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同じ患者の立場でソレ言うかと思った話

病院の待ち時間は、予約をしていても気が遠くなるほど待たされる。

たまに、同じように長く待っている患者どうし、お互い治療を頑張りましょうねって話をすることもあったけど、読みかけの本を持参して読んでいることが多かった。

全ての標準治療を終えて、オプション的な再発予防の為の治療をしていた診察日のこと。

この日は、いつも以上に混んでいて2時間近く待っていた。
あー疲れたなぁと、座りながら軽くストレッチをしていたら
隣に座っていたオバサンが話しかけてきた。

どうやらステージ1の乳がんと告知されたところっぽく、
治療の方針について先生と話し合うために来ていたみたい。

そのオバサンが、ステージ3で抗がん剤しか治療法が無かったわたしに
「私はね、抗がん剤しなくていいらしいの。ほら、抗がん剤すると髪の毛が抜けたり大変なのに死ぬでしょ。」って。

「・・・私、生きてますけど、なにか。」

って言ってやりたい気持ちをこらえていたら、そのオバサンは続けて

「アメリカでは、乳がんは手術しないそうよ。娘がね、アメリカの論文をネットで調べてね、アメリカのような治療はできないのかってね」

「・・・私、手術もして、抗がん剤も3種類目ですけど、なにか。」

って、また言ってやりたくなった。

待合スペースは患者さんでいっぱいだったから
わたしのように抗がん剤で治療をしている人がいたかもしれない。
不安を抱えて自分が呼ばれるのを待っている人がいたかもしれない。

いろんな思いを抱えて待っているのに。

当然、わたしの心もぐらついたし、嫌な気分になった。
配慮ということを学んだ日になった。

だけど、先生も大変だなぁ。
アメリカの論文を検索してくる人もいるとは!




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minako | 公認心理師・乳がんサバイバー
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