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落語聞き覚えメモ『牛の丸薬』笑福亭仁鶴
(喜六、以下●)いてるか?
(源助、以下■)上がり上がり。
●何してんねん?
■え?
●何してんねん、ちゅうてんねん。
■うーん、だいぶん温くなってきたんでな、こたつをもうしまおうかいなぁと思てな。ゆんべ裏庭へ放り出してあったんや。ところがえらい夜通しの雨で、こたつがぐちゅぐちゅになってもてな。土でできたあんねん、大和炬燵やがな。えらいことをしたなぁと思いながら土をこう指先で捻っているとな、丸薬ができるやないかいな。おお、えらいこれはおもろいなぁと思いながら、こう捻っていると、ぎょうさんでけたんで並べて干したあんねん。
●えぇ、えぇ??ほんでこれ何効くねん?
■なんにも効かん。
●いや、なんにも効かんってお前、なんにも効かんもんをこない並べといて何するつもりやいな?
■いやぁ~これをな、なんぞに効かしたろかいなと思て、いまわしは考えてんねんけどな。お前、からだ明日一日空いてるかいな?
●明日も明後日もずーっと空いてんねや。
■日当二円出すけども、どや?明日一日付き合わへんか?
●ありがたいがな!五十銭でも行くねんわいはな、ほんでどんな仕事すんねん?
■そらもう明日来てもうたらわしが考えとくさかい、朝早ぉにやって来てや。
●んー。
明くる朝、何を企てましたかこの男、早ぉから小さい風呂敷包みをこしらえまして、右の男に持たして、東へ東へとやってまいります。まぁいまでもそうですが、家並みのたくさん並んでるところから郊外へぽっと出ますと、なんとのう気分といいますか、運気が変わるもんで。まぁ昔の話ですから特に春先のことでございまして空には雲雀がさえずっていようか、野には陽炎が燃えていようか、菜の花が綺麗に黄色ぉなっております。その中を二人そろぉて、とぼーとぼ...
●いやぁー、最前までなんじゃ眠とぉかったけど、やっぱり青いもんは目の薬やちゅうのはほんまやな。目がこぉぱっと覚めたような具合やな。
■ちょっと黙ってんか。わしゃいま考え事をしてんねや。しばらく黙ってて。
●ん。何も言えへん。しかしまぁたまにこうして二人で出るのもええもんやな。久しぶりやな。二人で揃うて郊外へ出るというのはな。なんとか言いな。
■黙っててちゅうてんねんしばらく。わしゃいま考え事をしてんねさかい。
●ん。何も言えへん。えぇ天気やなー。雲雀がさえずっているしなぁ、蓮華たんぽぽが綺麗に咲いて。麦もだいぶ伸びてきたな。えぇ気分やな。なんとか言うたらどや?
■しばらく黙っててちゅうてんねん!考え事をしてるさかい。
●ん。何も言えへん。せやけど...
■しゃべり通しやなお前は。これからな、銭儲けを考えてんねやさかい、黙ってちゅうねん!
●ん。けど、これからどこ行くねん?
■さぁ...どこ行こかな?
●どこ行こかなって、行き先もわからんと歩いてんのんかい。
■あぁ~いまからどこ行こか考えてんねやけどもな、どや?ここに小さい村があるな。あそこへ行こか?
●誰かあの村に知り合いでもおんのか?
■いや、わしもいっぺんも行ったことないのや。生まれていっぺんも寄ったことない。よし、あの村の戸口に茶店があるな。あそこで一服しよか。
●一服しよ一服しよ、なんぼでも一服しよ。
■そんなぎょうさん一服ばっかりしてられへん、これから向こう行ってあの茶店の婆つかまえてな、色々相手になるけどお前傍からごちゃごちゃ口出すな?
●なんでや?何も言うたらあかんのか?
■あぁ、邪魔すな。色々駆け引きしてしゃべるけども、途中で口挟んだら話が潰れてまうさかい黙ってぇよ?
●そかてわい、お前らお婆んと仲良ぉしゃべってんのにわい横で黙ってたら至って口の中に虫が湧く性分でな?
