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シン・エヴァンゲリオン - 真希波・マリ・イラストリアスという女

『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』やっと観て来ました。自分はリアルタイムでTV版から観ていたわけではないですが、前作Qから8年以上、初めてTVシリーズを観てから十数年以上追ってきた作品の完結編なので、終わってしまったという喪失感が大きいです。

今回はその中でも、レイ、アスカに続く第三のヒロインともいえる立ち位置で新劇場版から登場した真希波・マリ・イラストリアスについて、『破』『Q』も交えて彼女の活躍と役割を自分なりにまとめてみようと思います。

※注:マリの正体についても触れていますが、それがメインの考察記事ではありません。マリの正体を知りたい!という方は別のその辺の考察が得意な人の記事などを参考にしていただければと。

この先は最新作『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』のネタバレを多分に含みますので、未視聴の人はお気をつけて。

『破』での登場

マリが初登場したのは、エヴァンゲリオンのリブート版ともいえる新劇場版シリーズの二作目、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』です。

TVシリーズの再構成でストーリーに大きな差異はなかった一作目『序』から、新展開への布石として『破』の目玉の一つだった新キャラクターのマリは、アバンで旧北極のNERV基地で暴れ出した第3の使徒を撃退するため出撃したエヴァンゲリオン仮設5号機のパイロットとして登場します。鼻歌を歌いながら実に楽しそうにエヴァを駆る姿は、シンジやレイ、アスカら他のパイロットとは雰囲気が全く異なり、衝撃的でした。さらに下半身は車輪で明らかに不完全で扱いづらそうな仮設5号で苦労しながらも使徒と渡り合う戦闘センスは、ベテランの雰囲気を感じさせます。そして、見事エヴァを犠牲にしながらも使徒を撃破したマリは、エヴァと使徒が消滅した証である光の十字架を見上げながら「自分の目的に大人を巻き込むのは気後れするなぁ……」と印象的なセリフをつぶやきました。(この時、「エヴァとのシンクロって思ってたよりキツイなあ」とも言っているのでエヴァでの戦闘が初めてであることも匂わせます)

次に姿を見せるのは、アスカの登場を中心に様々な出来事が忙しく続いて視聴者も彼女の存在を忘れかけた中盤。中学校の屋上で一人寝転がるシンジの上から文字通り降って来ます(シンジに胸を押し付けたり、「メガネ、メガネ……」とお尻を向けながらメガネを探したりとあざとい)。その後携帯電話で何者かと会話。「極秘入国」などと言っているので、何らかの目的で秘密裏に日本にやってきた模様。その後、シンジの首筋に顔を近づけて「君、いい匂い……」とまた印象的なセリフを。さらにシンジを「NERVのわんこ君」と呼び、立ち去ります。たまたまシンジの中学に落ち来てしまったようですが、ここでシンジと出会ったのは運命的な偶然か意図的なのか。

さらに次の登場は、またしばらく後。アスカの乗った3号機と初号機との戦い、そして最強の第10の使徒の強襲など目まぐるしい展開が続く中で、凍結されてパイロットも不在となった2号機に搭乗し、第10の使徒の迎撃に向かいます。これまでカヲルが2号機を操ったようなイレギュラーを除けば、基本的にエヴァ一機にパイロットは一人という法則だったのでなかなか衝撃的な展開(一話で初号機にレイを乗せようとしていたし、アスカが3号機に乗ったように適性があればいけるのだろうけど)。NERV本部には無許可、通信も切っているので彼女独断の行動か、はたまた何者かの差し金か。ちゃっかりピンクの新品プラグスーツも着ちゃってます。また、ここで再び2号機のコクピット内を「いい匂い」と言い放ってますね。マリは、エヴァの様々な装備を使いこなし、さらに正式なパイロットであるアスカも知っているかわからない2号機の隠し機能である獣化第2形態、通称"ザ・ビースト"を発動します(余談:ここの「モード反転、裏コード……ザ・ビースト!」と特殊コードを言い放つところがかっこよくて大好きなシーン)。レイの介入もあり、第10の使徒の対して善戦はしますが、やはり相手は最強の使徒。あと一歩のところで敵わず、破れてしまいます。

