ぽっぺのひとりごと(62)今年も魔女になりました&楽しい絵本ご紹介
よく晴れた日曜日。今年も魔女ルックで図書館へ。
エプロンドレスに黒マント、黒い魔女帽子。片手に絵本が数冊入ったバッグ、もう一方に大量の折紙を入れたバッグを下げた出で立ちの私。
バスを降りて松並木を通りかかると、清掃ボランティアの女性達から、「まあ、可愛い!」「素敵なマントですね!」と、口々に声をかけられた。
「何か、イベントがあるんですか。」
「はい、図書館の読み聞かせボランティアをしているんですけど、今日はハロウィンの歴史をお話したり、ハロウィンに因んだ本を読んだりするんです。」
「まあ、子供達、喜ぶでしょうね。行ってらっしゃい。」「頑張って!」
優しい言葉をかけられて、ゴキゲンな私。
汗ばむ陽気だけど、魔女の衣装で来て良かった。
図書館の児童室に着いて、司書さん達にご挨拶。
「今年も魔女さんですね!」「ハロウィン気分が盛り上がりますよ!」
「ありがとうございます。今日も楽しく頑張ります。」
ところが、日曜日なのに利用者さんが少ない。そうか、行楽の秋だもんね。家族揃ってお出かけとか・・・・・。違った。今日は市内の小学校で運動会の日なんだって。
月1回のボランティア。靴を脱いでゆったりできるお部屋で、絵本や紙芝居のパフォーマンス。だいたい5~6家族は参加される。今日はもしかしたら、30数年間で初めての、お客様ゼロの日になるかも・・・・・と心配していたら、おじいさんに連れられた5歳くらいの男の子がやって来た。
幼稚園では明日が運動会なんだって。
11時になった。一組のお客様のために、エナジー百倍!
「こんにちは! お話の部屋へようこそ! 私は毎月第2日曜日担当の ”ジャック・イン・ザ・ボックス "です。” びっくり箱 "っていう意味ですよ。今日はどんなお話が ” びっくり箱 " から飛び出すでしょうか。それでは、はじまり、はじまりー。」
まず最初の絵本は『魔女の森のピクシー』。呪文も覚えられない、失敗ばかりの末っ子魔女が、魔女の森と先輩魔女さん達を救う物語。
「さあ、次は紙芝居ですよー。『泣いた赤鬼』というお話です。」
「あっ、ボク、ことわざ知ってます。」
「へえ、何ていうことわざ?」
「鬼の目にも涙。」
「まあ、よく知ってますね。エライなあ、君は。じゃあ、赤鬼さんが何で泣いたのか、しっかり聴いてね。」
「最後に、近頃大人気の絵本『ばんごはんえき』を読みまーす。」
家族3人と犬1匹で、お盆に空の食器を載せて駅に来ると、1番ホームに列車が入ってくる。
1番列車は「すいはんき列車」で、白御飯や栗御飯など4種から好きなのを選んで器に盛る。
2番列車は「おなべ列車」で、味噌汁やコーンスープなど4種から好きなのをお椀へ。
3番列車は「フライパン列車」で、ハンバーグやオムライスなど4種から食べたいものをお皿へ。
「ハンバーグとオムライス、どっちも好き。どっちにしようかなあ・・・」
4番列車は「サラダ列車」で、レタス、キュウリなど4種から選ぶ。
「ボク、野菜は好きなんですけど、トマトは練習中なんです。」
「トマトは料理を美味しくしてくれるから、好きになった方がお得よ。」
最後に、2番ホームに急ぐと、入ってきた列車は・・・・・、「デザート列車」。フルーツタルトやモンブランなど、どれもおいしそう。
「あっ、ボク、いちごケーキがいいです!」
「私もいちごがいいなあ。」
みんなのお盆がおごちそうでいっぱいになったら、列車はお客を乗せてゆっくり走り出し、食べ終わる頃、「ばんごはん駅」に戻ってくる。
「わあ、いいなあ。こんな電車があればいいのに。」
「ほんとねー。こんな駅、誰か作ってくれないかなあ。」
突然、おじいちゃんが、「高い豪華列車よりずっといい。」と、ぽつり。
ですよねー。
「ボク、楽しかったです!」
「良かったー! あ、おみやげに折紙をプレゼントしまーす。いつもは一人一つなんだけど、今日は君一人だから、二つ選んでいいよー。」
「これ、何ですか。」「忍者手裏剣よ。」
「こっちのこれは?」「紙飛行機よ。飛ばしてみて。」
男の子は嬉しそうに遊び出した。
結局、彼が選んだのは紙飛行機と、フェルトで作ったおばけカボチャのピンチ。
「ありがとうございました。」「どういたしまして。」
「さようならー。」「また会いましょうねー。」
たった一組のお客さんだったけど、あの男の子とおじいちゃんに出会えて嬉しかったー! カボチャのピンチは図書館に寄付して喜ばれた。
今年のハロウィンも無事終了。
さあ、飛べない魔女はバスに乗って帰ろう。