見出し画像

啐啄

共通テスト英語Rはとにかく時間との勝負です。
その時間戦にいつも置いていかれているのが私です。
私の普段の読解スピードであれば、おおよそ120分はかかる計算なのですが、試験時間は無慈悲にも80分しか与えられていません。
「時間さえあれば」とは言っていられないのです。
どうにかして80分で間に合わせなくてはなりません。

そこでもちろん、速読力向上を図り、巷で謳われる様々な方法を試しました。主に取り組んだのは、文法の定着・長文の音読・シャドーイングの3つです。
結論、私の読解スピードは大して上がりませんでした。
文法の定着だけに関しては「読み返す」ロスが減ったため、いくらかスピードの向上に繋がったかとは思いますが。
そもそも日本語の本ですら幼少期の頃からまともに読んでこなかった文盲人間が、ましてや外国語の長文を正攻法で速読するなんて土台無理な話だったのです。

正攻法で無理ならどうするか。決まってます。
見苦しく遠回りするしかありません。

そんなわけで本記事では、私なりに見出した共テ英Rの時短tipsを、とりとめもなく列記していきます。言っておきますが、長いです。
下記の目次にズラっと並んでおりますので、気になる項だけ確認するのがよいかと思われます。


大前提

前提として、先に挙げたような「音読」や「シャドーイング」といった手法が正しく、また普遍的な術であることは覚えておいてください。これから挙げるような短絡的かつ局所的なtipsに踊らされ、たゆまぬ正道を下に見るようなことはあってはなりません。ただ、あくまで私には合わず、また克服するための時間も残されていないということで、こうしたこすい手法に頼らざるを得ないというだけです。

とはいえ、再現性の高さにはこだわったつもりでございます。ですので、もしも本記事を読んでおられるあなたが、既にあらゆるアプローチで速読力向上を図ったにもかかわらず一向に上達せず……そんな窮地の受験生であるならば、一度くらいは試す価値があるやもしれません。

基本的にはアホらしいtips集ですので、話半分に眺めていってください。

戦略

なぜこのような迂路を選んだか。
そもそもの動機を思い出しましょう。

英文を速く読めないから、でしたね。
であれば、方針など自ずと決まるというもの。

そう、いかに読む量を減らすか。
これに尽きます。
言い換えれば、読まなくてもいい箇所を増やすということでもあります。

要は、全部読まなければいいのです。読んでいたら時間が足りないというのであれば、間に合う量だけを読んで、より多くの問題を解けるように努力の方向を工夫しなくてはなりません。
読むスピードを上げるという努力が頭打ちな以上、この発想の転換(と呼ぶほどのものではありませんが)は自然な思考と受け取っていただけるかと思います。

本記事のtipsはすべて、上記の基本方針のもとに作成したものとなります。

情報取得問題を時短

本記事では第1〜3問を情報取得問題と呼称します。
理由は至ってシンプルで、設問文から必要な情報だけをピックアップしてくる問題だからです。

設問文から読み取った必要な情報を念頭に置きながら長文を読み、長文で読んだ内容をもとに選択肢を精査するのが通例の長文問題の解き方ですよね。これが言ってしまえば「長文→設問」という流れであるのに対し、情報取得問題ではとにかく「設問→文章」という流れを徹底します。

そして、最も時短を図れるジャンルでもあります。そも文章部分を全部読まなくてもいい、というものですから。そのため、本記事のtipsの大部分は、この情報取得問題を時短するためのものだったりします。

文章整理問題は最小限で

先ほど同様、本記事では第4,6問を文章整理問題と呼称します。
情報取得問題に比べて、確かに文章を読みにいかなければならないのですが、何も全部を読まなくてはならないというわけではない問題ですね。

何はともあれ文章の論理展開を整理するだけでいいのです。
精読を求められる箇所が少ないとも言い換えられますね。
特に第4問は問題箇所の近辺だけを注視して、あとは本当の意味で流し読みするだけで大体の設問が解き切れます。

そうした意味で、後述の長文読解問題と比べて時短しやすいジャンルなのではないかと考え、あえて別枠で分類させていただきました。

長文読解問題は大人しく読む

本記事では第5,7,8問を長文読解問題と呼称します。
これは言わずもがな、ひたすら読むしかない問題です。有効な時短tipsなんて全然ございません。特に第7問なんて本当に全部読まなくてはなりません(私のような人間は、解答の根拠になる以上、頭の片隅に残しながら流し読みなんて器用な真似はできません)ので、ここは諦めて読むしかないのです。