2号機ごと吹っ飛ばされたマリは、またまた偶然にも避難シェルターでうずくまるシンジのところへ。エヴァにはもう乗らないと言うシンジに「そうやっていじけててもなんにも楽しいことないよ」と声を掛け、彼を外に連れ出します。この時レイが乗る零号機が使徒に捕食されるシーンをシンジを見たことがきっかけに、シンジは彼女を助けるためにまたエヴァに乗る決意をし、見事使徒を撃退するのでした。そして、レイを助け出し、後にニアサードインパクトと呼ばれる現象を起こすシンジを見上げて言った「都合のいいヤツね。やっぱ匂いが違うからかなぁ?」というセリフで彼女の出番は終了しました。

『破』でのマリは、まさにこれまでのエヴァの世界にやって来た謎の来訪者。直接シンジたちに関わることは少なかったですが、大きな印象を残したキャラクターでした。エヴァに関する裏事情に精通しているような描写が多く、終始謎めいた描かれ方をしていました。語尾に「にゃ」を付けるような独特な、言ってみればいかにもアニメキャラっぽい話し方をしていますが(それを受け入れられなかった旧来のエヴァファンも少なくなかったようです)天然でそういう話し方をしているというより、わざとあのようなキャラクターを演じていて、エヴァ世界においての"異質さ"を出している人物ように自分は感じられました。

『Q』での出番

さて、次に新劇場版シリーズの三作目、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』。物語は衛星軌道上に封印されていたシンジと初号機を奪取するところから始まります。ここでもマリはアバンから登場。仮設5号機に代わる新たな専用機、彼女のプラグスーツと同じ色のピンクの8号機に乗り、2号機に乗る復活したアスカと共に出撃しています。ここでもマリは鼻歌を口ずさみながら(センスがだいぶ古い)どこか楽しげ。アスカとは「姫」「コネメガネ」と呼び合いながら、連携してミッションを遂行していました。『破』の時点では二人に面識がなかったので、『Q』までの間に知り合い、共に戦う仲間になったようです。

シンジが救出された後、物語の舞台は見慣れぬ戦艦の中へ。ここで、前作から劇中では14年の時が経過し、ミサトを中心としたメンバーが反NERV組織「ヴィレ」としてゲンドウたち「NERV」と対立しているという衝撃の事実が明かされます。14年の時を経ているのにアスカとマリの姿はそのまま、推定14歳(マリは不明ですが)の肉体のままです。アスカ曰く「エヴァの呪縛」らしいですが、どうやらマリもその影響を受けている模様。14年間何があったか詳細は不明ですが、アスカと共にヴィレのメンバーとして戦ってきたようですね。

そしてシンジ脱走後、またしばらく出番はなくなりますが、シンジとカヲルがエヴァ第13号機でセントラルドグマに向かうのを阻止するために再びアスカと共に出撃します。8号機での戦闘ではフォワードの2号機のバックアップが主な役目のようです。ここでマリはNERVのアヤナミレイ(仮)に「あんたのオリジナルはもっと愛想があった」と言います。ここで言っている"オリジナル"というのは零号機パイロットの綾波レイのことだと思います。『破』のクライマックスで一緒に戦った時の話なのかな? ここでちょっと深読みすると、"オリジナル"とは、レイが作られる元となった"碇ユイ"とも考えられますが、まあユイに対して"愛想があった"と言うのも違和感があるのでこれは深読みしすぎかなとは思います。しかし、ゲンドウのことを「ゲンドウ君」と呼ぶシーンも。ここは当時だいぶ考察されていましたが、やはりマリはゲンドウと旧知の仲で「君付け」で呼ぶような立場だったのか想像ができます。年齢的な問題も「エヴァの呪縛」で肉体的に年を取っていないと解決できますし。他にも「最後の使徒を倒したところで、鬼が出るか蛇が出るか、気になるじゃん」などと、やはりエヴァや使徒の謎について深く知っているような意味深なセリフが。必死で戦っているシンジやアスカに比べると、ことの成り行きを楽しんでいるようなマイペースさを時折見せますね。

