サラットナさん 第十四章

バラたちが踊っている。自分の星に残してきた一輪のバラは普通のバラだったんだと落ち込む王子。そこにキツネがあらわれてお友だちになり、「大切なものは目に見えないんだよ。心で見なくちゃ」という言葉をもらう。王子は気がつく、あの一輪のバラは自分にとって大切な存在だということを。

もしかして、星の王子さま?

当ったりぃ

サラットナさん、本も読むんですか?

えっ?読まないわよ。ある町の市民劇団の舞台を観たの。私もバラの踊りに参加したかったわ。

そこですか。
何の舞台でしょうクイズは、サラットナさんが衣装や小道具も使うようになって楽しさが増している。今回は紙芝居だ。

そうだサラットナさん、今度、旦那にも姿を見せてくださいよ。万勝神社にはお掃除大好きな妖精さんが100年も住んでいるって話しても信じてもらえなくて。

貝塚さん、それは無理かもしれないわ。

えっ?どうして。

そうね、なんて伝えれば良いかしら。全てのものごとは。全て同時にそこにあるのだけれど、それぞれの人が持つ周波数で見えるものが違ってくるのよ。

???

そうねぇ、ラジオ番組をチューニングするのと似ているかしら。あと、私、貝塚さんの少し前にここに来たばかりよ。

えっ?

今まで、たくさんの神社をめぐってきたのよ。

そう言ったあとサラットナさんは物思いにふけるように黙ってしまった。時々、こんな時がある、いえ、最近増えてきたのかもしれない。

「貝塚さん、お久しぶりです。」と懐かしい声がした。秋の大祭を最後に寿退職した元巫女さんのはるかちゃんだ。

「はるかちゃん、お久しぶりです。嬉しいわぁ。」

「貝塚さんも相変わらずお元気そうで良かったです。唐突ですが最近、ご飯食べるとすぐ気分ご悪くなるんです。今度お茶しながら相談にのってくれませんか。」

「良いですよ。いつにしましょう。」

ウフフ、少しづつ知識増えているし、いつか私、ヒーラーになれるかも。とニヤニヤしているとサラットナさんが指を一本たてて左右に振っている。

貝塚さん、お身体様を治すのは、私たちではなく本人よ。神様とそれぞれが参道で繋がっているのだから、私たちはあくまでもサポーターなの。
忘れないでくださいね。

なんで叱られる?どちらにしても、はるかちゃんとのお茶が楽しみな私だった。


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