先の項でも述べたように、この長文読解問題に割く時間をどれだけ確保できるかが肝です。
加えて、長文読解問題はどうしても高配点なため、はじめから時間をかけて確実に拾っていくつもりでいた方が望ましいでしょう。

情報取得問題の時短tips

これまでに述べてきたような戦略をもとに、各ジャンルに対し適用できる(かもしれない)tipsをつらつらと書き連ねていきます。
先に断っておきますが、ソースの信憑性は大してありませんし、私自身の言葉による説明がほとんどですので、造語が多分に含まれます。

左右二項対立の箇条書きは内容も左右で対応

    プランA    │    プランB
・日程          ・日程
・目的          ・目的
・活動内容        ・活動内容

このような具合に対応していることが多いです。
そして、どうせ共通点や相違点が問われるわけですから、読み進める際も左右に目を動かせばよいのです。Aの日程を読んだら、Aの目的(下にあるので素直に読みがち)を読むのではなく、まずBの日程に移ってしまおう、という寸法ですね。

設問文中 all, both は「共通」の意

「すべての研究は[空欄]と示している」や「両者とも[空欄]と言っている」というように、結局は共通項を問われているのだと理解してしまって構いません。
そのため、文頭に All または Both が現れた際には、それ以降の設問文は読まずに、すぐさま次の設問文へ目を進めたらよいのです。
一応、不安な場合(あるいは何を指し示しているのか不明だった場合)には、係っている名詞を拾い上げてやればよろしいですね。

共通テストの特徴として一つ、設問文での引っかけやどんでん返しはないというものがあります。不適当なものを選ぶ設問では親切に not と太字で下線を引いてくれるくらいですから。そこは安心してよいかと思われます。
これだけで合計数十wordsは読む量を減らせるので、意外と馬鹿にできません。

設問文中 to do は「次に取るべき/取るであろう行動」の意

「あなたは〇〇に参加するために、この広告を読み終えたあと何をするでしょうか?」というように、ある目的・条件のもとで次のアクションは何かと問われているわけです。
それだけたと「それくらい読めば一発でわかるじゃん」となるでしょうが、この大意がたった二語で掴めることには想像以上のメリットかあります。

それは、その問題を解くのに読まなくてはいけない箇所が本文中「命令」「要求」「指示」の文だけになる、ということです。そして、その方針を設問文の2語だけで確定させられるということです。
条件が提示された後、次に取る(べき)行動として模範的な回答は、即ち「提示された条件をクリアしようとすること」です。そして、条件と言うからには、クリアするための要項があり、またそれは本文中で必ず明記されてあります。

ということは、換言すると、この問題は「この要項をクリアしてください」という「命令」「要求」あるいは「指示」を意味していると同義なのです。ならば、その要項部分だけに目を配ればいい話です。

単に to do が含まれていたら必至、と言い切れるものではありませんが、大概が上記のような問い方でした。特に、What 文頭の場合は十中八九そうです。ソースは貧弱ですが、試す価値はあるかと思います。

※ to do と似た系列に will do がありますが、後述しますように will do は「効果」を示すケースもありますので、一応こちらには含めませんでした。

設問文中 will [空欄] は「結果」「効果」「成果」の意

「〇〇をした後、あなたは[空欄]する」とビフォーアフター的な設問文になっていることが多いです。大抵は何らかのサービスのメリット(advantage)が散々語られた上での設問ですので、そのサービスを利用したユーザーの未来像が問われているのは自明でしょう。

これは本文においても然りです。この問題を解く上で目をつけるのは、設問文同様 will V だったりします(そこだけではないので注意)。

そして、共通テスト英語R世界(以下、CER世界)においては、広告内にサービスのデメリット(disadvantage)は書かれておりません。譲歩の一つもありません。それらはすべてユーザーレビューが担っております。
広告として押し売りが過ぎるとも思いますが、まぁそういうものだと受け入れるしかありませんね。むしろ読む箇所が明確になり、こちらとしてはありがたいこと限りなしです。

