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「ドイツ縦断ひとり旅」(16) ツェレ  ハンネローレの庭、卓球少年ドミニク、そして・・・

2019年9月19日(木)快晴

ハンネローレも少し早く来たのね。彼女の新車、ワインカラーのフォルクスヴァーゲンでホテル(B&B)へ。個人のお宅を改装した部屋だけど、私のアパートより断然広い。もと書斎だったベッドルームは通りに面している。続き部屋はダイニングキッチン、そして、奥がバスルーム。カーテンはアップリケが施されたお手製、壁には刺繍の額、ベッド脇のテーブルとダイニングテーブルには季節のお花が飾ってある。何て素敵! おもてなしの心があふれている。

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オーナーのディーン氏は隣に住んでいる。とても知的で、ジェントルな人。流暢な英語! にこやかな笑顔! 何て魅力的な紳士!

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再びハンネローレの車で、昼食へ。考えられないくらい大きな、郊外の家具店の2階がレストランになっている。ハンネローレが言った。「ウェルカム・ランチだから、おごちそうさせてね。」 ドイツに来て9日目、初めての昼食。幸せ!

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たくさんの種類の野菜をチキン、またはビーフと炒め、スパゲッティ、ライスなどベースを選んで、ソースは7種類の中から選べる。 チキン、ペンネ、甘酸っぱいソースに決めた。これが相当おいしくて、彼女は「もう入らないわ」と残したのに、私はペロリと平らげてしまった。ドリンクコーナーでジュースを選んでグラスに注いだ時、「もっといっぱい、ギリギリまで入れなきゃ。値段は同じよ。」と、ハンネローレ。「はーい。」

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昼食後、アーデルハイドスドルフの彼女のお家へ。おお、なつかしい、イーゲル(ハリネズミ)の表札。私の大好きな、静かで、平和で、美しい庭。 またここを訪れることができて、どんなに嬉しいか、彼女に伝わっただろうか。

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池の周りを散策。ハンネローレご自慢のピンクのバラや、実をたくさんつけたラズベリーの樹などを見て回った。敷地は小川で仕切られ、その向こうには草原が広がっている。かつては馬を調教する場所(ニーダーザクセン州は馬の飼育と調教で有名)だったが、使われなくなってからは、緑の借景となっている。

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ティータイム。「テー・オーダー・カッフェ?」 普段は紅茶党の私だけど、「一緒がいい。」と言って、コーヒーにしたら、メチャクチャおいしかった! 毎月、手紙のやり取りをしているから、7年間の空白がない。不思議ね。二人共ファンなので、メルケル首相の話になった。「彼女は引退して、家族とゆっくり暮らしたいのよ。その気持ちはよく理解できるんだけど、もう少し頑張ってほしいのよね。」と、ハンネローレ。

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 誰かが庭の木製の塀を飛び越えて、こちらにやって来るのが見えた。サンルームに入って来たすらりとした少年。ドミニクだった。 初めて会ったのは、森の中の幼稚園にお迎えについて行ったとき。あのドミニクが12歳の中学生になっていた! すごく背が高くてビックリ! ちっちゃな頃はまるで小動物のように愛くるしい子だったが、その面影は目元に残っていた。彼は卓球が得意で、地域の最優秀選手なんだって。いずれは卓球王国ドイツの代表選手になるかも・・・と盛り上がっていたら、彼のパパ(ハンネローレの息子さん)が、少し遅れてママがやって来た。わあ、久し振りーと、ハグ。 毎日おばあちゃんちにお泊りに来て、おばあちゃんのベッドで寝ていたドミニク。もう、卒業したんだって。

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夕方、ハンネローレが車で送ってくれた。途中ずっと美しい並木路が続いていて、「アレー」と言うのだと教えてくれた。「樹木はとっても大切なものよ。」と彼女は言う。「ドイツではね、法律で、5歳を過ぎた木は切ってはいけないと決められているの。自然は自分一人のものじゃない。みんなの宝だから。」 「うーん、その通りよ。私もそう思うわ。でも日本では、狭い国土に多くの人間が住むために、木を切り倒し、山や森を壊して宅地にしてしまうの。皮肉なことに、今では空き家が増えていて、大問題になっているの。持ち主が分からないから、建て替えたり、手を入れたりできないの。もったいないでしょう。早く法整備をするべきなんだけど・・・」

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18時には宿に着いた。「鍵の使い方、わかる? ちゃんと開閉できるか、やってみて。」と、世話をやいてくれる。そして、オーナーのディーンさんから言われたのと同じことを注意してくれた。 「夜の間は上の窓を開いておくのよ。新鮮な空気を入れるためにね。」 日本にはない習慣だなあ。日本人はむしろ戸締りは厳重にする。

ドアの前で抱き合って、「明朝は10時半に迎えに来るからね。」って。 突然、熱いものが込み上げてきて、 思わず、" I  love  you ! " と言ったら、"  I  love  you , too , of  course ! " と返してくれた。

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