セントラルドグマから2号機と共に脱出したマリの8号機(余談:ここでひょっこり顔を出す8号機可愛くて大好き)は、13号機の元へ。カヲルの死亡でショックを受けているシンジに「しっかりしろわんこ君!」「せめて姫を助けろ! 男だろ!」と叱咤します。8号機は両腕を犠牲にしながらも13号機からシンジ乗るエントリープラグを排出、フォースインパクトの阻止に成功しました。『Q』でのマリの活躍はここまで。

『Q』でも出番はそれほど多くなく、あくまでサブキャラクターに徹していました。とはいえ、時折謎めいたセリフを挟み、物語におけるよいスパイスになっていましたね。彼女のマイペースで能天気なキャラも全体的に辛い展開の多い『Q』での清涼剤のように作用していたと思います(余談:個人的な趣味としてはツンデレのアスカとの凸凹コンビっぷりが好きです)。

『シン・エヴァンゲリオン』での活躍

ここからは絶賛公開中の『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の話になります。『破』や『Q』は見返しながら書きましたが、『シン』は劇場で一回観たきりなのでセリフ等うろ覚えのところもあります。細部が違っていると思いますが、ご了承ください。

まずはアマゾンプライムでも公開されているアバンシーン。なんとマリの鼻歌からスタート。アバン担当が板に付いてきましたね。2号機と8号機の修復用パーツの回収に旧ユーロネルフ基地に向かうヴィレメンバーを援護するため、アスカ不在の中前作でやられた腕を工業機械のようなパーツで応急処置した8号機β臨時戦闘形態で単機出撃(余談:エヴァンゲリオン8号機β臨時戦闘形態、大好きです。見た目も何度も言いたくなる名前も。エヴァンゲリオン8号機β臨時戦闘形態。)。かなり扱いにくそうな状態の8号機を見事に操り、NERVが送り込んだエヴァ軍団の撃退に成功します。このアバンシーンは2019年時点で先行して公開されています。マリ役坂本真綾氏のパンフレットのインタビューによると、TVシリーズのキャラクターが活躍するとヒントを与えてしまうから新参者のマリで未知の感覚を楽しんでもらうためだろうと語っていますね。考えてみれば初登場の『破』から、彼女はアバンで大暴れしていました。新キャラのマリは、TVシリーズから新劇場版の新展開への切り込み隊長的な役割を果たすキャラクターであり続けました。

『シン』においても、マリは冒頭の登場からは中盤まで出番はなし。生き残りたちの村での生活で再起したシンジとアスカがヴンダーに帰還したところで再登場します。エヴァパイロット用の箱みたいな部屋?でアスカを熱烈なハグで出迎えます。彼女たちの部屋の中には大量の本が。マリ曰く、「世界中のあらゆる本を読み漁るのが夢」とのこと。ここは本編で彼女のパーソナルな部分が初めて描かれた貴重なシーンなのではないかと思います。基本的にエヴァに乗って戦っているシーンがほとんどで、戦闘中も飄々とした態度で本心が見えにくいマリ。そんな彼女は、読書が趣味だったようです。まあ、あの世界の娯楽と言うとそれくらいしかなさそう(後はアスカがずっとやっていたあまり面白くなさそうなゲームくらい?)ではありますが。アスカの発言によると、エヴァの「エヴァの呪縛」の身体では食事も水だけ、眠ることさえもできなさそうだったし……。

そんな「エヴァの呪縛」の身体でも、髪の毛は伸びるようです。伸びたアスカの髪をマリが切ってあげているシーンもありましたね。詳しい出会いは描かれていませんが、場合によっては14年近くもチームメイトとして戦ってきたアスカとマリ。マリはあの性格なのでアスカを冗談めかして「姫」と呼びつつも好意的に接し、アスカも満更ではない感じでした。お互いあの環境下では心を許せる友人と言える人物は少なかったのでしょう。それにアスカには、ミサトやケンスケなど旧知の仲の人物も少しいますが、マリにとっては立場的にもアスカが唯一の友だったのかもしれません(マリがヴィレ入りした経緯も不明なので、上官として命令は受けていましたが、ミサトたちと交流があったかはわかりませんが)。

