球児苑『エラー』の感想ーセカンドの守備率と下柳グラブ叩きつけ事件などー
球児苑の再放送を見たので感想を書きます。テーマは『エラー』です。
OBのゲストは井端弘和氏と下柳剛氏でした。
感想、再認識した点として、「守備率」と「下柳氏のガチギレ事件」について書きました。
セカンドとショートの守備率の違い
番組ではセカンドでゴールデングラブ賞を受賞した、西武の外崎修汰選手にインタビューしていました。
外崎選手は、エラーについてこのように語っています。
エラーは考えずに攻め、捕れなくても体のどこかに打球を当てて粘る
なるほど、まずは体に当ててでも何とか捕球してアウトにしようという姿勢ですね。
でも、これを聞いた時、僕は「ショート」はどうなのだろうと思いました。というのも、「セカンド」と「ショート」では一塁への送球距離が違うからです。
もっと言うと、
セカンドは体に当ててから一塁へ投げてもアウトにできる確率は高いが、ショートは体に当ててから一塁へ投げてもそのアウトにできる確率が低いのではないか
ということです。
実際のセカンドとショートの守備率を見てみます。まずはセカンドです。
セカンドの守備率上位者【2020年セ・リーグ】
1 菊池 涼介 (広) 1.000
2 吉川 尚輝 (巨) .993
3 阿部 寿樹 (中) .9908
4 山田 哲人 (ヤ) .9907
出典:NPB公式サイト
セカンドの守備率上位者【2020年パ・リーグ】
1 外崎 修汰 (西) .992
2 浅村 栄斗 (楽) .990
3 中村 奨吾 (ロ) .985
4 渡邉 諒 (日) .984
出典:NPB公式サイト
守備率9割を超えている選手が5人います。広島の菊池選手は10割です。
続いてショートの守備率です。
ショートの守備率上位者【2020年セ・リーグ】
1 坂本 勇人 (巨) .991
2 木浪 聖也 (神) .980
3 京田 陽太 (中) .977
4 田中 広輔 (広) .974
出典:NPB公式サイト
ショートの守備率上位者【2020年パ・リーグ】
1 中島 卓也 (日) .992
2 藤岡 裕大 (ロ) .986
3 源田 壮亮 (西) .983
4 小深田 大翔 (楽) .979
出典:NPB公式サイト
一方でショートの守備率が9割を超えている選手は、巨人の坂本選手と日ハムの中島選手の2人しかいません。
セカンドで守備率が9割を超えている選手が5人いるのと比べると、明らかにショートの方が守備率が低いです。
さて、この原因の一つには「一塁までの距離」が関係しているのではというのが仮説です。
セカンドは体に当てて前に落としても一塁へ投げられる余裕がありますが、ショートはそうもいきません。
だからこそ、ショートは「一か八か」のギャンブル的な捕球の仕方を試みてアウトにしようとするのではないでしょうか。その結果としてエラーをしてしまうことがあり、守備率が下がる要因になるのではないでしょうか。
冒頭で紹介した西武の外崎選手は、もともとは「ショート」を守っていました。近年はセカンドを守り「粘ってアウトにする」という意識で守備をしているとのことでしたが、これが「ショート」を守る時と違うのかも聞いてみたいところです。
合わせて読みたいDELTA社の「FIELDING AWARD」
球児苑『エラー』では、主にデータスタジアム社の協力があります。
番組内では、データスタジアム社のデータ提供により
・エラー後の打率が高い打者ランキング
・エラー後の防御率が低い投手ランキング
など、おもしろいデータが紹介されています。ぜひ、機会がある方は番組をみてください。
ここでは、番組とは合わせて読んでおもしろい記事を紹介します。
野球データなどを扱うDELTA社の「FIELDING AWARD」の記事です。
【FIELDING AWARDとは?】
野球のデータ分析を手がける株式会社DELTAでは、2020年の日本プロ野球での野手の守備における貢献をポジション別に評価し表彰する“1.02 FIELDING AWARDS 2020”を発表します。これはデータを用いて各ポジションで優れた守備を見せた選手――いうならば「データ視点の守備のベストナイン」を選出するものです。
出典:DELTA社
守備率だけではない守備範囲に関する指標や、状況別の守備データ分析など、細かい分析により「守備のベストナイン」を選んでいます。
このうち、セカンドとショートのリンクを以下に記載します。
セカンド部門↓
ショート部門↓
下柳の伝説のグラブ叩きつけシーンは3部作だった
さて、うって変わって話題は下柳氏です。
下柳氏と言えば現役時代のマウンドガチギレ事件が有名です。野手がエラーした後にガチギレし、グローブを思いっきりマウンドに叩きつけたシーンです。
よく珍プレー好プレーで放送されるシーンでもあります。
僕自身は1回のエラーで切れていたのかと思っていましたが、3つの「エラー」が重なっていたのですね。
前提(当時のポジション)
ピッチャー:下柳選手
セカンド:今岡選手
ショート:秀太選手
エラー3部作
1. ランナー一塁でセカンドゴロ。今岡選手が二塁に投げてフォースアウトを狙ったところ、ショートの秀太選手がベースから離れてオールセーフ
2. またゲーツーコースのショートゴロ。秀太選手がファンブルし、オールセーフ。
↓
下柳選手、グラブを小さく地面に叩きつける
3. さらにまたショートゴロ。しかし秀太選手はびびっており、ボールを待ってとって二塁だけアウト。一塁はセーフ。(*記録はエラーではないですが、目に見えないエラーかもしれません)
↓
下柳選手はゲッツーが取れないことにガチギレし、グラブ大きく思いっきり地面に叩きつける
このように、いくつかのエラーが重なって、あの「グラブ投げ」に繋がったことを再認識しました。
何度も見ているシーンなのに、伏線がたくさんあったことをつい忘れていました。
今回の球児苑で紹介されており、改めて再認識しました。下柳氏がガチギレするにも理由があるのだと。
参考:片岡氏のYoutubeにて、下柳氏が当時の真相を語っています。
なお、去年(2020年)にヤクルトの小川投手がノーヒットノーランをした試合の解説でも、このシーンが例に出ていて笑いました。
DAZNで見ていたのですが、解説の谷繫氏が下柳氏のシーンを引き合いに出しています。
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おわりに:やっぱり球児苑はおもしろい
改めて、球児苑はおもしろい番組だなと思いました。
ぜひ、毎週やってほしいくらいです。今後も注目していきたい番組です。
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野球ブログも書いてます。良かったら遊びにきてください。
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