「ヤング≒アダルト」見どころ紹介・その2
前回に引き続き、ポータル1のテーマ映画「ヤング≒アダルト」について。
今回はメイビスに関わる2人の登場人物のことを書きます。
※「その1」はこちら
【無神経な元彼】
バディ・スレイド
(パトリック・ウィルソン)
・メイビスの高校時代の元恋人
・マーキュリー(メイビスの地元)在住
・父親が経営する食品会社の広告部勤務
・愛する妻と娘と幸せな生活を送っている
この映画の発端となる“ベイビー誕生ハッピーメール”をメイビスに送りつけた張本人。
それを見たメイビスは過去の愛情を思い出して(勝手に)火が付くわけですが、当然彼は同じ想いでいるはずがなく。
そこから生まれるメイビスの思い込みや暴走行為、温度差があるバディとのやり取りが笑いや痛々しさを誘います。
妻と娘を愛し、よき夫(父)であろうと努めるバディ。
しかしこの男には、何ともいえない無神経なところがあります。前述したメールの件も然り。メイビスを家に招いて妻や幼い娘に会わせたり、妻のライブや命名パーティーに誘ったりと、どことなくメイビスに気を持たせるようなことをします。
まぁ彼にしてみれば下心はなく、純粋な厚意からくる行動なのでしょうが…(ベビーシッターに見つかる「アレ」は別かな?)。
しかしラストの大カタストロフシーンで明らかになる“メイビスのある過去”には、がっつりとバディが関わっているわけです。
そう考えると、完全にメイビスだけが悪い話なのか? とも思えてきたりして…。
バディを演じるのは「アクアマン」への出演でもお馴染みのパトリック・ウィルソン。
“田舎でモテるいい男感”がうまく出ています。
【過去に絡め取られた男
マット・フリーハウフ
(パットン・オズワルド)
・メイビスの高校時代の同級生
・オタク
・片足が不自由
ある意味、メイビスの次に重要な人物かもしれません。
彼は高校時代に受けたいわれなきイジメによる負傷で片足が不自由になり、杖をついて生活しているという壮絶な過去を持つ男です。
家ではガレージに篭ってウィスキーを密造(!)したり、趣味のフィギュア改造に情熱を傾けています。性格は暗く、人付き合いが苦手。そんな冴えない男でもあります。
メイビスとは高校が同じで、ロッカーが隣同士。ただそれだけの関係でした。
なんてったってスクールカーストの最上位と最下位です。決して交わることのない世界です。
高校時代のメイビスも、彼を蔑んでいたことでしょう。
しかし月日が経ち、故郷に戻ってきたメイビスに偶然再会。互いに言いたいことをぶちまけているうちに、いつしか彼はメイビスのよき話し相手になります。
彼とメイビスの共通点は、過去が忘れられないということ。
メイビスは栄光の高校時代の思い出に自らすがりついていますし、マットは不自由な片足という逃れられない重荷を背負わされています。
さらにマットは、我々映画を観ている観客の代弁者でもあります。
そんなことして何になるんだ!
いい加減目を覚ませ!
…といったまともなツッコミを入れるのは、劇中で唯一彼だけ。
当然メイビスは意に介しませんが、ひょっとするとマットは、この世で一番のメイビスの理解者なのかもしれませんね。
そんなふうに少しずつ変わっていくメイビスとマットの関係性も見どころです!
マット役はコメディアンのパットン・オズワルト。「レミーのおいしいレストラン」のレミー役で知られています。味わい深い演技が印象に残ります。
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さて、6月1日の「ポータル1」の開催が近付いてまいりました。
本当はマットの妹の話とか、監督ジェイソン・ライトマンや脚本ディアブロ・コーディの話、劇中に掛かる曲の話なども書きたいのですが、それらについてはイベントで触れようと思います。
「ポータル」当日は以下のようなトークテーマで話をしていく予定です。
・感想と印象に残ったシーン
・メイビスについて
・バディと妻ベスについて
・マットについて
・結末について、メイビスは成長したのか?
…などなど。
今回は「ヤング≒アダルト」が話題の中心ですが、そこから様々に枝分かれしていって、数多くの映画のタイトルが出てくると思います。
観たい映画がたくさん増える時間になるよう、映画についてとことん語り合える時間になるよう運営していきますので、よろしくお願いします。
それでは、高円寺BIG FISHでお会いしましょう!
ポータル主催●岡本
Twitter:@otemotomovie