■難儀なやっちゃなこいつは、ほな向こうの駄菓子かなんかなんでもええさかい、それつまんで口寂しゅうなったら転がしとれ。ええな?これから行くさかい、口出すな?やぁお婆ん!ちょっと邪魔すんで!
(茶店の婆、以下○)あぁお越し、どうぞこっち入っとくなはれ。まぁここへおかけ、ここへおかけ。
■いやまぁかけさしてもらうけども、お婆ん久しぶりやなぁ、相変わらず変わらんなぁ、元気で結構や、達者やなぁ。
○えぇ?なんじゃえろぉ馴れ慣れしゅうおっしゃるがお馴染みさんかぇ?
■お馴染みさんかぇって忘れたんかいな?大阪の干鰯屋やがな!
○あぁ~、大阪の干鰯屋さんかい?いやいや、干鰯屋さんもたんとお越しになんのんで、お顔を忘れてえらい失礼いたしました。
■いや、もうそらそんでええねんけども、あぁ~ほんまに久しぶりやがな、なぁ?で、おじいさんの姿が見えんけども、おじいさん元気かいな?
○あんたまたえらい古いこと言うてなさるなぁ。うちのおじいさんは五年前に死んだんやがな。
■えぇっ!?五年になるか!この村へ来んようになってから二年ぐらいやと思うてんのんに五年にもなるか~そらまぁ久しぶりやなぁ。しかしおじいさんが死んだて死ぬような人ではなかったけどなぁ、大きな体のがっちりした人やった。
○いや、うちのおじいさん痩せて細かったがな。
■あ、隣村の茶店のおやじさんと間違ぉてんねや。せやせやここのおじいさんは痩せててちっさかったちっさかった。はぁ~親切な人とやったでなぁ、雨が降ったら合羽やとか傘よう借っていったもんや。
○あぁそうかぇ、まぁ代が代わって初めて来てくれなさって、しかしまぁ傘やなんじゃ合羽ぐらいならいつでもお貸ししますで、またちょいちょい寄っとくなされ。
■へぇそらもう寄してもうらうちょいちょいあの村に来んならんことになったぁんねん寄してもらう。それはそうとお婆ん、向こうのあの土塀白壁がずーっと広がっててなぁ、松の枝がにゅーんと出てる家なぁ、あれ確か○×△□やんの家やったなぁ?
○??なんじゃって言いなさった?
■いや、違うがな、あの白壁ずーっと引き回したって松の枝がにゅーんと出てる家あれ確か○×△□やんの家やったなぁ言うてんねや。
○わからんねんおまはんの言うのは。治郎兵衛さんの家じゃと言いなさるのか?
■さぁそない言うてるがな!治郎兵衛はんの家やろ言うてんねや。
●お前ちがうこと言うてたが。
■お前黙っとれ、黙って饅頭食うとれお前は。あのー、治郎兵衛はんの家やろ。みな元気かいな?
○あー、やってなさる。
■あぁそうか、ところで向こうのお婆ん達者かいな?
○あんた古いこと言うてなさるな、向こうの奥さんは七年ほど前にお亡くなりになったで?
■えぇっ!?五年ぐらいと思てたら七年も来なんだんやな...あぁそうか、ほで治郎兵衛旦那は元気かいな?
○はぁはぁ、もう達者でやってなさる、跡目をご長男さんにお譲りになってな、いま旦那さんは楽隠居の身でな、中手さんは隣の町に働きに出てなさって、末の弟さんはついこないだ隣の村ヘな、ご養子にお行きになって。
■あぁ~そうか、ほんだら万々歳やな、向こうも。
○そらもう元気でみなさん幸せに。
■そやったらええねんけどな、しばらく来なんださかい心配しとったんや。ほなお婆んまたな。帰りに寄してもらうけどな、茶代なんぼや?ちょっとここ置いとくわ。おおきにどうも。
○あの~ちょっと待っとくなされ。最前からお連れの方がえろぉお菓子を食べてなさったようやが。
■そうかそうか、こらえらい忘れてんねや、すまなんだ。おいお前なんぼ食べたんや、饅頭を?
