サラットナさん 第二十二章

貝塚史子さんへ

兎名乃沙羅と申します。なんて形式ばった言葉はいりませんね。今、少しだけ人間やってます。向こうの世界に戻るまでの時間、夫としばしの現世を楽しんでおります。

貝塚さんはおそらく今、この手紙を読みながら得意の?マークが頭に飛び交い、私を質問ぜめにしたいお気持ちでしょう。なので少しだけお伝えします。昔々、ロミオとジュリエットのような立場の私たちでした。結果、心中を選びました。
その後、どの時代に降り立ってもすれ違いの二人。

ある時、私は初めてお百度参りをしました。
その時、神さまからお言葉を頂けたのです。

この神社に再び、あなたが辿り着くことが出来たならば二人を夫婦にしてあげようと。

貝塚さん、お塩を常に持ち歩いてくださいましたね。おかげで安心して関わることができました。あっ、また、すごくがっかりしている貝塚さんが目に浮かびます。塩を持っているから近づいてきたの?って。

大丈夫、はじめはどうでも良い方でしたが、今では大親友として心に刻んだサラットナです。

私の口癖を名前にしてくだり、ありがとう。
私は貝塚さんと少し似て、自分のことはいまだによく分からないのです。

今度こそ、幸せになります。

貝塚さんの旦那さま、ぽっちゃりとされて可愛らしい方だったのですね。ご自宅にあなたの好きなものをお届けしましたよ。それでは末永く、ご夫婦そろってお元気でいてくださいね。さようなら。    あなたの大親友 沙羅より

私の好きなもの!もしかしてミルクレープ?だったら最高に嬉しいなぁ。帰宅するとバナナがテーブルを占領していた。

お正月の時、最後の晩餐で何を食べたい?という先輩巫女さんの質問にそれぞれが答えた。

お寿司、焼肉、唐揚げと続く中、私一人がバナナだった。だってあの瞬間、一番食べたかったんだもん。いつも一房を一気に食べるもん。って、この会話をサラットナさん聞いていたのかしら。

早速、バナナをいただく。何?このバナナ!
今まで食べた中で一番美味しいわよ。と私がさわいでいると、旦那がやってきて、そうだな一番うまいなぁ。

あれ?もしかして、もう食べたの?

いや、まだだ。

食べたでしょ、

えーと。。。

サラットナさん、こちらこそ本当に今までありがとうございました!


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