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ポルトガル移住・旅行で知っておくべきこと 人手不足と移民政策:帰国プログラム
こんにちは。
ポルトガルにデジタルノマドビザで移住したフリーランサーのセミです。
今回はポルトガル移住や旅行を考えている方が、事前に知っておくべきポルトガルの社会問題をわかりやすく解説します。
今回の内容以外にも話したいことがいくつもあるので、反響があればシリーズ化できればとおもっております。
第一回の今日は、ポルトガルが直面している「人手不足」問題についてです。それでは下記の通りの構成となっておりますので是非お読みいただけますと幸いです。
<目次>
1.ポルトガルの人手不足の背景
2.帰国プログラムとは?
3.それでも進まない帰国…問題点は?
4.今後の展望
1.ポルトガルの人手不足の背景
近年、ポルトガルでは深刻な人手不足が問題となっています。観光業、建設業、IT業界などさまざまな分野で労働力が不足しており、企業は人材確保に苦労しています。
この背景には、かつてポルトガルを離れた多くの国民が国外で生活を続けているという現実があります。ポルトガルは歴史的に移民を多く輩出した国であり、特に2008年の金融危機以降、より良い経済的機会を求めてフランス、スイス、ブラジル、イギリスなどへ移住した人が多くいました。
2.帰国プログラムとは?
そこでポルトガル政府は、「帰国プログラム(Programa Regressar)」を立ち上げ、国外に住むポルトガル人の帰国を促しています。このプログラムは、ポルトガルに戻ってくる人々に対して以下のような支援を提供します。
金銭的支援
帰国後の就職や起業を支援するための助成金
帰国にかかる引っ越し費用の補助も受けられる場合あり
税制優遇
一定期間、所得税の減免措置が受けられる
就職サポート
政府が運営する求人マッチングプログラムを利用し、求人を支援
特定の分野では、帰国者を優先的に採用する企業もあり
3.それでも進まない帰国…問題点は?
一見すると魅力的なプログラムに思えますが、実際には帰国を選ぶ人は想定ほど増えていません。その理由として、以下のような課題が挙げられます。
給与水準の問題:ポルトガルの賃金は他の欧州諸国と比べて低いため、国外でより高い収入を得ている人にとっては帰国のメリットが少ない。
生活費の上昇:リスボンやポルトでは住宅価格が急騰しており、帰国後の生活コストが高くなっている。
キャリアの選択肢:国外で築いたキャリアを捨ててまで帰国することに不安を感じる人も多い。
皆さん、「生活費の上昇」についてご存知でしたでしょうか。よく旅行系のインフルエンサーさんが「ポルトガルは安い!」と発信しているのを見かけますが、それは旅行だけのお話。
特にリスボンの家賃はヨーロッパ諸国の中でもとても高く、(日本よりはるかに高いです)古くからリスボンに暮らしていたローカルの方々の多くが地方の都市に移住しています。
「給与が低く、生活費が高い」母国にメリットを感じない方が増えているのです。
4.今後の展望
ポルトガル政府は、より多くの人に帰国を促すため、さらなる優遇措置を検討しています。
また、国外からの移民を積極的に受け入れる政策も進めており、特にポルトガル語圏の国(ブラジル、アンゴラ、モザンビークなど)からの移住者が増えています。
しかし、移民政策を強化することで、新たな社会問題(労働市場の競争激化、文化の違いによる摩擦など)が生まれている側面もあり、メリットがある反面、反対派の声も大きいのが実際の現状です。
本件に関するポルトガル政府の公式サイト<Home EN - Programa Regressar>でも英語でわかりやすく内容がまとめられているので、気になる方はチェックしてみてください。
今後のポルトガルがどのように人手不足の課題に対応していくのか、この問題は国の経済や治安にも関わっていく重大なトピックであるため、移住者としても引き続き注目が必要な問題です。