●なんぼやわからん。
■わからんって...数なんぼ食べたっちゅうてんねや。
●わからん、ここにあるのんみな食うたんや。
■お婆ん、ここにある饅頭みな食うたちゅうとるねんけど、これなんぼあったんや?
○おぉ~またえろぉ饅頭の好きなお客さんじゃな、最前卸屋が卸して行ってな、まだ一つも売れたないのん。ちょうど五十あった。
■ええっ!?五十もよぉ食いやがったなこのがきゃ。
●そかてお前食うて黙ってぇ...
■黙ってはええけどお前、ほんだらここへこんだけ置いとくわ。
○こないぎょぉさん。
■まぁまぁええが、帰り寄してもらうさかい。あんな安物の饅頭五十もよぉ食うたなお前。
●そかてお前黙って、口寂しなったら饅頭食うとけちゅうてたがな。
■それはええけども五十も食うとは思わんが。
●五十も食えるかいな、十三ほどや。残り懐に入れたあんねん。
■(呆れる)これからあの村へ行くけどもな、お前傍から口出すな?
●またかいなおい?どないすんねん?
■治郎兵衛旦那ちゅうのを捕まえて色々しゃべるけどもな、ごちゃごちゃ口出すな?わかってんな?
●ほなわい何してんねん?
■お前にもな仕事があんねん。な?これ持っとれ。
●これ煙草入れや。
■そや。そんでその叺の中にはな、煙草は入ったない胡椒の粉が入ったある。ほんでわしが向こう行ってお前にこう目で合図したら、ずーっと周って牛小屋探せ牛小屋を。わかってんな?
●ん。
■牛小屋見つけたらな、藁掴んで餌やるようなフリをしてすーっと突き出したんねん。牛が鼻をぐーっと前へ出して来よる。そこへ煙管に胡椒を詰めてな、牛の花の中へぷっと突っ込め。
●けったいな仕事やなぁ。それだけか?
■そんでええねん。わかってんな?傍から口出すな。いやぁ~!治郎兵衛旦那でおますかいな!お久しぶりでおます、ご無沙汰しております。いやぁ今日は寄してもらわななりまへん、近々行かんならんてなことを思いながら延び延びになってしまいまして、七年も寄してもらわんてなことになってしもたんで、ほんでまぁ奥さんはお亡くなりになったそうで、風の便りには聞いておりましたんでお悔やみでも来んならん来んならんと思いながらも商売が忙しゅうて失礼をいたしておりま。ほんで旦さんはいまご長男に身代をお譲りになりまして楽隠居の身とか聞いておりました、風の便りに中手さんは隣村へ働きに行ってなさってほんで下の弟さんはご養子にお行きになってこらお祝いでも寄してもらわないかんと思いながらついついご無沙汰をいたしましてどうもご繁盛で結構でございます...
(治郎兵衛、以下◆)はいはいはいはい、えろぉ馴れ慣れしゅうおっしゃるが、どなたはんじゃったかいな、もぉ歳とると目角が悪なってな、あぁ~人さんの名前や顔を忘れますが、どなたはんでございましたかな。
■どなたはんというのは旦さん、大阪の堀江の干鰯屋でおまんがな。
◆あぁ、大阪の干鰯屋はん...干鰯屋はんもうちにたくさん来なさるが、堀江といやあんた、嘉吉さんかぇ?
■へぇ嘉吉でおまんねやわたいは、ご無沙汰しとりますどうも。
●お前源助や。
■いらんこと言いな、お元気でおますかいな?でまぁ今日は一つ干鰯をな。
◆いやいやあのな、久しぶりに来なさってそらまぁ懐かしいことは懐かしいけども、干鰯のほうはな、ちょっと今回はな、辛抱しとくれ。というのはな、ちょっと買い込みすぎてな。一番蔵から二番蔵もあっちゃこっちゃの蔵いっぱいに山積みになったある。物置まで干鰯が埋まってるてな様子でな、うちの者からお買いになるのはええけども、ちょっと向こう先見て買うてくれ、てなことを言われてな。今回はひとつなんじゃ、堪忍してもろてな。その代わり久しぶりに来なさったんじゃ、二、三日泊まってな、ゆっくりしていきなされ。
■えぇそれがあの、勉強品でございますのでな、ちょっと待っとくなはれ。えー、あのね、この干鰯が、こういう値段でお願いしようと思うとりま。
◆えっ?こらなんじゃ上等の干鰯じゃないかいな、これがこんな値ぇで?
