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ノイジーノスタルジークリムゾンバタフライ
東武練馬のカフェバー「或る」を貸し切って零〜眞紅の蝶〜をやりました。なんでかって?オンライン画面共有ではなくオフラインでね、一つのモニターの前にみんなで集まってわちゃわちゃゲームをする機会なんてもう早々ないからだよ。悲しいけど、それが大人になるってことなんだ。まぁ、私はそもそもそういう催し物あんまりやったことなかったんだけどね(今も昔も、パーティゲームとか対戦ゲームとかよりも、1人用のゲームが好きなキッズだから)。
アクションとかFPSとかが単純に趣味じゃないのもあるけれど、なんか気負っちゃうんですよね、他人の勝ち負けに自分が関わったり、対等に戦える腕前にならなきゃって強迫観念がかかったり、それらを考えるとやんなくていいや〜になったり。そもそも人と接するのにかかるコストが人一倍重いから、現実で社会するのにリソース全部枯らしちゃって、ゲームで人と関わる為のマナがないみたいな。
でもね、やっぱ寂しいんすわ。一丁前にそう思うところもあるんですよね、みんなとゲームできないこととか、共有ベタなとことか。自分の好きや推しに対する客観的評価が低くて、全人類やってなんて口が裂けても言えないし、構文振り回して圧かけることもできないし(やれと見ろしか言わないのも普通にみっともないからやんないけど)。今回やったゲームにしたってそう、零ですよ零。ホラーだし、ジメジメしてるし、細々とした設定や世界観そっちのけで関係性(百合を指した言葉にあらず。登場人物間における感情のやり取りや作劇上の立ち位置、また愛とも恋とも憎悪とも執着とも言い切れない、おいそれと言語化できない悲喜交交のことを本稿ではそう指す。というわけで、「また百合があーだこーだかよ」とゲンナリしたであろうオタク諸兄もどうか安心されたし。ただ女のクソでかい感情云々は含まれるから我慢してちょ。)に全振りだからか要所要所がふわっとしてるし、勧めずらさの局地。pixivもまだ無かった時代、あれあったっけ?あったかもしれないしなかったかもしれない時代、個人サイト巡って細々と零に対するお気持ちをちんまり研いでいたあの頃から続く、寂しさ、飢え・・それらは20代になっても大人になっても拭うことが出来ずに煮凝っているというか、燻っているというか。
それ故に今回の会めちゃくちゃ楽しみだったんですよね。基本、「人と遊ぶ!」ってなると脳みそから何らかの汁が迸ってよからぬテンションになるんですけど、もうその比じゃない。なんだったら開催3日前からソワソワしちゃって、ロケハンと称して一周クリアしちゃったり、その時点で何かが狂ってたのかもしれない。それがもう店で開幕したら喋りが止まらん止まらん。ギア弄ったっけロー入っちゃってもうウィリーさ。零面白い!酒も旨い!ツマミも旨い!これぞ我が人生!
気がつくと朝の5時。痛む頭と喉を摩りながらバーのソファから身を起こす。やってしまった・・ハメを外しすぎて脳内麻薬が切れたと同時に事切れたらしい。せっかくの催しだったのに、零シリーズ童貞を捨てた人間だっていたのに、1人だけ舞い上がって騒ぎ倒して倒れ伏すなどなんてことを・・。襲いくる後悔と自己嫌悪と朝まで付き合わせてしまった店主への申し訳なさに、頭抱えてしまった。あと二日酔い。
私はふらつく頭と足を引き摺って、店主に平謝りするとバーを後にした。
「あれ?ここバーかなんかできたの?」
私がバーから出ると、丁度近所のスナックから朝まで呑んでいたと思われるおっちゃん2人が出てきた。
「あ、はいそうなんですよ。先週あたりから本格的に始めて・・」
店主へのせめてもの罪滅ぼしと、東武練馬駅から徒歩約5分、北町アーケード内にあるカフェバー「或る」のプレゼンをする(よかったらこれを読んでる皆さんも行ってみてください。店主のTwitterはこちら→@aru_cafe_bar)。店内は落ち着いた雰囲気で、お酒はウィスキーを中心にそこそこありますね、日本酒や焼酎はないですけど。簡単なツマミでよろしければ作りますし、何よりカフェでもあるのでコーヒーも美味しいですよ。特にウィスキーを薄くいれたコーヒーで割ったアイリッシュコーヒーなんてオススメです。いやー、今のところ客はほとんど身内で回してるようなものなんでご新規じゃんじゃん歓迎ですよぉ、なんだったらそこのスナックでも飲み屋でもいいですから綺麗なおねえさんひっかけて来てくださいよぉ、なんせ男所帯なものですから華がなくてねぇ〜がっはっは‼︎
痛む頭から精一杯の営業トークを捻り出した。でもおかげで口が回る。ありがとう昨日の残滓。
「はぁ〜、今度寄らせてもらうわぁ」
「お願いします〜、では私は始発があるのでこれで・・」
駅に向かって歩き出した私の背に、おっちゃんが声をかける。
「そん時ゃサービス頼むよ店長さーん!」
私は店長じゃない。