見出し画像

ノイジー論之概略

これまでのノイジー

OAKから阪神に来て日本シリーズ優勝に大きく貢献したノイジーのこれからについて1ファンとして前向きな考察をしていきます。
ノイジーは2022年の冬に阪神への入団が決定しました。

上記の記事ではノイジーのコンタクト力と広角に飛ばせる力を岡田監督が高く評価して「つなぎの3番」として獲得を決定したという経緯が書かれています。
確かに2022年のノイジーはヒットを打つという意識がとても高かったように思えます。下記の記事でもヒットを多く打つことに意識を割いていることに言及しています。

“You’ve gotta be able to hit your way into the lineup,” Neuse said. “I hope that I could do that. Defensively, I feel comfortable anywhere. I feel like I can move around, infield and outfield. I think my versatility helps me. It allows me more opportunities to get in and hit, which is the ultimate goal. You just gotta hit.”

上記記事よりノイジーの発言を抜粋

開幕するとノイジーは開幕前の意気込み通り4月はヒットメーカーとしてOAKの中軸を担いました。この頃のノイジーについてはもーさんが詳細な分析をされているのでこちらに準拠します。

シフトの逆をつくウィークヒットでノイジーはOAKの中軸として4月のチームの健闘に大きく貢献しましたが、結局長くは続かず9月24日にDFAとなってしまいます。しかし、先の岡田監督のコメントを見るとこの頃のノイジーのある種の「確実性」を重視した打撃がNPBへの適応を苦にしないだろうという予測に繋がったことは想像に難くないでしょう。これは確実性や器用なヒットを打つ選手が好きな立浪監督もノイジーを狙っていたことからも裏付けられます。
そんな経緯で入団したノイジーですがOPS.623とシーズンの結果は好ましいものではありませんでした。LFにしてはパワーも確実性も足りず、LFの守備ではUZRー7.9とチームの守備を大きく引っ張る結果となってしまいました。しかし日本シリーズ最終戦の活躍と本人も残留を強く希望したため来季も減俸のうえ残留が決定しました。
ノイジーは確実性や器用さを買われて入団しましたがその力を発揮できないままシーズンを終えてしまったというのが実情です。

どんな助っ人が活躍しているのか

助っ人枠の現状

かつてはマートン、ゴメス、バレンティンなど多くがチームの中心を担った助っ人ですが、特に打者に関しては大きな逆風が近年吹いています。筆者の集計によると今年の助っ人のOPSは.620と低く、今年加入した選手で最も高いOPSを記録したのはマキノンの.728です。NPBは選手の移動が少ないため弱点の補強には現在も助っ人の補強は有効ですが、チームのコアとして助っ人に大きな期待を寄せるということは近年の環境だとできないのがNPBの現状にあります。

活躍している助っ人の特徴

次にこのような環境下で結果を残している助っ人はどのような選手が多いのか調べました。以下の表は2020年までにMLBで100打席以上たった助っ人を対象にその当時の打球速度、Chase(どれだけボール球を振ったか)、Whiff(どれだけ空振りしたか)を集計しNPBでの打撃成績順に並べたものです。

コンタクト力を示すWhiffとNPBでのOPSに全く相関が見られないのに対してNPBでのOPSとMLBでの打球速度には相関係数0.75と小サンプルながらそこそこ強い相関が見られました。器用な選手の方がNPBで活躍しやすいという考え方は従来はありましたが、パワーのある選手の方が現在のNPBでは活躍しやすいようです。

これからの「ノイジー」の話をしよう

以上を踏まえて来年のノイジーの成功できる要素について考えます。

①パワー面

器用さや確実性を買われて獲得されたノイジーですが、OAKのプロスペクト時代もパワーは高く評価されていたように実際はそんなにパワーレスな選手ではありません。
もう一度先ほどの表を見てみるとヒット重視に大きくシフトしたと考えられる2022年でもノイジーはOPS.700以上を記録している野手と遜色ない打球速度を記録しています。

再掲

ノイジーというと打球角度が低い単打のイメージが強いと思いますが、日本シリーズの最後2戦のような長打力を発揮できる素質は2022年にマイナーで長打率.611を記録していることも踏まえれば十分あると考えられます。

②守備面

前述したように守備力で大きくマイナスを記録してしまったノイジーですが外野に関しては2021年にLADで27イニング経験した程度でフルシーズンでのOFは初めてでした。全く守ったことのない球場で経験のないポジションをやっていたと考えると、来年多少改善される余地は十分にあると考えられます。
事実、外野の名手として活躍したアレックス・ゴードンや、DRS +10を広いオークランドコロシアムで記録したチャド・ピンダーも外野を本格的にこなし始めたシーズンのDRSはそれぞれ+3、0と特筆する数字ではありませんでした。肩がよく、懸念されている走力面もMLB全体で下位35%と極端な鈍足でない点からもノイジーの守備力が来年向上する可能性は大いにあるでしょう。

③その他

これは副次的な要素ですがノイジーはまだ28歳と助っ人としてはかなり若いです。この年齢で3Aで結果を残せている選手と考えれば、同じような選手を引っ張ってきて試せる確率は割と低いと思われます。勤勉な性格は岡田監督も認めるところです。

また、残留決定した際の取材でノイジーの打撃フォームを変更するように岡田監督がノイジーに注文をつけたことが明らかになりました。メカニクスの変更が追い風になることを願うばかりです。

総括と阪神タイガースへのお願い

ノイジーの今年の成績は確かに不甲斐ないものでしたが、かなり素質のある選手であり、近年の助っ人選手の不振を考えれば残留も不思議ではない選手だと自分は思いますし、来年度の活躍を信じています。また長期的に助っ人を保有していくケースがノイジーと同じような成績に甘んじたマイケル・フランコが残留したことなども考えると今後は増加すると予想されます。
最後に阪神タイガースに1つお願いがあります。日本シリーズ最終戦のノイジーのHRについてですが、公式が動画を上げていないために違法アップロードでの視聴が急増しています。海外の野球アカウントがノイジーの活躍を紹介する際も違法アップロードがさらに転載されていました。京セラの試合だったので難しい部分もあるとは思いますが球団史に残る本塁打であることは間違いないと思うのでアップロードをご検討いただけると幸いです。

データはBaseball Savant から

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?