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エレファントカシマシ 新春ライブ2025 日本武道館

~エレファントカシマシはやっぱり凄かった~


エレファントカシマシ新春2025、2Daysが終わった。

エレファントカシマシのライブに初めて参戦したのが2020野音。以来35thとフェスあわせてまだ10回くらいしか生のエレカシを見れていない。2018以来エレカシ沼の住人としては7年目に突入する訳なんだが、コロナとソロ活によりバンドのライブそのものがとっても希少になってしまった。そんな中、武道館2Daysに参加できたことは、この上なく幸福な事だったと思う。

全体的な印象としては、「自然体でエレカシらしいエレカシが帰って来たと同時に、進化したエレカシにも出会えた」ライブだったと思う。

「みんなが会いたかったエレカシ」「やっぱり凄かったエレカシ」「愛すべきバンドエレカシ」年明け早々全国から駆けつけた、数万人のエビバデ全員が多幸感に包まれた、素晴らしい空間が日本武道館に展開されていた。

<セットリスト> 2日間同一
第一部
01.大地のシンフォニー
02.新しい季節へ君と
03.悲しみの果て
04.デーデ
05.星の砂
06.珍奇男
07.月と歩いた
08.シャララ
09.今宵の月のように
10.リッスントゥザミュージック
11.翳りゆく部屋
12.RAINBOW
13.ガストロンジャー

第二部
14.桜の花、舞い上がる道を
15.ズレてる方がいい
16.笑顔の未来へ
17.so many people
18.友達がいるのさ
19.俺たちの明日
20.yes. I. do
21.Destiny
22.愛すべき今日
23.ファイティングマン
24.男は行く
アンコール
25.待つ男

殆どがベストアクトだったと言っても過言ではない、素晴らしい演奏と歌唱の中で、自分が感じたことを忘備録として書き留めておきたい。

<帰還した曲たち>

  • 悲しみの果て:

「ダダッダダ」はこの塊の音じゃなきゃ。鹿野氏曰く「悲しみのイントロはギターだけじゃなくて、バンド一丸となった4人のリフが鳴っている」

今回何より嬉しかったのは、「ただーあなーたの顔が」の裏で鳴る成ちゃんのベースラインが帰って来たこと。耳の病気の後くらいから何故か消えてしまった、音源どおりのベースライン。絶対あった方がいい。

  • 翳りゆく部屋:

スタオバのアルバムで初めて聴いた時の衝撃を忘れることはできない。

エレカシ版はエレカシの音が鳴りロック色の強いバラードになる。もう生のエレカシ版は聴けないのかもと思っていたから、涙が出るほど嬉しかった。今回特に奥野氏の鍵盤が荘厳なパイプオルガン風に響いてさらによかった。もともとこの曲はユーミンが母校立教女学院のパイプオルガンをイメージして作曲している。

  • ガストロンジャー:

この曲の歪んだギターリフを聴いたのはほんとうに久しぶり。音の質感がとにかくしっくりくるというか、これ以上の正解はないと思う。

  • 俺たちの明日:

イシクンの🎸イントロがついに帰って来た。2023の紅白でさえ弾かせてもらえなかったイントロ。トミの号砲ドラムも。エモい。

  • 友達がいるのさ:

今回私は勝手に賭けをしていた。「35thのセトリから外れてしまったこの曲が、戻ってきたらエレカシは生きたバンドとして続く。戻ってこなければ形骸化する」なんてな。「オイ」が聞こえた瞬間の胸の鼓動といったら。みごとに戻って来ただけじゃなく、久保田光太郎のすばらしいアレンジの音源をほぼ忠実に再現していた。大好きなイシクンの🎸リフ元気に鳴ってた。泣けた。

<アレンジ化けした曲>

  • リッスントゥザミュージック

  • シャララ

今回印象的な奥野氏のオルガンとストリングスアレンジによって、生まれ変わったように聴こえた二曲。特にシャララはエピックの古い音源以外聴いたことがなかったので、とっても新鮮だった。後半宇宙を感じさせるような壮大に広がる曲に生まれ変わっていた。2023野音の「東京の空」のように、前半のクライマックスといえる瞬間だったと思う。アルバム5の頃とは歌唱も演奏も比べ物にならないが、なんといってもアレンジの勝利。この音源を是非残して欲しいと熱望する。

ソウルフラワーユニオンのKey 奥野真哉氏について:

