私がZINEを作り続ける理由を考えてみた。

私は、趣味で旅行記のZINEを作って、イベントなどで販売する活動をしています。ZINE(ジン)というのは「個人や小さなグループによって作られる本や印刷物」のことだそうです。リトルプレスなどという言葉も最近よく耳にします。

仕事とはまったく別のところでやっているこの活動は、楽しいけれど大変なことも多く、それでもやっぱり楽しくて続けています。気が付けば、10冊の旅行記ZINEを作っていました。
今回は、私がZINEを作り始めたきっかけや、どうして続けているのかなど、私とZINEについて書いてみたいと思います。何かを作ってみたいなと思っている方の背中を、ちょっとでも押すことができたらうれしいなと思います。


ZINEを作ることのメリット

・作ることがたのしい(つらいこともある)
・完成したときの達成感(自己肯定感が上がる)
・自分の作品を見るだけでしあわせになる
・たくさんの方に見てもらえるよろこび
・イベントでお客さんとの会話がたのしい
・ZINEを通して広がる人とのつながり
・自分だけのペースで続けられる

ざっと思いつくのは、こんなかんじでしょうか。それでも毎回、作りながら葛藤したり落ち込んだりする時期を乗り越えて、完成のよろこびを味わうことができています。
人とのつながりに関しては、私は基本的にイベント会場でおしゃべりしたりSNSで作品や活動を拝見したりするかんじが心地よいのですが、ZINEを通して出会った人たちと新しい活動をはじめる方もいます。そこはもう自分次第でなんとでも。イベントに参加しているのは、基本的にみんな自分の意思で動いている人たちなので、みなさん興味深くておもしろいです。そういう人たちと出会えて、今までとは違う世界が見えたのが、私にとって良い刺激になっているなと感じています。

ZINEを作りはじめたきっかけ

私がZINEを作りはじめたのは、2018年8月のこと。美大へ行ったわけでもデザイン学校を出たわけでもない私は、まったくの無知の状態で、職業訓練校のDTP科に半年間通うことになった。
なぜDTP科を選んだのかというと、グラフィックデザイナーであった元夫の影響が大きい。離婚前提の別居をしていた時期だったので、それまでふわふわと生きていた私は「ちゃんとひとりで生きてゆけるようにならなくては」という想いで入校した。
正直、失業保険もらいながら勉強できるのラッキーくらいの気持ちで入った職業訓練校であったが、私の入ったクラスは毎日が闘いだった。授業も生活指導も就職指導もめちゃくちゃ厳しくて、課題の量もはんぱなくて、キツくて何度も泣いた。授業についていけなくて何度も腐りそうになった。それでもなんだか、その非日常とか青春っぽさが嫌いじゃなかったのであろう、不思議と辞めようとは思わなかった。クラスメイトに恵まれていたことも大きくて、今でもみんな戦友だと思っている。

で、クラスで落ちこぼれだった私も、就活のためにポートフォリオを作らなくてはならない時期がやってきた。職業訓練校の就職への圧力やばいから。笑   落ちこぼれだったし、このとき自分が何をしたいのかもわからずポートフォリオを作りはじめたわけですが、みんなと同じ課題を並べたって勝てるわけがないことに気がついた。能力が高くないので、自分の個性を活かす方法を考えた。
考えた結果、私が胸を張って得意だと言える唯一の分野、それが「旅」だったので、存分に活かすことにした。

職業訓練校の夏休みは長かったので、就活真っ只中に2週間ほどネパールを旅した。ずっと行ってみたかったので、就活のことなんかまったく考えずにふつうに旅をしたわけですが。笑   そして帰国してひらめいた!
「この旅を、雑誌みたいにまとめたらおもしろいのでは??」
この日から3日間ほど、旅の疲れもあるはずなのに、ほとんど寝ずに制作活動をした。完全にゾーンに入って脳汁が出まくっていた。犬の写真をたくさん切り抜いた。そして、8ページほどの簡単な旅行記のようなものが完成した。あんなに嫌だったInDesignが、DTPが、すごく楽しかった。

そっか、好きな分野のものを自分の好きなように作るのって、こんなに楽しいんだということを脳が覚えたわけです。
このときにひとつの作品を完成させられたことが自信になって、就職活動もうまく進められました。(もうそのときの会社は辞めてるけど)

自分の得意分野を、好きなことだけをやれば良い

そんな経歴なので、私はAdobeソフトを駆使して印刷データを作ることに関しては得意分野なのです。しかし、イラストを描いたりすることはできないので、いまの私の旅行記ZINEの形に落ち着いた。文章に関しては、10年以上前から旅のブログを書いていたり、20年くらい前はmixiでラーメン日記を書いたりしていたので、なんだかんだで続けてきて良かったなと思った。
いろいろな方のZINEを見ていて思うけど、ほんとにいろいろな分野があって、作り方も様々、みんなが好きなものを好きなようにまとめていて、そのかんじが良いのである。とにかく自分の「好き」が詰まっていて。

完璧なものを作る必要はない

イベントでたくさんのZINEを見せてもらっているが、ほんとにいろいろなZINEがある。印刷屋さんで印刷・製本したものを売っている人、自分の手でリソグラフ印刷したものを売っている人、自宅のプリンターやコンビニのコピー機で印刷して切ったり折ったりしたものを売っている人。毎回いろいろな工夫をしながら自分の作品を作っている人がたくさんいて、感動するし勉強になる。
みなさん自分のできる範囲で、どうしたら形にできるか試行錯誤しながら作っていて。そういうことを何度も繰り返しやっていると、どんどん良いものができるようになるんだよね。だからなんか、ZINEって未完成なかんじがするところも、すごく好きなのである。

