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オトンがなんか持って帰ってきたようです。知らない間に、オカンだけ緊急回避していました。


ある日の夜。

オトン
「ただいま」

相変わらずの野太い声で
オトンが仕事から帰ってきた。

オカン&僕
「おかえり」

いつもなら
オトンは、この後
玄関から
リビングへとやってきて

着替えた後に
犬たちと
今朝ぶりの
再会を喜び合う。

けど
この日だけは
なんだかちょっと違っていた。

着替えた後に
三匹の犬たちに向かって


オトンは
「ちょい、ちょい、ちょい待って!」

なんて言いながら
そそくさと
リビングの中央にある
ダイニングテーブルに
向かって行った。

そして
重いのか軽いのか微妙な
ドスンっ!という音とともに
テーブルに
立方体の
何かを置いた。

オカン
「なにそれ?」

オトン
「まだ言われへん」


オトンは
この短文からは
伝わらないであろうが
満足げ気であった。


そして
タバコに火をつけ
ぷかぷかしている。


オカン
「なんでそんなとこに置くん?」


オトン
「見守るからや」


オカン
「何言ってんのアンタ…
 そんなとこにな
 なんかようわからんもん
 置くのやめてくれる?笑
 ここは
 ご飯を食べるとこです。笑」


オトン
「まあ…そのうちわかるわ」


オカン
「どうしたん?それ。
 また、いらんもん買ったん?」


オトン
「もろたんや
 まあ、そのうちわかるわ」


オカン
「そのうちわかるまで
 こんなテーブルの中央に
 置いとくん?笑」


オトン
「そうや」


オカン
「もう訳が分かりません笑
 アンタのほうに
 寄せて置いといてよ。
 何が良くって
 私はアンタと
 その四角いなんかを見ながら
 ご飯食べなあかんのよ笑」


ここまでの一通りの会話を
僕は傍で聞いていた。


オトン
「子供らにも
 まだこれが何か
 言うたらあかんぞ」


オカン
「何かわかりません。」


オトン
「あ、そうか」


僕はこのコミュニケーションは
成立してるんかな?なんて思っていた。


そして
その日から
どれくらい経ったころかな?


あんまり覚えてないんだけど
オカンが急に


オカン
「うわっ!きもちわるっ」


って割と大きめの声で言った。
リビングのソファーで横になりながら
僕はオカンに聞いた。



「どうしたんー?笑」


オカン
「例のお父さんの
 四角いヤツから
 なんか気持ち悪いの
 生えてきてるわ笑」


僕は起き上がって
四角いなんかを
見てみた。


確かに
なんか気持ち悪いのが
生えてきていた…



「ほんまやな……笑」


その日の晩。オトン帰宅。


オトン
「ただい…」
”ま”を言う前に
オカンがオトンに言った。


オカン
「アンターっ!!!!
 もういい加減にしてよー笑
 なんか生えてきてるやないの!!」


オトン
「おーほんまかほんまか
 そろそろかなーとは
 思っとったんや」


父、歓喜。


それから
今日も例の何かを目の前に
タバコを吸っているオトンは


コンコンと
オカンに片付けろと
言い詰められていたものの


次の日の朝になっても
相も変わらず
例の四角い何かは
リビングの中央にいて
気持ち悪さを解き放っていた…


そして
この日から
僕は怒涛の
忙しさを迎えていた。


実家に
帰ってこれても深夜だったり

もうヘロヘロでヘロヘロで…


正直例の四角い何かのことなんて
忘れていた。


そんな中
ようやく仕事も落ち着いてきて
ちょっとは家に
まともに帰れるようになったとき


僕はふと思った。
例の四角い何かのことだ。


リビングの中央から消えている…
その行方を


僕の晩御飯を温めてくれている
オカンに聞いてみた。



「そういえばさ…
 オトンの
 例の四角いなんか
 どこ行ったん?笑」


オカン
「え?言わんかったっけ?」



「え?聞いてないと思うけどなー」


オカン
「アンタも食べてるで笑」


オカンがまあまあ悪い顔していた。



「ん?どういうこと?笑」


~~~~~~~~~~~~~

オトン
「そろそろええかな。」


オカン
「あんたホンマにこれ使うん?苦笑」


オトン
「何がええかな。
 炊き込みご飯にしよか。
 あとは、炒め物にしよか」


オカン
「もう、子供らになんて言われても
 知らんからね笑」


母、晩御飯を作る。
僕帰宅。



「オカン今日晩御飯なになん?」


オカン
「しいたけ炒めたやつと
 炊き込みご飯やでー」



「ふーん。先風呂入ってくるわ」


父、ワクワク。

~~~~~~~~~~~~~

オカン
「と、まあこんな具合や笑」



「え…え…
 例の四角い何かは
 しいたけやったってこと?」


オカン
「せやで、お父さんの副流煙を
 吸いに吸いまくって
 育ったしいたけやで笑」



「なにしとん笑
 なに出しとんねん晩御飯に笑」


オカン
「あの人にクレームは言ってください笑
 母は食べてません笑」



「おいっ!抜け駆けや!笑
 ちなみにオトンはなんて言ったん?
 その副流煙しいたけ食って…笑」


オカン
「…笑」

~~~~~~~~~~~~~

オカン
「ほら、アンタの育てた
 しいたけやで」


オトン
「お。とうとうか。
 いい香りやな…」


オカン
(んなわけないやろ…)


モグモグ…
モグモグ…
父、しいたけを食らう。


オトン
「おいしいなー。
 やっぱり自分で育てた
 しいたけは
 おいしいわ。
 今まで食べた中でも
 一番かもしれへんな」


モグモグ…
モグモグ…


オカン
(んなわけないやろ…)


オトン
「お母さんもちょっとだけ…
 ちょっとだけでええから
 食べてみっ♪」


オカン
「けっこーーーーーーですっ!笑」


また次回。




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(๑╹ω╹๑ )