ソウルフラワーユニオンの前身、ニューエストモデルに入りたくて、弾けもしない鍵盤を弾けると偽って入った💦という逸話あり。それが今みたいにいろんなバンドのサポートまで引き受けるほどになったという事は、センスもあったのだと思うけれど、人知れずめちゃくちゃ練習したのだろうな。ミヤジと同じ66年組。遡るとエレカシが紅白に初めて出た2017年の今宵でも弾いてらしたのですね。2018年にソウルフラワーユニオンが出したアルバム「Butterfly Affects」に宮本は早々たるアーティスト達とともにコメントを寄せている。ミヤジが他のバンドのためにこういう事をするのは、なかなかに珍しい事だと思う。

奥野氏が弾いているのはハモンドオルガン。ギターに負けない大音量が出る。ハモンドオルガン奏者といえば、真っ先に浮かぶのはミヤジが昔好きだったハードロックグループ、ディープパープルのジョン・ロード。さらに、ジョン・ロードに寄せたビジュアルで、ジュリーのバックで弾きながら「勝手にしやがれ」「傷だらけの天使」等々作曲した、大野克夫氏も有名なハモンドオルガン奏者。奥野さんの弾く鍵盤はそんなロックな音色で、エレカシの音とは親和性があると思う。

今回おそらく、社長業とソロ活で忙しいミヤジに代わって、奥野氏がある程度バンマス的な役割を務めてくれたのではないかと想像する。Hello I love youやIt's only lonely crazy daysのレコーディングでもアレンジを手伝っている。メンバーとも直接やりとりして、ミヤジよりも(?)熱心にレコーディング作業してくれたとMusicaのインタでみやじが語っていた。そんな感じだったのじゃないかなと。いつも不当に音量下げられてる成ちゃんのベースと石くんのギターがまともなバランスで鳴ってたし、2023野音後の「石森にもっと弾かせろ」大合唱(笑)をみたのかみないのか、イシクンが弾くべきところをちゃんとイシクンが弾いていた。もちろん小次郎くんという名サポーターがいてこそなんだと思うが、今回の6人はほんとうにバランスが良くて、もうずっとこの6人でやって欲しいよと思ったくらい。

<進化した曲たち>

  • 珍奇男:

コットンの珍奇と2022新春の珍奇がベストアクトだと思っていたが、今回の珍奇は塗り替えたかもしれない。去年のひたちなかが象徴的だったと思うが、この曲はアドリブとか、ミヤジの気分次第で何が起こるかわからない、瞬発力を頼りにパフォーマンスで魅せる曲という位置づけがなされてきた。

けれど、楽曲としての構成の素晴らしさ、後半のセッション部分、もっと曲を前面に出して正しく演奏していいはずの、バンドの魅力を伝える素晴らしい楽曲なんじゃないかと常々思っていた。今回ももちろん22回?のおっとっととかはありつつも、歌と演奏が本当に素晴らしかった。今後もきっと進化が楽しみな、エレファントカシマシの代表曲であり続けてくれるはず。

  • 男は行く:

シャララが前半のハイライトなら、トリを飾るこの曲が、孤高にそびえたつ富士山のようなエレカシをドーンと押し出してピリオドを打つ。貴様らに聞かせる歌などないと一刀両断されて、参りましたとひれ伏す以外にはない。

生で聴いたのは2020野音以来だけど、もう別曲みたいだった。正直あの「生活」の音源はめちゃくちゃだ。何を表現したいのかわかりづらい。それが今回はどうだ?ふつうこの最後の最後に出る?あんな声量お化け声。しかもやみくもにがなってないよ?みやじだけの圧倒的な圧力の高い歌声。

そして後半のセッションの進化よ!あのわけわからないリズムでめちゃくちゃかっこいいセッションする4人、ありえん。小次郎君も奥野氏も一応その場にはいたが、4人の間に結界がゴゴゴゴと立ち昇っているようにみえた。これぞ誰にも真似できないエレカシ。日本に富士山があるように、日本にはエレファントカシマシというロックバンドがそびえ立っている。

<最後に>

正直ここまで素晴らしい2日間になるとは、期待を越えていた。期待値が低くて申し訳ございませんでしたm(__)m

こんな凄いもんできるならもっとやってって気持ちはもちろんあるけれど、例え年に1回でもいい。「エレファントカシマシやっぱり凄かった」ってものを見せてくれる限り、いつまでも待つし、生きていたら必ず会いにいくと心に誓った。


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