ピカピカの給茶器
あこがれの人がいた。
ある時はひとりで、ある時は集団で楽しそうに。
掃除道具がいっぱいのカートを運びながら、会社内を清掃するおばちゃんたちの中に、その人はいた。
新入社員の時、トイレで泣いてしまった。
その人は偶然入ってきて、飴ちゃんをくれた。
何も聞かずに、ニコニコと飴ちゃん食べる?と制服のポケットに入れてくれた。2個も!
各フロアには給茶器があった。
事務員である私は、朝一に給茶器にたまった古い茶葉を捨て、その入れ物やお茶を入れる網などを洗った。
昼と夕方は、そのフロア担当のおばちゃんが洗ってくれる。そう、あこがれの人が担当だった。
ある日、見知らぬおばさんが給茶器を洗っていた。あれ?おばちゃんはお休みかな?
それから一週間後の朝、すっかりお茶のしぶが定着してしまったのか、洗っても綺麗にならない。
このフロアに移動してから5年間。
ずっーと、給茶器はピカピカだった。
おばちゃんの働きぶりにあこがれて、定年退職したら、絶対、おばちゃんのようなお掃除人になりたいと思っていた。
廊下ですれ違うと、おう、元気か?と声をかけてくれたりもした。
腰はだいぶ曲がり、足も悪くしていたのか、歩き方がぎごちなかったけど、そんなことどうでも良かった。
おばちゃん、どうやって茶しぶがつかないような洗い方をしていたんだろう?
心を込めて洗ってくれていたのだろうなぁ。
おばちゃん、ありがとう❣️
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