EelsのElectro-Shock Bluesというアルバム
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好きなアルバムについて書いてみる。
自分の大抵のアカウントのアイコンにしているEelsのElectro-Shock Bluesというアルバム。
1998年に発売されたEelsの2ndアルバム。
制作時期にフロントマンのEの姉が亡くなり、母が闘病生活を送っていたという。
そういった影響からか、収録曲の歌詞の多くからはEが衰弱していて危ういところでなんとか均衡を保っているような状態を感じる。CDジャケットや、CD自体に墓石のイラストが施されていたりと、このアルバムには死の雰囲気が付き纏っている。
バンドという形態を取っている(はず)が、バイオリン、クラリネット、サキソフォンやブレイクビート等サンプリングも使用されており、白黒の外国のアニメを思い出すようなノスタルジックな雰囲気を感じる。
様々な音が鳴ることによって、壮大な世界観が表現されているわけではなく、むしろ箱庭的なEの世界観、取り分け当時の心情や感傷が反映されているのではないかと思う。
そしてその世界観は、この暗い背景や感傷が反映されている中でも、暗い世界観ばかりを構築しているわけではなく、どこか穏やかで眠る前のような浮遊感がある。
Eの歌は静かで、どこか俯瞰したように歌っているからだろうか。
どの曲も好きだけど、特に10曲目の「Last Stop: This Town」から16曲目「P.S. You Rock My World」の流れが好きだ。
後半になるにつれてこのアルバムは静寂を帯びていく。
15曲目の「The Medication Is Wearing Off」はギターのフレーズとユニゾンして歌うEが印象的だ。
"The medication is wearing off
gonna hurt not a little, a lot"
という歌詞は、1stアルバムに収録されている「Novocaine for the soul」のアンサーだという。EはNovocaineから離れ痛みを引き受ける事を選んだ。
そして、16曲目の「P.S. You Rock My World」の"And maybe it's time to live"という歌詞でこのアルバムは幕を閉じる。
"maybe"なので確信じゃない。だけど、痛む中で確かにそんな気がしたのだろうなと思う。そして、ある種その一節到着するためのコンセプトアルバムのように思えてくるが、どちらかというとそこへ到着した者が作ったアルバムで、だからこそそんな気がしたのだろうと思えるのだと思う。
自分には英語を扱う能力が現状ないので、英詞を読む際はいちいち単語を調べて意味が繋がるよう解釈する必要がある。ライアーノーツに訳詞もあるが、このアルバムに関しては英語を英語として読んでみたいな、なんて気持ちがある。そういう気持ちになるアルバムなのだ。