レコーディングエンジニアになるためには①
はじめまして。もしくはお世話になっております。
私はPoriと申します。
私は某芸術大学→リハーサルスタジオでのレコーディング&受付、整備勤務
→転職でサウンドクリエイター/サウンドディレクターに
と現在は音楽から一歩後ろに下がった現場で就労しています。
現在第一線で活躍されているエンジニアからしたら拙い文かと思われますが
レコーディングエンジニアを目指してる方、伸び悩むセミプロの方は是非一読を。
前置き
これは私の経験、勉強した事柄から私自身の考えをまとめたものになります。
まずレコーディングエンジニアになるため必要な要素は
・良い音、悪い音の基準を自分で作る
・世界的に良い音の基準を知る
・多くのジャンルへの理解
・コミュケーション能力/根性
・最低限の音楽理論知識
上記の要素は絶対に欠いてはいけません。
まれに欠いていても仕事をしている方がいますが
それは「近道」でレコーディングエンジニアになったか、
欠いた分を他の要素で大きく補填できているのどちらかであるので
今から目指す、目指している方は絶対に意識してください。
私自身まだ少しレコーディングエンジニアへの未練がありますので書きたい文が非常に多いです。
なので何回かに分けて記事にしていきます。
長編になるか途中で燃え尽きるかわかりませんけどね。
では本文へと進みます。
目指し始めてまずすること
レコーディングエンジニアを目指すと決めた方で何をしたら良いか、何も勉強したらいいか分からない方も多いと思います。
膨大な機材、プラグインの使い方
買わなきゃ行けない機材など沢山のハードルがありますが最初の段階では機材の知識、使い方などは必要ありません。
一番最初に取り組まなせればならないタスクは
「音楽を聴く」
です。
読んでる方で音楽はいつも聴いているよ!
たくさんCDも持ってる!!
と言う方も多いと思いますがひょっとしたらそれは「好きな音楽を聴く」という行為になっていませんか?
好きな音楽を聴くことも非常に重要です。
特にレコーディングエンジニアを目指すのであれば音楽を愛しているはずですので好きな音楽を聴くのは非常に楽しい行為ですが
それでは審美眼、、、審美耳が育ちませんしクライアントと良好な関係が築けません。
あらゆるジャンルを聴き、理解する
この工程もなくてはならない要素になります。
今あなたは音楽ジャンルについてある程度語れますか??
ボカロについては?
ロックについては?
EDMについては?
ヒップホップは?
クラッシックは?
ジャズは?
レゲエは?
シューゲイザー、メタル、パンクetc……
近年音楽は圧倒的に広いジャンルに分かれています。
その全てを網羅するのは非常にしんどいですがそのジャンルの名盤と今のトップを聴いてください。
各ジャンルによって音が全く違うと気付くことができます。
例を挙げれば
ロックとメタル
これは元々1つものが分かれて発展したものですがそれでも全く音が違います。
このようにジャンルに対してある程度の理解がないとメタルの楽曲をロックの楽曲のようにMIXし、結果として二度と仕事を貰えないということもあります。
逆に他ジャンルからヒントを得て活かすことだってできます。
いくら機材を勉強しても処理を完璧にこなしても、最高の録音をしてもジャンルへの理解がなければ作品はしょぼくなります。
アイドルの作品なのにボーカルが前に出てこなかったら変ですよね?
和楽器バンドなのにドラムがデカすぎて繊細な琴や尺八が聴こえにくかったら??
ジャンルを理解することによって、そのジャンルの美学、コンセプト、主題などが見えてきてどのようにMIXすればいいのかがわかります。
またそれによってクライアントが求める楽曲の商品性を担保することができますので必要なことになります。
厳しく言えば上のことが出来ないならば
「近道」以外レコーディングエンジニアになることは難しいです。
なぜならこの日本に置いての音楽市場は
アイドル、アニソンとポップスが占めておりそれらの音楽はジャンルの複合が多くごった煮になっていることが多いからです。
それらのポップスを聴き、どのジャンルが混ざっているか判別がつくようになれば問題ないレベルと言えるでしょう。
レコーディングエンジニアを目指すなら「音楽」を聴いてください。
良い音を知る
今すでにMIXを自身で行っていて伸び悩んだりしてる方は特にこの工程は意識してください。
まず前提としてレコーディングエンジニアは「クライアントが求めているサウンド」+「良い音」を作り出す必要があります。
話が逸れますが
レコーディングの仕事を頂いたとき「こんな音にしてほしい」とリファレンスを頂きますがどれだけ頑張っても80%くらいしか似ません
なぜなら全く同じ楽曲でないからです。
なので基本的にはリファレンスのようなサウンドを100%で希望しているクライアントとは齟齬が生まれます。
その満たせなかった20%を自身の感性で埋めクライアントを納得させられればリピートに繋がり仕事は増えそれを繰り返せば非常に良いエンジニアとなるわけです。
つまりは感性を磨かなければなりません
その感性を磨く上で必要なのが
多くの音楽を良い音で聴くこと
になります。
今あなたはどんな環境で聴いていますか?
