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成長著しいJoey Estes

ジョーイ・エステスとは?

エステスが贔屓にきて以降ずっと彼には注目していますが、思ったより順調のペースでMLBにたどり着けそうなのでnoteにします。エステスは2019年に16巡目(全体487位)にアトランタ・ブレーブスに指名され、2021年オフにマット・オルソンの対価としてオークランド・アスレチックスに移籍しました。当初は対価の中では最も注目度が低く2022年前半はA +で苦戦するも、後半に調子を取り戻すと2023年はAAで防御率3.28、被打率.215と上々の成績を残し、7月にはAAAに昇格しました。以下エステスの特徴を掴むために公式のスカウティングレポートを引用します。

スカウティング・グレード 速球: 55|スライダー 50|チェンジアップ 45|コントロール:50|総合:45

ブレーブスが2019年ドラフト16巡目指名で0.5M程度のボーナスを得て、スロットバリューを大幅に超える契約を結ぶまで、エステスはカリフォルニアの高校からロングビーチ州立大に進学を予定していた。ドラフト指名された夏に17歳でプロデビューした彼は、プロ野球の最初のフルシーズンで2021年Aーの最優秀投手の栄誉を獲得し、2022年にマット・オルソンとの取引の一部としてアトランタから彼を獲得したA'sにとって魅力的なプロスペクトとなった。

A'sは、A +で91イニングを投げて92奪三振、防御率4.65を記録した20歳のエステスの投球を気に入った。彼は速球を95-96マイル(約153-155キロ)にまで上げた。80マイル中盤のスライダーも効果的で、昨季はチェンジアップも織り交ぜていた。

マウンドではアグレッシブで、ゾーンをストライクで埋め尽くす。今のところ、彼の武器に必ずしもプラスの変化球があるわけではないが、それは時間が経てば出てくるかもしれない。彼の最終的な役割は、セカンドピッチをどれだけ磨けるかによって決まるだろう。今のところ、A'sは彼を先発で起用し続け、彼がどれだけ良くなるかを見ることで注力している。

MLB公式より

本noteはスタットキャストデータを元にエステスがどのような選手か分析します。3Aのスタットキャストデータの取得はa.na.nさんの記事を参考にさせていただきました。今まで見れなかったデータが多く見れるようになる画期的な記事なので是非ご一読ください

イメージしやすいようにエステスの映像も載せておきます。


エステスの強みはどこにあるのか

①速球のクオリティ

まずエステスの球種の割合を見てみます。

エステスの球種別投球割合

投球の6割は速球が占めており、速球がエステスの投球の軸だということがわかります。エステスの速球は93.4マイルと平凡ながら平均スピン量は2308とAAAでは上位20 %の部類に入ります。球質は縦変化はホップ成分が強く、横変化はシュート方向に変化しますがMLBレベルで見ると変化量に特筆するものはありません。現状のレベルでは十分通用する球種ではありますが、MLB でこの球種一辺倒で通用する可能性は低そうです。

②コマンド

そんなエステスを支えているツールはコマンドです。K/BBは3.00近くを常に推移し、今年の2Aでは約67 %もの割合でストライクゾーンに投げ込んでいます。
スカウティングレポートでもあったように特筆する変化球がないながらも好成績を残している要因はそこにあると考え、各級種別にどのゾーンに投げ込んでいるか分析しました。

⑴速球

速球は他のラジングファストボールの使い手と同じように高めに集中させて空振りを奪うスタイルであると考えられます。また、速球はほとんど低めには投げこまない傾向も見て取れ、速球を高めのコーナー周辺に集めるのがエステスの投球の基本であることは間違いないでしょう。

⑵スライダー

スライダーは速球とうって変わって低めが中心になります。低めの速球を活かすための低めの意識づけをこのスライダーを使って行われていると推測できます。また実戦を見ていると捕手が割とゾーン内や高めにスライダーを要求しています。ストレートを狙う打者をスライダーで躱わす目的があるのではないかと考えられます。スライダーはマップや投球映像を見ても狙った場所に投げられている割合が多く、このスライダーのコントロールがエステスの強みのひとつになっていると考えられます。

⑶チェンジアップ

チェンジアップも基本的にはスライダーと役割は同じと考えても良さそうですが、チェンジアップは捕手の要求と違うコースに行く箇所が多いように感じます。高めに行く割合が多いのは抜け球の割合と考えて良さそうです。

⑷カーブ
エステスはMLB レベルでも多い部類のスピン量のカーブを使いますが、これも他の球種と同じく変化量は平凡です。20球しかサンプルがないためマップは出しませんが20球のうち15球はゾーン内に投げ込んでおり、球速の緩急をつけることや、ストライクカウントを稼ぐのに有効な球となっています。

③総合力

エステスの最大の強みはこれら①②を見てもわかるように全ての面で大きな欠点のない総合力にあると自分は考えます。高めにホップ成分の多い4シームを中心に、スライダー、チェンジアップをゾーン内外のある程度狙った場所に投げ込み抑えていくというのは簡単なようで実践できている投手はそう多くはありません。3Aで20回投げてHRを6本打たれながらも被打球速度84.7マイル(3A上位12%)に抑えられているのは何か1ツールで説明がつくものではないと自分はは考えています。

エステスの課題とこれから

①エステスが直面するであろう課題

4シームの部分でも触れましたが現状通用している速球がMLBレベルでは打たれる危険性は高いです。強みのスピン量や縦変化はMLBレベルで見ると上位40 %レベルであり、また、Extention(リリースがホームプレートからどれだけ近いかを表す指標)では現状のまま昇格したと仮定するとMLB でもかなりの低さになります。昨年からHRの指標だけは危険水準を維持し続けているエステスにとっては、4シーム頼みの投球が今後続けられるのかどうかには疑問が残ります。

②それでもエステスが活躍を信じる理由

このような不安要素を抱えながらもエステスが今後MLBレベルで活躍できる可能性は十分にあると私は考えています。その理由の1つに年齢の伸びしろが挙げられます。今年3Aに昇格したエステスですがまだ21歳と若いです。以下のリストは2014年から昨年までの9年間、21歳以下でPCLに昇格した投手(20回以上)をまとめたものです。

以上のリストには今MLBで活躍していたorしている選手が多く含まれています。明確な長所を持たないため過小評価されていますが、エステスは成長速度だけで見るとこれらの投手と肩を並べることができる投手なのです。またこのリスト内で3A昇格時点で球速面で93マイル程度または以下の投手だったフリオ・ウリアス、ジャック・フラハティ、ホゼ・スアレスは球速が1マイル以上MLB に昇格した後に上昇しています。エステスもこれから速球の球威を磨ける可能性は大いに残されています。
また、エステスはPCLに昇格して以降も新たな挑戦を続けています。その一つがカットボールの習得です。

3Aでの昇格後に披露したカットボールは、球速帯はスライダーと同じな一方で縦に落ちる成分が強く、前者との微妙な変化で打者を惑わすことが期待されます。現在の投球スタイルを進化させるエステスの試みがうまくいく事を願うばかりです。

最後に

先日OAKのデイビッド・フォーストGMがPodcastにてエステスについて言及していたので引用します。

ここでエステスについてフォーストGMは「ここまでの成長には目を見張るものがあり、3A でも好投している。9月の昇格候補としてジョー・ボイルの競争相手となっている」と話しています。明日の先発登板や明確に競争相手として言及されているジョー・ボイルの状態によってではありますが今季中の昇格が現実味を帯びてきているのは間違いありません。もし今季中の昇格がなかったとしても今オフにルール5の対象となるためプロテクトだけは最低限して欲しいと1ファンとして願うばかりです。



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