■へぇへぇ、こらまぁ元のかかったもんならね、こんな値段でお願いでけまへんのやけども、金の形に引き取ってしまいましてな、倉敷料がたまらんのでまぁなんせ値段はともかくも売りさばくようにということでこういうお値段になっとりまんのんで、そこんとこ一つよろしゅお願いしまして、そらもう上等の干鰯でおます、こんな品物は二度と出ぇへんとこない思いますのんでどうぞこの干鰯をな。シッシッ。
●怖い顔して睨みやがんねん、初めて来た家でどこが牛小屋やさっぱりわからん。牛小屋っちゅうのはあんまり表にはないなぁ...裏、裏の...いよいよいよい、立派な牛やなぁ。こいつやなぁ、鼻の中に胡椒吹っ込まれるのは。まぁ堪忍しとくれ、これも二円の日当のうちやさかいな。あしゃしゃしゃしゃ...ぶえっくしゅん、へっくしゅん、へっくしゅん。吸い込んだらいかんなこら、はっくしゅん、はっくしゅん。あぁ~よぉ効くな、こんなもん鼻の中に入れられたらえらい目に遭うで。ちょっと入ってもこんだけえづくんやさかい。へっくしゅん。はぁ~、はぁ~、吸い込んでどないすんねや、こっち来いこっち来い。よしよしよしよし...(牛の鼻に胡椒を吹き込む)堪えんなこれ。牛てなもんは鈍感なんかいな。よしいっぺん山盛り入れたろ。
雁首に山盛り胡椒の粉をバァーっと吹き込まれたら牛も堪らん、ヴぁああああとえらい声を出した。
(村人、以下★)もし旦さん、
◆どうした?
★牛が急に異変を起こしまして、のたうち回って苦しんでおります。
◆おお、そらいかんがな、ちょっと干鰯屋さん失礼してな、牛に異変が起きたと。
■えー、旦さん、ちょっとわたいに診してもらえまへんやろか?
◆えぇ、診たっとくれ。
■いや、このごろね、ほうぼうの家で牛が異変が起こりましてな、わたしもいっぺん診してもらいまして、なんか手だてがあったら。
◆あぁそうかそうか。診てやっとくれ、どうぞこっちへ。
■おぉおぉおぉ、かわいそうになぁ、のたうち回ってるがな、これ、どうしたんじゃ。
★へぇ、それがいままで元気でおましたが、もう急に七転八倒の苦しみをしましてな、鼻面を地べたにこするようにしまして苦しんどりまんのん。
■おぉおぉおぉ、かわいそうになぁ、これが人間ならどこが痛いどこがこそばいてなことを言えるんやけども、これが動物じゃでかわいそうに口が利けん...口が利けんで幸い。
◆これなんとかならんかいな?
■えー、旦さん。わたしが一つこの牛を診てみたいと思いますが、いかがなもんでございましょう。
◆おぉ、診てやっとくれ。なんかえぇ手だてがあるか?
■へぇ、実はね、わたしもこうして干鰯を持って色んなお家へ寄してもぉとりますと、ちょいちょいこういう目に遭いますので、薬をここへ持って来とりまんねがな。実はわたしの弟がというのが医者になっとりましてな、牛の薬を色々と研究しとりましてな、わたしはこの見本をもぉたいうようなわけで。でまぁこういう異変が起こったときはお役に立たしてもらおうと思うて、いつも懐に。
◆あぁそぉかそらよかった、それ飲ましてやっとくれ。
■えー。どなたか、桶に水を入れてな、ちょっと持ってきとくなはれ。へぇへぇへぇへぇ、へぇへぇへぇへぇ、もう大丈夫でおます。これはな、まだ市販されとりまへんのんで、研究の段階でな、これをいっぺんね、効くかどうか試してみますさかい。
ごちゃごちゃごちゃごちゃ言いながら口ん中へ薬をふぁっと放り込むなり、口へ水を入れるようなふりをして、鼻の穴へジャバー、ジャバー、鼻の奥に詰まっとりました胡椒がすーっと流れますと、牛もひんやりとしてえぇ気持ちでンモ~~~!!
