夫の理解 その3

おじさんには、一人娘がいる。

今から何十年も前の不妊治療、遠くの大学病院まで1日かけて検査、診察に行っていたとのこと。AIH(人工授精)で授かったそうだ。

通院も大変なことだが、それ以上に、田舎も田舎、しかも地元の名士の家。その嫁である、おばさんのあることないこと言われようたるや。

ほんの少しは聞いたことがあるが、もういい、それ以上は聞きたくない、と思えるほどの酷い話。きっとその10倍は色んなことを言われてきたと、想像するに難くない。

もちろん男性不妊なのだけど、そんな知識は噂好きの井戸端会議の場では、きっと出てこない話題だろう。

そんな嫁さんの姿を10年間見てきたおじさん。この人は楽天的、快活朗らか、大きな声で話す、社交的タイプ。しかし、この話に関してだけはトーンがガラリと変わる。

我が家の不妊治療という船は、おじさんの体験談によって推進力を得て、道に迷った時も羅針盤となったり、乗組員の士気が落ちてきた時は神の御加護の如く「元気にしとるんか?」と電話をくれり美味しいご馳走を送ってくれたおかげで、10年間進んでいくことが出来た。

本当にありがとうございました!長生きしてね!

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