地域のためと"廃道のような道"を歩いて、お客様にお勧めした際の様々な回答
写真は"九州自然歩道"という道の宮崎県の区間を歩くスタッフの1枚。
ある縁から僕らの店で、九州自然歩道という道のMapを取り扱うこととなり、Mapを売る以上は道を知らねばと下見を兼ねて歩いている一コマ。
九州自然歩道
日本各地に長距離自然歩道というものがあり、その九州版と言えるものが"九州自然歩道"であり約40年前に作られた道は現在まで毎年予算をかけて整備などが行われていた模様。
そんな九州自然歩道は地域によっては現代の価値や魅力に合わせてルート変更や多言語化の看板を設置したりしているようですが、僕が働く宮崎県ではおそらく作られた当時のまま公開されている模様。
元々は観光を目的とした道という言葉があり、実際に歩いてみてどうなのかと下見を兼ねて歩いています。
観光とは程遠い道
現時点では"観光"とは程遠いという印象を受ける道で、宮崎県内の総距離360kmの中で約150kmを歩いてみましたが「どこか魅力なんだ」と考えながら歩くことも多々。
"自然歩道"というよりも"廃道"と言う方が適切なイメージを持ってしまう箇所もかなり存在しています。
そんな中で「何がきっかけになれば魅力が出るのだろう」と考えたりしながら歩いていますが、個人的には知らない宮崎県の表情が少しだけ垣間見えたりと、適度な魅力も分かりづらいですが感じることがあります。
道の周辺に食事処や宿も少なく、仮に人が歩くとしても地域の方の喜びに繋げられるのだろうか。そんなことを考えながら「どうせ道を歩きに人が訪れるのであれば、それが少しでも地域の商店などの売上に繋げられるように考えればいいのに」と、そんなことを考えています。
地元の人こそ歩いて欲しい
そんな感想はあくまで僕個人的な感想であり「この道が観光として魅力的なのか」という点においては、地域の方こそ実際に歩いて感じていただいて、フィードバックして欲しいなと思い、そうした想いを直接伝えたりWEBに更新したりしています。
僕は自分の住む地域に誇りを感じたいと思っていますし、お客様にもそうあって欲しいと常々願って仕事をしています。
そんな想いを汲み取ってくださっている方々は「僕も(私も)チェックします」とMapを購入いただいたりで、本当に励みをいただきます。
また、"自然歩道"という名称がついているだけに「簡単だ」というイメージを持って出かけようという方も多く、注意事項を伝えることもあれば、時に他の道を薦めることもあります。
同時に遭難を含めた事故に繋がるリスクを感じた場所などは、担当の方へフィードバックして、より良い道になるように僕の意見やお客様の感想などをお伝えするように意識しています。
Mapを手に取られた方々は、それぞれに自分の住む地域で楽しみたいという想いや「何とかしなければ」という想い、もっと良くなるにはという改善の知恵などを出そうとされており、そうした方々と色んな話をすることは本当に光栄なものです。
反面、冷やかしのように「よくあんなのやってられますね」という声を受けたり、「どうせお金をもらってるんでしょ」という冷ややかな声をいただくことも残念ながら存在します。
また、「えー、やだー、面白くなさそうだから絶対行きたくない」なんてスタッフも顔馴染みの顧客から面と向かって言われることも。
以前この道を歩いている時にスタッフが「ボランティア的に歩いて、誰かが色んな気づきを得てくれたら良いのにね」と呟いていましたが、そういう声をスタッフの耳にも当然聞こえる訳で、一生懸命に汚れながらチェックしているスタッフに対して、僕は「本当に申し訳ない」という気持ちに駆られます。
当事者として
僕は、面白いと思っていないものを「面白い」ということはありません。
故にこの道についても「面白いから歩いてみて」と薦めることは現時点ではなく、僕なりの感想や想いを伝えながらお客様にMapを販売し、注意事項などを伝えています。
どちらかと言えば、魅力よりも課題や改善を多く感じるのが現時点での道のイメージであり、この課題や改善というのは"九州自然歩道"という道に限らず、この地域の様々な場面で実感できることのような印象を僕は持っています。
だからこそ、地域の方々にこそ実際に歩いてみて、自分達の住む地域が魅力溢れる地域になるには。ということや、そこから派生する仕事などについても一緒に考えることが出来たらなと夢見ています。
この道を普及させるべく、メインで動いている方々は遠方から宮崎に移り住んで来た方々。
僕らは、そんな方々の後押しや気力に繋がればと、僕らにできることを実践しようと努めています。
・
それを当事者として真剣に考えてくださる方々に、元気づけられたり嬉しくなったりする一方、一生懸命に取り組んでいることを真っ向から「面白くない」と言われる切なさも感じたり。
僕は店を切り盛りする立場なので、"決めたことは貶されてもやる"という性分ですが、そこにスタッフが関わっていたり、必死に試行錯誤している人が関わっていたりという一面を見ると「申し訳ないな」と思ってしまうものです。
だからこそ、魅力的なものへと改善していって、関わったスタッフや試行錯誤してくださる方々が「良かったなぁ」と感じてもらえるようになれば良いものです。
・
廃道感を感じる道を歩き、人が歩けば道は出来るもので、使われなければ廃道と化してしまうことを目の当たりにしたり、色々な目線で道のことを考えてみたり。
貶されることはあれど、一緒に僕らもという方々の声を聞いたり、他にも色々と良い場所があるから活用出来るものだとヒントをいただいたり。
僕らにとって現時点でも、切ないことはありますが、色々と考えたり気付かされたりすることもあるのが、今の九州自然歩道という道。
藪漕ぎしながらチェックを行うスタッフや、人目につかなくともコツコツと歩いてみるお客様に感謝と敬意を忘れず、残り半分も歩かねばと思うのであります。