この辺から、これまで脇役であり続けたマリが大きな役割を果たすようになります。

最後の戦いに向かう前、アスカの希望でシンジに会いに。マリはシンジに「屋上、メガネ、乳の大きい、いい女」と改めて自己紹介します。思ってみればマリがシンジと直接顔を合わせたのは、『破』の屋上以来なのですね。そしてまた匂いを嗅ぐ。少し大人になったシンジをアスカと共に感じていました。

そして、最終決戦へ。アバンで回収したパーツをもとにさらなる修復を施した改8号機γ(正式名称がとても長い)で改2号機のアスカと出撃します。マリはまた囮役でNERVのエヴァ軍団をひきつけ、主目的である13号機の封印はアスカの役割でした。しかし、それはゲンドウの罠。使徒化したアスカは2号機ごと取り込まれてフォースインパクトを起こすための鍵?に(ここら辺はもう一回ちゃんと見ないと上手く説明ができない……)。ここでマリはアスカのことを「姫」でなく、「アスカ!」と名前で呼んでいますね。ベタだけど、こういうの好きです。ずっと真意を見せないようなキャラだったマリが、アスカに対しては本当に親愛を持っていたのが表されている好きなシーンです。

ゲンドウとの決着を着けるため、シンジはヴィレのメンバーたちとも向き合い最後の戦いの地に向かう決意をします。その裏でマリは、損傷した8号機をNERVのMark.09を取り込むことで修復しています。この機体は8+9号機と呼んでいましたね(まさか予告の8+2号機が違う形ですが回収されるとは)。そしてマリは、シンジをゲンドウの元へ送り届ける役割を買って出るのでした。

ゲンドウとの決戦にシンジを送り届けたマリは、シンジに必ず迎えに来ると約束し、一旦その場を去ります。そして次は冬月の元へ。ここで明確にマリと冬月が古い知り合いだったことが明かされますね。多くの人が考察していた通り、マリはもともと冬月のゼミのメンバーの一人で、ゲンドウやユイの研究仲間だったことが確定しました。ここでマリは冬月から「イスカリオテのマリア」と呼ばれていますね。新約聖書に由来する言葉のようですが私はこの辺の知識には明るくないので、この発言についての考察は得意な方に任せましょう……。冬月との再会を果たしたマリはその後、8号機で残っていたMark.10,11,12をさらに捕食し、8+9+10+11+12号機を完成させました。

また、シンジと対峙したゲンドウの回想の中でも、マリと思われる人物が登場していました。先にも述べたように、ゲンドウと同じゼミ生で、彼にユイを紹介した人物でもあったようです。わずかな登場ではありましたが、彼女の陽気な性格は変わらないような描写でしたね。

そして最後、シンジがすべてに決着を着けたところにマリは約束通り迎えに現れます。"最後のエヴァ"となった8+9+10+11+12号機を消滅させた彼女は、現実世界とリンクした新世紀の世界(仮)のシンジの元にも現れ、彼の手を引いて走っていくシーンで物語の幕は締めました。最後もシンジの匂いについて、言及していましたね。

結局、彼女は何者だったのか?

さて、新キャラクターとして謎多き脇役的なポジションで登場した彼女でしたが、まさか新劇場版の物語を締めるような役割を最後に与えられました。結局、真希波・マリ・イラストリアスとは一体何者だったのでしょうか。

恥ずかしながら私は最後までは読んでいなかったのですが、通称貞本エヴァと呼ばれる漫画版エヴァの最終巻にもマリは登場するようです。やはり冬月のゼミの生徒で、16歳の天才飛び級生という設定。漫画版はまた別世界線の設定なので、新劇場版のマリとまったく同じ設定ではないのでしょうけど、大まかにはそれを踏襲してそうですね。『シン』でもユイをさん付けで呼んでいたので、おそらく年下というところも一致しています。また、漫画版では同性愛者でユイに好意を持っていたそうです。劇中にもたびたび登場する幼き日のシンジとそれを抱くユイの写真に写っているメガネの女性がマリと同一人物という有名な考察も、合っている可能性は高いです。