スピーカー?イヤホン?ヘッドホン?
いろいろな媒体がありますがなるべくスピーカーで聴いてほしいです。
身近に高品質のスピーカーがある方(レコスタがある音大、専門学校生)
は暇さえあればスタジオに入り浸って機材が何にもわからなくてもテキトーでもいいのでまずは好きな音楽を聴きまくってください。
そしていつも普段聞いている媒体との違いを感じて差がわかるようになりましょう。
この効果は簡単に言語化するのが非常に難しいのですがセミプロとプロの音質を分ける要素の1つであると思っています。
どうせみんなairpodで聴いてるのに何で?
って思うかもしれませんがそれだとレコーディングスタジオでデッカくて高いスピーカーが無くならないのはなぜでしょうか。。。
また現在身近にレコーディングスタジオがない方はスピーカーを買ってください。最上級モデルでなくて大丈夫なのですがザックリいうと
1つ7万、ペアで14万が最低ライン+スピーカースタンド+オーディオインターフェイス(これも高いやつ)これを買ってください。
音楽専門、大学に入っていないなら買っちゃうしかないです。
上記の機材は正直途中であきらめることになっても腐りませんので初期投資だと思ってください。プラグインとかアウトボードに金をかける前にこっちに金をかけるほうが確実ですし。
ちなみに音楽専門、大学に入っている在校生の場合は
買っても学校スタジオの劣化にしかならないのでそこにお金を使うくらいなら友達と遊んでください。そのほうがいいです。私は社会人になってから気が付きました。
とまあ機材押し売りのようになりましたが
日々のリスニング環境が良くなければ絶対に耳は育ちません。
MIXのテクニック等今後記載するつもりではありますが、
耳が育たずEQやコンプをこねくり回しても絶対にいい音は作れません。
MIX処理のテクニックなんて焦らずとも向き合っていくうちに習得できます。
まずは自分の耳を育てることに意識をおいてからレコーディングに関する様々なことを実践すべきです。
コミュニケーション能力を磨く
表題の通りです。
これは私自身も非常に苦労しましたが絶対に必要です。
寡黙で仕事をこなすエンジニアはカッコいいですが、
それは今までの経験からクライアントの要望が聞かずしてわかるような境地にいるからできることです。
クライアントやアーティストの声を聴きそれを音に還元しなければレコーディングエンジニアとして信用されません。
なので密にコミュニケーションをとるのは良い作品つくりのために必要なことなのです。
ただこれは現場に入ると録音、EDIT、テイク管理など様々なタスクが同時に進行します。その中でコミュニケーション能力を現場で磨くなんて無理です。
絶対にいっぱいいっぱいになります。
なのでコミュニケーションを無意識でとれる、気さくに話せるスキルを身に着けてください。
飲み屋のバイトでもバーテンでもなんでもいいです。気さくに接客できるように鍛えてください。
私が個人で開業しレコスタを始めるならば
MIXがセミプロレベルまでできる寡黙な子と
元気で気さくなMIXが荒い子だったら後者を採用します。
MIXの腕一本だけでのし上がれるほど甘くありません
今の時代、セミプロでもアホみたいにいい音作る人もいます
その中でプロとしてやっていくということは「仕事」になるってことです。
コミュニケーションがまともに取れない人間は仕事になりません
知らない人と話すのが苦手な人は改善してください。
別にプライベートで知らん人に話すわけじゃないんで、仕事中だけたくさんコミュニケーションが取れるようになるスイッチを自分の中に作ってください。
まとめ①
第一弾はここまでにします。
今回は音楽を聴くこと、良い音を知ること、コミュニケーション能力を磨くことについて記載しました。
正直すぐに結果が出るものではないですが上記の三点を抑えてない人間がエンジニアになれたとして結果は出ないと思います。
エンジニアになり、良い結果を出したいのであれば必須なので意識してこれからも励んでください。
次回はおそらく
・生楽器の向き合い方
・EQ、コンプ
・メンタル
・近道とは
についてこの記事の評判がよく、私の承認欲求が満たされる感覚があったら書こうと思ってはいるのでまたよろしくお願いします。