーに着せた服を掛けると・・・なんと、ちょうど女性が着ているように見えるではないか。
立体的なマネキンの完成。
海に行けない、そんな時は。そろばんで波の音を奏でて、海辺にいる気分を味わえます。
木製の取手の上に赤い丸いのがついてるからけん玉かと思ったら・・・
鉛筆に赤い風船付いてるやつだった!!!!
大きな窓際に椅子を並べて、パラソルも付けて。ラグジュアリーなビーチチェア。
あるテーブルでは、大人数での「間違った使い方オーケストラ」が結成されていた。こんな合作ができるとは。
壁にベルト、ハンガー、その下にくるっと丸めた白い画用紙を洗濯バサミでくっつける。丸めた部分がちょうど良いアクセサリー置き場に。
そろばんの上にスリッパを重ねて、ローラーシューズ。
その右左を紐でくくりつけ、エクササイズマシーンに変化。
この時も、「子供のころこんなことしていたら親に絶対に怒られたわね」とおっしゃる参加者の方がいた。
自身の髪の毛を束ねた先を、ティッシュペーパーケースのフタ部分の穴に通す。同じくその穴に縄をつけ、その先っぽには洗濯バサミ犬(洗濯バサミとハサミでできた犬)が!ハンズフリーでお散歩が出来る画期的スタイルがそこに。
おしゃれとして、ずっと眼鏡の肢の部分やマスク、シャツの襟にアクセサリー感覚で洗濯バサミをつけていたり、
赤い風船の口をつける硬い丸い部分だけを切り取って、輪ゴムにしていたり、
ナチュラルに間違った使い方を体に馴染ませている方もいた。
遊び方がお上手。
最後に振り返りの時間。
皆さんに今日の感想を聞いていく。このワークショップ自体の難しさを伝えてくれる方もいたし、もしかしたら今日はあんまり発想が出てこなかった、まとまらなかった人もいたかもしれない。
でも、これは「間違った」者の使い方を探していくワークショップ。
正解はない。のです。
人は日々、成長していくし、知識も増えていく。
知らなかったものを知って、正しさを覚えていく。それだって難しいこと。
でも、それを一旦ゼロにする、というのも難しい。
むしろ、こっちの方が難しいのかもしれない。
「ものの間違った使い方」を考える時、一旦頭をゼロにしてそのものと向き合うことが出来る。そういう思考の方法を、ものじゃなくても、例えば人や、経験や、行動に対しても使っていくことが出来たなら。
いつもと違った景色に出会えるのではないか。
失敗しちゃったな〜と思うことも、考え方を変えてみれば、あながち悪いことじゃないかも?って思えたり。
「間違った」と思っていても、考え方を変えてみれば、そもそも「正しい」ってなんだ?ってことに立ち返れたり。
自分自身、このワークショップを通じてこんな事を考えていた。
この考え方すらも、またゼロにして「間違った」使い方を考えていく。
日々は、続く。