ぽっぺのひとりごと(17) なかよし英語クラブ 2日目
汗をかきかき坂道を登りながら、先週、「静かにして!」と言いすぎてノドが痛くなったことを思い出す。何とかしなくては。そうだ、あの方法を試してみよう。
今日も相変わらずのワアワア、ギャアギャア。元気だなあ。先週練習した英語での挨拶をみんなもう忘れていた。想定内。根気、根気。
私が話し始めても聞いてくれない。おお、数の暴力。「静かにしなさい!」と、スタッフの声が飛ぶ。喉を痛めたくない私はベルカントで発声した。腹囲が固くなるほど息をしっかり吸い込んで、喉は空気が通過するだけ。締め付けない。そして、ソプラノで「静かに~してくださ~い」と歌うように言うと、シーンとなった。おお、効き目があったぞ。「なんかヘンな人」って思っているんだろうな。いいよ、いいよ、なんかヘンな人だから。
さあ、掴みはOK!
I like cats. I like dogs. I like bananas.
I go to Canada. I go to Okinawa. I go to the park.
I play soccer. I play baseball. I play the piano.
練習の後、何人かの女子が手を上げて発表してくれた。良かった。何とか形になってきた。でも、誰かが発表する度に、ちょっと待たせて、「静かに!勇気を出して発表しようとしているんだから、ちゃんと聞いてあげようよ!」と、叫ばなければならない。
あと5分足らずで終わろうとする時、一番後ろの真ん中に座っていた女の子が手を上げた。先週も同じ場所にいて、私語をせず、じっと私の方を見ていた子だ。
彼女は前に出てきたが、もじもじしていた。「大丈夫よ。教えてあげるから。どれを言いたいのかな?」プリントを指差し、言おうとするが声が出ない。「ドキドキするよね。でも、あなたならできる。さあ、深呼吸をしたら落ち着くよ。」
彼女は小さな声で何か言った。「みんなに聞いてもらうために、もう少し大きな声を出そう。きっとできるから。」
彼女はマイクに向かってハッキリとした声で言った。" I go to Germany. "
できた!「拍手!」
「また来週も元気で会おうねー!」
靴を履こうとしていたら、あの子が傍に来た。「さっきは頑張ったね!昨日まで出来なかったことが今日できた。嬉しいでしょ。この嬉しさを忘れないでね!」彼女ははにかみながらもコックリとうなずいた。この子の今日は昨日より輝いたに違いない。
良かった! 初日はどうなることかと思ったけれど、2回目はまあまあ。
セミの声を聞きながら坂道を下る。めげるな、私!