サラットナさん 第七章
空を飛んでいる。これは夢だ。
そう夢の中で思いながら、横を見るとサラットナさんも飛んでいる。
キャハハ楽しい〜。
少女のようにコロコロ笑いながら、
空中遊泳している。
ん?これは夢だ。私の夢の中にまでサラットナさん来ちゃった?
見て見てぇ、貝塚さ〜ん
ずっとずうっと先までお花畑よぉ
癒されるぅ
そうだ、このお花畑に降り立った時、地面から何かものすごいエネルギーが立ちのぼるのを感じたんだ。
いつもは砂漠の土地に、雨季の数週間だけ花が咲く。お互い譲り合うかのように毎日、花の種類も変化していく。一番綺麗に咲ける時を50年も待つ花の種もあると聞く。
あの年の春、出血多量で子宮を奪われた。もう生きられないと思った。最後の旅と思いアフリカの神々の花園を選んだ。
目覚まし時計のベルがなる。台所から美味しそうな香りが運ばれてくる。
何も出来ない私を、何故、彼は捨てずにいるのだろう。
そりゃ見てて面白いからと言うけど、本当にそれだけで良いのか。
ちょっと待った!!最近、私なんだかおかしいよ。
今は毎日、小さな花壇の手入れして、テレビみて、旦那の作った料理食べて、時々、友とお茶して愚痴を聞く、呑気な生活で幸せじゃん。これ以上何を望むんだ?
そりゃ、一度くらいは舞台に立ってみたかったよ。役者に憧れていた。旅先でローカルテレビに取材された時は嬉しかった。それに、また旅をしたくて神社バイト始めたからいいじゃん。
コンコンと旦那がドアをノックする。カシャ、「おはよ。」と書いたウチワがヒラヒラしている。
あー!夕べ旦那とプチケンカしたんだ。
忘れてた。
慌ててドアを開き、旦那に抱きつく。
思えば久しぶりだな、こんなの。
見上げると、顔がくしゃくしゃで、泣いてるのか笑っているのか分からない彼がいた。
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