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初期研修病院マッチング・病院探し

自己紹介

はじめまして。医学部6年の紺と申します。
9月に入ってようやく採用試験が終わったため、これからマッチングに臨む後輩たちの参考に、そこそこ頑張ってわりと苦労したマッチング経験を残しておきたいと思います。

私は地方出身で地方大学医学部に通っていますが、就職を機に関東に生活拠点を移したいと思っています。大学は現役合格したものの、諸事情あり1留、部活には属さずサークルはいくつか。成績はそこそこ高め。6年間継続できたことは1つもありません。

平均的な医学生に比べると若干(相当?)劣っているスペックではありますが、そんな私がマッチングについて役立ちそうなことや自分の採用試験対策・結果などつらつらまとめれたらと思いますので参考になるところがあれば参考にしてください。公開してからも加筆・修正していく予定です。

1つにまとめようと思ったのですが、書いてみたらなかなかの字数になりそうだったので、いくつかに分けて公開したいと思います。第1回は病院探し編です。

初期研修病院を探そう

全国の初期研修病院は数多あり、見学に行けるのは頑張ったところでせいぜい2.30病院くらい。ある程度条件で絞って探す必要があります。

私は全部で17病院見学に行きましたが、志望科が変わったり優先順位が変わったりしながら、ブレブレの病院探しをしてしまいました。見学先と大学が近ければ問題ありませんが、長期休みに飛行機に乗ってホテルに泊まり見学をしなければならない地方学生の立場としては失敗だったなと思っています。

「都道府県」か「志望科×分野」で病院を絞ろう

近年、国試勉強も病院見学も低学年から行う人が増えているようですが、実習や見学の中で研修病院に求める条件が変わることは多々あります。そんな中で私がおすすめしたいのは、まずは都道府県または志望科×分野のどちらかで病院を絞る方法です。

これは採用試験を受けた経験として、見学や面接のやりやすさが格段にアップすると感じるからです。面接で嘘まみれの回答をできるタイプならともかく、私は事実に即して答えないとなんとなく気持ち悪いと感じてしまう人間でした。

1都道府県に絞った場合であれば、こんな縁があって、こんな特徴が気に入って、この地域で働きたいんだ、と答えることができます。地域愛はどこの病院でも好まれるものです。そして何より見学が楽。ホテル移動はそれだけで疲れるし、見学の集合時間は早いことが多いのでストレスはなるべく軽減しましょう。

進みたい志望科×分野が決まっている人は少ないと思いますが、病院も絞りやすいし、とても強い志望動機になります。
例としては

  • 外科×小児

  • 整形外科×スポーツ

  • 形成外科×熱傷

  • 麻酔科×循環器疾患

  • 内科×総合診療

などです。そもそもこれくらいピンポイントに決まっていれば、病院探しに困らない気もしますね…。逆に気をつけたいのが、実習が全部終わる前に思っている、なんとなくこの科に行きたい、という感情。それなりに強い気持ちがあったとしても、全然変わります。なんなら研修医になって変わる人も多いようです。その科(だけ)が強い病院、というような探し方は危険かもしれません。

優先順位をつけてさらに絞る

都道府県でざっくり絞ったとて、50病院くらい、東京都であれば100近くあります。その中から順位をつけるためには、研修病院に求める条件の優先順位を決めていく必要があります。低学年から見学に行く場合は、大学での実習や研修病院の見学を通して自分の気持ちが変わらなさそうな点で考えるのがいいと思います。ポイントについては以下の通り。

研修医の数…多め?少なめ?
これは性格的な問題であるため、考えが変わりにくい点であると思います。注意点としては同期の数だけでなく研修医全体の数を考慮すること、たすきや外病院を気にすること、範囲を狭めすぎないことくらい。以下4点にまとめます。

①同期が20人だとしても1年目、2年目を合わせると40人と高校のクラスぐらいの人数になりますし、一方で、研修医全体で10人に満たないようであれば、他の人と同じ診療科を回る機会はほとんどないでしょう。研修医室に研修医全員が集まるイメージと、実際に診療科で研修するときのイメージを持って考えてみましょう。

②ある程度規模のある病院であれば、大学病院の関連として"たすき先"になっている場合が多々あります。その病院自体が採用する人が10人、たすきで来る人が5人だとすると、人数が結構変わってきますよね。病院ホームページや口コミサイトで確認しておきましょう。