実際に、私も作品を作ってゆく中で、どんどん良いものが出来ているなという実感がある。だからといって、最初に作った作品が良くないとはまったく思わなくて。最初の作品もすごく好きだし、新しく作った作品も好きなのです。どちらも、そのときの等身大の自分が表現されているので、どちらもかわいくて愛おしいのだ。

いま何かを作ってみたいけど自信がないとか、これで良いのかなって不安に思っている方がいたら、まずは完成させてみてほしいなって思う。完璧なものを作る必要なんて全然ないのです。完成させたら、次の作品を作ってみてください。絶対に、絶対に、絶対に、もっと納得のできる作品ができます。そして、完璧ではなかった最初の作品も、とても愛おしくなるのです。

これだけは揺るがない事実だと思っています。続けていれば、どんどん自分の作品も、自分のことも好きになると思うのです。なんか偉そうにすみませんという気持ちもあるけれど、自分が経験してすごく感じたことなので、これだけは伝えたいなと思ったのでした。

なぜ、紙の本にするのか

自分が好きなものを伝える手段として、時代に逆行した紙の本を作っているが、表現方法は何でも良いと思う。私はDTP・印刷の勉強をしていたから、たまたま印刷や紙が好きになって作り続けているけど。
旅のことはブログに書き続けてきたし、ブログはブログで記録が残るし、自分で読み返して楽しいというメリットも大いにある。では、紙の本にするメリットとは。
イベントで直接見てもらうことができる、お話ができる。
ということなのかなあと思う。私もやってみるまで全然知らなかったけど、ZINEや同人誌のイベントってすごくたくさん開催されていて。自分の作品を見てもらえるチャンスがたくさんあることも、大きなモチベーションになっている。
ZINEのイベントに来てくれるお客さんって、みんな優しくてほめてくれたり、同じ分野のものが好きだったりするから、お話するのも楽しいんだよ〜。ほんとにほんとにありがたいです。

自分だけのペースで続けられる

意外と大事なだと思うのが、自分だけのペースで続けられるということ。仕事ではなくて趣味でやっているので、作りたいときに作って、出たいイベントに出れば良い。作りたくないときは作らず、イベントに出たくないときは出ない。
あたりまえのことのようで、これが仕事だとそんなことも言っていられないので、案外うれしいことだったりする。そして作るものだって、仕事とは違って、自分が好きなものだけを作れば良い。やりたくないことはやらない。

自分の気持ちを伝える方法としてのZINE

なぜ私はブログの時代からずっと文章を書いているのか、ということを考えてみた。
私は、人とおしゃべりすることは好きなんだけど、自分の思っていること・考えていることを言語化して、相手に伝えることが苦手で。それでも私は、おもしろい旅をしているんだよ、ということを誰かに見て欲しくて旅ブログを書きはじめた気がする。ただ旅先でのなんてことのない出来事を、目の前にいる相手に簡潔におもしろく伝えることなんて絶対にできないから。だから一旦、頭の中で整理して文章にする作業が私には必要なのである。
ブログやZINEは、興味がある人だけが見に来てくれるので、私の旅のスタイルに興味がない人の時間を奪わずに済むところも良い。

ブログは今は書かなくなっちゃって、だからZINEで私の旅を見てもらえて、楽しんでもらえることは、とてもしあわせなことなのです。見てもらえてうれしい反面、私の旅行記はできるだけリアルな感情を表現したいと思っているので、私がどんな人間なのか見えてしまうこともあると思います。それは少しはずかしさもあるけど共感してくれる方もいたりして、はずかしいけどやっぱり見てもらいたいものなのであろう。

私のお友達の話

今回のZINEフェス(2025.1.11浅草開催)には、友達2名と出店することになりました。そのうちのひとりは、去年6月に開催したときに会いに来てくれて、私も作ってみたいと話していたのでした。そして今回、初めてZINEを作り、一緒に参加できることになったのです!
いろいろと忙しい中で、本格的に準備をはじめられたのは年末くらいだったと思う。それでも、年始に会ったときにはもう形になっていて、私は感動してしまった。不安そうに初めて作ったZINEを見せてくれたのがかわいくて、とても友達らしいZINEになっていてうれしかった。
「やってみたい」と思ってから実際に形にすることってすごく大変で、やってみないとわからない苦労がたくさんあるものなのです。だから、ほんとによくやったなーって思っています!昔から友達の描くイラストが大好きだったので、めちゃくちゃうれしい!!当日が楽しみだなー!

ZINEフェス東京 ご案内

ここでイベントのご案内です!是非、あそびに来てください〜
立ち読みやおしゃべりだけでも大歓迎です。

ZINEフェス東京(ZINE FEST TOKYO)
日時:2025年1月11日(土) 12時-17時
会場:東京都立産業貿易センター 台東館 5,6階
アクセス:浅草駅から徒歩5分
入場料:500円(当日入り口・現金のみ)
ブース:6階 J13,14
※いちばん右の通路の真ん中らへん、右側のブースです。

それでは、長々と読んでいただきありがとうございました。
今回のnoteを読んで、ZINEに興味を持ってくれたり、作りたいなと思ってくれる方がいたらうれしいです。質問などありましたら、ぜひお気軽にご連絡いただければと思います。会場でもお待ちしております!

※下記ページから、私の作るZINEをご覧いただけます。

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