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ノベルゲームには賞味期限がある

私が小学5年生の頃の話です。

好物だった家で作るカレーが美味しいと思わなくなってしまいました。
今まで当たり前のように食べていたはずなのに、
いつからそう感じるようになったかもわからず、
母親にしばらくカレーはいらないと言いました。
給食のカレーは美味しいのに、不思議だなぁと当時は思っていました。

大昔のことなので何がきっかけだったかは忘れましたが、
それから少しして原因がわかります。
私には5歳離れた妹がいました。家で作るカレーは子供たちみんなで食べるものですので「カレーの王子さま」をつかっていました。
小学校高学年には、子供向けのルーでは満足できなくなっていたのです。

このような自覚症状のない好みの変化を、
私は【カレーの王子さま現象】と勝手に呼んでいます。


ノベルゲームを遊ぶときにも、これと同じ現象が起こっていて、
学生のときにプレイした作品。社会人になってすぐプレイした作品。
社会人になって落ち着いてきた頃にプレイする作品。

“なにをやるか”ではなく“いつやるか”で受ける印象が変化していく。
同じ作品をプレイしたとしても、どれも違う感想が出てくると思います。

小さいときに見たアニメが、大人になって見ると、
違う味わいが出てくるという話をよく聞きます。
これはこれで楽しみ方の1つではありますけど、
あの時、あのタイミングでしか感じ取れない何かがあったのも事実です。

作品のメッセージ性がダイレクトに刺さる時期というのは意外と短くて、
自分でもコントロールができないものだと思います。
ノベルゲーム自体に賞味期限がある、というよりも、
それを読む私たちの感受性に賞味期限がある、というのが正確な表現です。


「カレーの王子さま」は今も子供たちに愛されるロングセラー商品ですが、
世の中には他にも美味しいカレーがたくさんあります。
好みにあったカレーを味わう楽しみをこれからも忘れないでいたいです。

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