YOUは何しに温泉へ〜春日温泉〜

自転車を漕ぐ分には肌寒いかもしれない。だけど帰りには上着が邪魔になるかもしれない。そんな日差しの強いAM11:00だった。

共同温泉を回る時は、ココって、ソトモンのワタシが行ってもダイジョウブなとこやっけ、と不安になる。組合員しか入湯できない温泉だったら、チャリを温泉の前に駐めてその事実を確認しにいくことすら躊躇われる。誰かの家のように佇んでいる春日温泉の番台に、温泉道のスタンプが置いてあることを、チャリからは降りずに必死に目を細めて確認した。荷物カゴの中の洗面器とシャンプーを手に取って入り口へ体を向けると、地域の方と思われるおばちゃんがいた。私はまだ財布を取り出してもいないけど、そのおばちゃんは

ゆっくりして行きよ〜

と水滴を落としながらすれ違っていった。番台には、入湯料100円を払う為の、貯金箱の様な直方体が横たわっているだけで常に無人である。利用者に対する揺るぎない信頼感が、温泉を入る前にして温かった。

(ここで皆様の心の中にレイザーラモンRGが登場)
♪別府あるある言いたい〜ドア開けたら〜すぐ風呂場♪

こんな形態の温泉なので、服を脱ぐのを躊躇する冷たさがない。省エネな快適空間である。

とりあえず髪を洗おうと湯船の縁を沿う様に床に座り込む。シャンプーの入れ物の押すところがザラザラになっているのは温泉利用者の為なのか?と毎度視野の狭いことを思う。

The 常連!というヴィジュアルのおばちゃんが入ってきて、向かい側で体を洗い出す。続けて綺麗目のお姉さんとそのお母さんが来湯。福岡から来ているようだった。

福岡の親子、
地元のおばちゃん、
高校生の私。

ここに来なかったらどこに一緒に喋る機会があるだろうか。毎日あっている調子でこんにちは、と交わし、さようなら、と言えば何事もなかったかのようにもう2度と会わない。温泉に行く、ということは、体を洗いに行くだけではなく、何かに、誰かに、新しい出会いに、会いに行く、ということなのかもしれない。

名前も知らない、
でもどこから来たかは知っている。

なんでそれ知らんくてそれ知ってんねん、と関西人にツッコんで欲しいくらい、温泉には不思議な関係性が浮かんでいる。私も同湯していたおばちゃんの名前を知る前に知りたい。この時間の風呂はどういうタイミングなのかを。


春日温泉 ¥100

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