「これまでの人生は修行の日々だったなあ」PORTOスタッフ:さおちゃんのこれまで(前編)
PORTO(ぽると)は、兵庫県神戸市の中心部・三宮にある「おやこの世界を広げるサードプレイス」です。
「おやこの、世界を広げる、サードプレイス」。はて、わかるような、ちょっとわからないような…と思われるかもしれません(笑)
PORTOを一言で表現するのは難しいのですが、保育士・幼稚園教諭のスタッフが常駐している「室内遊び場」であり、「一時保育」も行っていて、映画の上映会やジャズライブ、いろいろな体験ワークショップなどの「イベント」も週3〜4回開催しています。こどもにはもちろん、子育て中のおとなにも自分のための時間を過ごしてもらいたい、という想いで運営している場所です。
2020年12月のオープンから1年が経過し、おかげさまでご利用会員さまも1,700組を超えました。そこで、今後さらにPORTOのことを広く知っていただきたい、この「わかりづらい場所(笑)」のことをもうすこし深く発信していきたい、という思いから、これからnoteにスタッフインタビューを連載していこうと思います。
スタッフインタビュー、題して「PORTOなひとたち」。記念すべき第一回目は保育士スタッフのさおちゃん(山本紗織)です。
簡単なプロフィールはこちらのインスタグラムをご覧ください。今回は、さおちゃんの社会人スタートから、PORTOで働くようになるまでのお仕事ヒストリーをインタビューしました。
児童養護施設からのスタート
ー新卒で就職したのは児童養護施設だったんですよね。
そうです。通っていた保育士養成の短大で最初に実習するのが児童養護施設でした。4人一緒の実習で、私だけ日誌を褒められたのが嬉しくて。それまでの人生で褒められた経験が少なかったのでとても印象的でした。
ー勤めた児童養護施設は地元にある施設ですか。
地元の施設で、倍率も高かったけどやってみたいなと思いました。同期は7人いて、今でもそこで働いている人はいないのですが、現在も仲良くしています。
ー児童養護施設は、関わる子どもたちの年齢が0歳~18歳までと範囲が広いこと、24時間体制なこと、複雑な家庭環境の子どもたちとの関わりがあることなど、他の施設(保育所や幼稚園)とはまた違う難しさがあると思いますが、働いてみてどうでしたか。
保育所での実習があまりうまくいかなくて。その時は、言葉でのコミュニケーションが取れる年齢層の子どもと関わる方が自分は得意なのかも、と感じていました。
実際に児童養護施設で働き始めると夜勤などもあり、今思えばよく働いてたなーと。ただ当時は職場環境的にも、みんな終身雇用の場所として入ってきていなかったので、次は誰がいつやめる?みたいな空気があって。わたしも4年目くらいで疲労感が。。。
でも、また児童養護施設で働きたいなと思っています。自分が年齢を重ねてからの子どもたちとの関わりも経験してみたいと考えてます。
ーそう思えるっていい経験だったんですね。何か印象的な想い出はありますか。
歌うことが好きだったので、卒園に向けた歌を子どもたちと一緒に作って、今それがカラオケで歌えるんです(笑)登録してくれた方がいて。施設の方でもたまに歌ってもらえたりしてるみたいです。
島根に移住して演劇にもチャレンジ
ーそれはすごい!さおちゃんのことを知らない子どもたちが、今でもさおちゃんがつくった歌を歌っているのっていいですね。退職後はどうしていましたか。
退職前から、次のステップアップとしていろいろ考えていました。ワーホリしてみたいなあとか。田舎の保育園で働いてみたいなあとか。自分のしたかったことを考えました。色々悩みましたが、最終的には祖父母や親戚の住んでいる島根での暮らしに以前から惹かれていたので、田舎暮らしを始めることにしました。働き先も見つかったので、ゆっくり働きながら心と体を整えようかと。
島根の保育園で働き始めて、落ち着いてきた時にたまたまチラシを見かけた子どもミュージカルがサポートスタッフを募集していたので、やってみたいと思いチャレンジしました。
ーミュージカルや演劇には前から興味があったんですか。
短大の選択授業で「表現」が楽しかったことを思い返して。わたしこんなこと好きなのか、いつかやってみたいな、と思ってたんですよね。なので、働きながら夜や休みの日は子どもミュージカルのサポートをしはじめて、いつの間にか裏方から演者として大人の劇にも出演しました。勤務先の園でも、ちょうどその園が認定こども園になったタイミングで、正規職員として働き始めました。
ーへぇー。いろんな流れに乗ってたくさん経験をしてきたんですね。
そうですねー。ゆっくり働いてゆっくり暮らしたかったのに、いつもやりたいことでバタバタしていて…改めて振り返るとわたしの人生は修行の日々だったなぁと思いますね(笑)
・・・・・・・
「たおやかな人だなぁ」がさおちゃんに対する私の第一印象でした。とても柔らかな雰囲気だけれど、芯は強い。心も身体も一生懸命向き合った児童養護施設での数年間。そして、知らない土地で保育士として働きながら、演劇の世界へ飛び込んだチャレンジ。「人生は修行だったなぁー」とニコニコ微笑みながら教えてくれた半生を聞いて、優しくてしっかり地に足が着いたさおちゃんの秘密が、少しだけわかったような気がしました。
インタビューの後編では、島根で働いていたさおちゃんがどのようにここ、PORTOにたどり着いたのかをご紹介します。
(聞き手:みほ)