◆治まったやないかいな!よぉ効く薬やなこれは。干鰯屋さん、その薬ちょっと分けてもらうわけにはいかんやろかな?
■いやいや旦さん、そらぁちょっと具合悪ぅおまんのんで、えぇ、先ほども申しました通り、これからの人間は学問を身につけないかんというんでうちの親父が無理から算段しまして弟を学校へやりましてな、医者にして一生懸命研究してこの薬ができましたんで、いまもう薬屋と契約しとりまんのんで、その前に売り出すということになりますと、これは契約違反ということでな、この薬はご勘弁、干鰯のほうを。
◆まぁそんなこと言わんと、干鰯のほうかってなんとか相談に乗るがな。それぎょうさんとは言わんねん、十粒ほど分けてもらえんかぇ?それ一粒どれぐらいやねんその薬は?
■えぇ~...一粒一円なっとりまんねんが。
◆安いがなそれは、そんなよぉ効く薬一粒...ちょっと十粒ほど分けとくれ。
■そらまぁ旦さんのおっしゃることでおますさかいに...そうでっか?ほんならこれあんまり他へ言わんようにしてもらわんとどもなりまへんねけど、ほなまぁ、十粒だけ。
◆こらまぁ頂戴いたします。
(長男)あのー、わたいにもちょっと譲ってもらえまへんやろか?
■あのお方どなたでんねん?
◆いま言うてた長男やがな、今の話を聞いてな、今後のこともあるさかい、薬分けてもぉてくれとこない言うてんねや。
■そないなりまっしゃろ?それが辛ぉおまんねやがな。
◆そんなこと言わんとな、長男が言うてんねやさかい、もぉ十粒だけ。
■さよか...ほなもう十粒だけでっせ?へぇへぇ、おおきにどうも。
(三男)あのー、わたいにも分けてもらうわけにはいきまへんやろか?
■あのお方どなたでんねん?
◆末の弟やがな、いま遊びに来てて話を聞いて向こうにも牛がおんねやがな、分けてやっとくれ。
■段々そないなりまっしゃろ?それが辛ぉおまんねやがな。
あのー、わたいにも分けてもらえまへんか?
わたいにもひとつ!
あの、俺にも一つ分けてもらえんか!
■どなたでんねん?あの人らぎょうさん来はって。
◆この村の衆や、今の話聞いて寄って来たんやがな。あぁ村の外には話出さんさかい、みな分けたっとくれ。
■そないなりまっしゃろ...みな持って行きなはれ!さよか、へぇへぇへぇ、おおきにどうも。色々お世話になりました。
◆いや、干鰯屋さん、牛も治してもぉて、えぇ薬も分けてもぉて、喜んでる。干鰯のほうはまた相談乗りますさかい。
■へぇ、どうぞよろしゅうお願いいたします。また寄してもらいますんで、そのときは干鰯のほうを。
◆あぁわかってます、お茶でも飲んでゆっくりしていきなはれ。
■へぇ、これでもぉ失礼いたします(立ち去る)。さぁ、出てこい。
●この世の中でお前ぐらい悪いやつないな、せやけど。
■何がや?
●何がってそやないか。なんにも効かん薬をよぉあんな値段でぎょぉさん売りやがったな?
■売りやがったなってこれはみなわしの頭から出た...
●日当二円安いでこれは。なんとか色付けてもらおか。
■わかってるわ、帰ったらなんとでもするわい。
●しかしまぁなんぼほどあったあれ?あれ一つ一円で。上手いこと商売するなぁ。懐が温くなったやろ?
■温くなるはずや、元は大和炬燵や。