③反対に規模が小さめの病院であれば、指導医が在籍しない診療科や病棟を持たない診療科が存在し、外病院に研修に行かなければならない場合があります。外病院で研修する診療科が多ければ多いほど、実際に病院にいる研修医の数は少なくなります。意外と見落としがちです。

④研修の数は基本的には病院の規模に比例します。大人数はちょっと…というタイプの人は、研修医の数で病院を切ってしまうと、診療科が揃っていない病院ばかりになってしまった、という事態になりかねません。ですので、あくまで少なめがいい、くらいで範囲を狭めすぎず、おおまかに絞るのがおすすめです。

以上をふまえて、
少なめがいい→〜15人
普通がいい→5〜20人
多めがいい→10人〜

くらいで範囲を狭めすぎず、絞るのが吉と思います。

忙しさ…ハイポ?ハイパー?
これに関しては、自分にどれくらいの忙しさが向いているのか、働いてみないとわからない話だと思います。ですので、超ハイポ、普通、超ハイパーの3段構えで自分はどのへんに当てはまるのかなーと考えるのがいいと思います。体力に自信がない人は、病院規模に対して研修医の数が少ない病院、もしくはハイポ寄りの病院であれば調整可能でいいと思います。「ハイポはハイパーを兼ねる」という格言もあります。

給料…高いに越したことはないけど…
最低限これくらいは欲しい、があるといいかもしれません。

手技重視?勉強重視?
勉強会やプレゼンの機会がほしいかどうか。学会発表や論文執筆が義務になっていることをいいと思うか否か。市中病院であれば、機会がとことんないところもあると思いますが、3年目に大学入局するつもりであればギャップは生まれそうですね。

詳細はホームページや口コミサイトと実際が異なることもあるので、このあたりまで考えられたら、絞れた病院の中で見学に行ってみましょう。

大学病院はどうなの?

ここまではどちらかというと市中病院を想定したお話でした。病院探しにおいて市中がいいのか、大学がいいのかということがよく言われますが、個人的には、特殊な事情(下記参照)がない限り、2年間大学病院はあまりメリットないかな、と思います。

  • 研修と研究を両立するプログラムを考えている

  • 起業していて事業に集中したい

  • 病理や法医学などを考えていて他科研修中も通いたい

  • 3年目で美容にいく

  • 超ハイポ志望

  • マッチングに労力をかけたくない

これらの事情がない限りは、2年間でできることの差からみて、市中or大学たすきがけを選ぶ方が賢明ではないでしょうか。近年は市中人気がすごいですが、私が見学した市中病院の研修医の中には、「マッチング失敗して大学病院になった友人が、たすきがけで人気病院で研修してて羨ましい…」と言っている人もいました。大学も敬遠しすぎず、特に首都圏で探すのであれば、大学病院のたすきがけプログラムを視野に入れてみるのもいいと思います。

見学スケジュールおすすめ

大学によって授業のスケジュールが違うので一概には言えませんが、6年になる前に一通り見学して、6年になってからは受ける病院の2回目の見学に当てるのがいいかなと思います。5年生までに見学したとしても、実際に一緒に働くことになる研修医の人に会うことはできないので、本命3つくらいは2回以上見学したいですね。

個人的な後悔として、私は4年春休みから4.5回に分けて5.6病院ずつ見学をしたのですが、飛行機代や時間がかさんでしまったので、まとめて見学すべきだと思います。

また、本命の病院で有効かなと思うのが、実習させてもらう作戦。正規の実習で大学の関連以外の病院も選択できる場合はそこで、そうでない場合は長期休みに1週間でも2週間でも実習させてもらうと、研修医や先生との人脈が作れると思います。ボロが出て逆効果になるという意見もありますが、それで落ちるくらいならそもそも受からないと思います。

どの病院から見学すればいいの?

ここまで様々な角度で病院を絞ってきて、その中から順番に見学を…と考えると思うのですが、比較対象として一旦人気病院を見学してみることをおすすめします。やはり人気病院はマイナスが少なく、研修が充実していて、やる気があり人間性が優れている研修医が集まる傾向にあります。時間があればいくつか見て、人気病院たる理由を実感するのがいいです。

いきなり本命になるかもしれない病院を見に行くのはハードルが高い…という場合は、大学近くの適当な病院で練習してからにするのもいいでしょう。そういう友人も何人かいました。

そのあとは自分がいいなと思う病院から、順位づけが難しければその中で診療科が揃ってる病院から、少しずつ見学に行きましょう。

実際に見学しよう

次回は病院見学編として、見学のマナーや質問などまとめようかなと思います〜

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