「我が青春のドイッチュラント」(15)番外編 ありがとう、クロアチア
ザグレブ 3日目
クロアチアでの最後の朝食。
チェックアウト。レセプションはこんな感じ。
美しい建物を見ながら、駅まで歩くことにした。
街の中心、イェラチッチ広場。
不思議な縁でクロアチアを訪れたのだけれど、本当に来て良かった!
優しくて陽気なバルビス・ファミリーとの出会いは私の宝物。
素朴な島の暮らしと、歴史の重みを感じさせる美しい首都と、両方を味わうことができた。人々はどちらも敬虔で、ゆったりとした暮らしぶり。擦れっ枯らしたところは微塵もない。名残惜しいけれど、心を残して帰れば、また来られる。
さあ、列車でドイツに向かうのだ。4,5日ドイツを巡って、フランクフルトから帰国の予定。
ザグレブ中央駅(1890年着工、1892年開業)が見えてきた。
これが駅!? 信じられないほど美しい!
窓口で乗車券を買おうとしたが、今日中にドイツへ行くのは時間的に無理だと分かった。ウィーン中央駅まで行き、夜行列車に乗り換え、翌朝ミュンヘン着だとのこと。
「じゃあ、ウィーン中央駅まで1枚ください。」
ところが、何ということ。お金が足りなかったのだ。お札から小銭まで全部並べても、150円くらい不足だった。バカだった。ドイツとは違って、1万円札を両替できる所はない。
うろたえる私に、窓口の50代半ばの駅員さんは黙って切符を渡してくれた。
うそ! こんなことあり得ない!
呆然としている私に、駅員さんは切符を握らせた。
「フヴァーラ・リィェーポ!(ありがとうございます)」としか言えなかった。 ありがとうじゃすまないんだけど・・・。国鉄の職員さんが規則を破っている訳だから・・・。
「このご恩は決して忘れません!!」と心の中でつぶやき、涙を拭きながらプラットホームへ。
最後の最後まで、クロアチアは私に優しかった。
ありがとう。