でもそうすると、新劇場版の世界でエヴァのパイロットとして戦っているマリには矛盾点も存在します。一番はその姿。ゲンドウやユイよりは年下とはいえ、『破』の登場時点で既に中年の女性になっているはずですが、アスカやレイとそれほど変わらない年齢に見えます。これはおそらくアスカの言う「エヴァの呪縛」によるものでしょう。実験で初号機に取り込まれたユイのように、彼女もエヴァに関連する実験で年を取らない身体になったしまったのかもしれません。そういえばマリは本編中に食事シーン(『Q』で栄養剤みたいなのは飲んでいましたが)も睡眠シーンもなかったですね。そうするとかなり重い運命をアスカよりも長い間背負っていることになりますが、それを感じさせないのは時が解決したのか、彼女の元からの性格か、もしくはその両方か。

マリが冬月のゼミ生だったとすると、最終的に彼女はゲンドウと冬月を裏切っている形になります。『シン』では加持が『破』の時点で秘密裏にヴィレのメインメンバーだったことが明かされました。『破』でのマリの初登場時、加持と共に旧北極基地にいたことから、マリも加持の仲間でヴィレの創設メンバーの一人だったのではないか思います。もしかしたら、加持亡き後にNERVに対抗するミサトたちの戦力を整えるのため、描かれていないところで尽力していたのかもしれません(でもそういう細かいことは苦手そうなので微妙かも……)。

では、彼女個人の目的とは何だったのか。漫画版の設定を参考にすると、マリはユイに好意を持っていました。仮に新劇場版でもそうだったとするとゲンドウは恋敵になります。でも、マリはゲンドウに対しての個人的な恨みから動いているような感じではありませんでした。彼女の元来の性格から、そういったタイプの人間ではなさそうですね。むしろ、ユイ亡き後、暴走するゲンドウを止めるため、そして彼女の忘れ形見であるシンジの行く末を見届けるために動いていたのではないかと思います。自分が積極的にゲンドウを止めるわけではなく、シンジが自主的にゲンドウと向き合い、またゲンドウがシンジと向き合う機会を与えたというのが、『シン』での彼女がやりたかった働きなのかと。

また、マリはシンジとゲンドウ以外だとアスカのことを気にかけていました。自分たちが始めた計画で運命を狂わされ、自分と同じ呪われた身体になってしまった彼女へ同情心があったのかもしれません。とはいえ、結果的に同じパイロットとして一緒に過ごすことが多く、最終的には一人の人間として彼女に惹かれたとも考えたいですね。

坂本真綾氏のインタビューによると、彼女の"匂い"のセリフについて言及し、

「マリは人間がすごく好きなのだと感じます」

と言っています。マリの陽気マイペースな性格は、本来の彼女の性格そのものなのだと思います。きっと、どんな道をたどるにしても人間という存在を最後まで愛したのがマリという人物なのでしょう。

マリが新劇場版で果たした役割

ここからは、ちょっとメタ的な視点で、マリのエヴァンゲリオンと言う作品における役割について、自分の考えを書いてみようと思います。

私は好きなキャラクターだったので嬉しかったのですが、『シン』終盤での彼女の活躍は少しやりすぎではないかとも思いました。レイやアスカではなくぽっと出の彼女が、まるで正ヒロインのようなポジションに収まっていますからね。旧来のファンからすると立腹ものなのもすごくわかります。なので自分は、願望も含めてですが、これを肯定的に解釈してみました。

『シン』、そして新劇場版シリーズそのものが、登場人物にとっても、製作者たちにとっても、我々視聴者にとっても、長年縛り付けられていた「エヴァの呪縛」(あえてアスカの言葉を引用します)から解き放たれるため、エヴァを終わらせ、さよならを告げるための作品でした。そこで新キャラとして登場した彼女こそが、そのエヴァを終わらせるための役割を背負ったキャラクターだったのではないでしょうか。"最後のエヴァ"である8+9+10+11+12号機を終わらせたのもマリでした。そして、最後にシンジの手を引いたのは、長年エヴァの象徴(シンボル)であり続けたレイやアスカではなく、マリでなければならなかったのかと。


すみません、思いつくままに書いていたらまとまりのない長い文章になってしまいました。全部読んでいただけていたら本当にありがとうございます。新劇場版を最後まで見て改めて、やはりマリは"いい女"で大好きなキャラクターです。











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