こうした商品紹介とカスタマーレビューが併記された問題を、本記事では Review問題と呼称します。

設問文中 条件つき will ?  は「次に取るべき/取るであろう行動」の意

設問文中において何らかの条件が示された上で What will do ~? と問われていたら、これは大体が「これを読んだ後あなたは何をしますか?」や「〇〇の〇〇曜にあなたは何をするでしょう?」と「次の行動」を読み取らせようとしていると見て間違いありません。

CER世界において読者(この場合われわれ受験者)の行動・意思決定はすべて設問文によって操作されます。日常的な世界観をシミュレートさせたい、というのが向こうの狙いなのでしょう。

そのため、未来はすべて設問文が決めます。
その鍵が先に述べた「条件」部分です。

設問文中 before, after は「条件」の意

特に根拠があるわけではありませんが、設問文中の before, after は「条件」を示すケースが多いように感じます。
そのため、ほぼ確実に読まなくてはなりません。ここを読み飛ばしてしまうと、却って読むポイントが散らばってしまうため、特に気を張って読んでおきたいところです。

設問文頭 According to 節は完全無視

一切読まなくていいです。どうせ「本文によると」なのですから、見た瞬間に次のカンマまでワープしましょう。これも合計すると二桁wordsは節約できるラッキーポイントです。

設問文頭 From は大体無視

一切とは言い切れませんが、大体は上記の According to と同じです。
稀に解答根拠の場所を示してくれている場合もありますので、一瞬目を配らせるくらいはしておくとよいかもしれません。

設問文中 you は「当事者意識をもて」の意

とにもかくにも共通テストは「日常のシチュエーション」を通じて「生きた英語」というものを身につけさせようとしています。そんな能書はどうでもよく、肝心なのは意図です。
それは「当事者意識を持ちながら英語を読めているか」を測るというものです。言い換えれば「目的意識」とも。そして、それを(回答者の意思に関わらず)回答者自身に持ってもらうために、設問で「回答者の立場」を提示するのです。回答者とはすなわち読者であり、読者とは「あなた」を指します。つまり、you = 回答者なのです。

と、長ったらしく自明のことを書き連ねましたが、これがほんの少しだけ設問把握の助けになることもあります。
ある程度思考停止で「設問文に you があったら『読者』自身への問いかけ」と捉えて構わないでしょう。これで「立場」を瞬時に把握できるため、その設問に限っては David や Mercy の情報は流し読みできるというわけです。

設問文に you がなくとも選択肢に you があれば同じ

それ以上でもそれ以下でもありません。

設問文中 for you, to you は「導入文を読め」の意

基本的に導入文は読まなくてもいいと考えている私ですが、回答の根拠になる場合は無視できません。ですが、上記のような目印をもとに、読む問題・読まない問題を峻別できるというのは、時短もそうですし、何より精神的にも幾分か楽になります。
「もしかしたら読み飛ばしたかも……」という懸念は想像以上にノイズとなりますので、設問文へ目を通す段階でシャットアウトできる分はしておこう、という寸法です。

設問文中 true, best は「最も適当なものを選べ」の意

どんな科目でも一度は目にするであろう設問文の常套句ですね。問題内容など訳さずとも掴めます。そのため、もう見た瞬間に次の設問文へと移ってしまっても構わないかと思います。

もちろん、先に挙げたような before, after といった「条件」が提示されている場合には、そこだけ読む必要があります。とはいえ、それ以外は読み飛ばせるので、多少の時短にはなるかと。

こういった問題を本記事では以降、true問題と呼称します。

設問文中 opinion は「意見」以上の意味を持たない

設問文中では opinion とご丁寧に強調されておりますが、設問文内容がそれ以上進展することはありません。opinion を発している対象は本文を読むフェーズで自明と言えるため、実質 opinion を見た瞬間に、本文のチェックする箇所は火を見るより明らかとなるわけですね。

どうせ「客の述べた opinion の一つは[空欄]です」という構造なのですし、opinion をピックアップすること以外は考えなくてよいでしょう。

このような問題を本記事では以降、opinion問題と呼称します。

過去形は opinion になりづらい

本当は「ならない」と言い切りたいところですが、was disappointed のような感情表現が解答根拠にならないとは言い切れないので、一応「なりづらい」とします。
とはいえ、opinion問題において、そこまで直接的な opinion 表現がそのまま解答になると考えづらいのも事実です。

そして、これは後述する内容なのですが、過去形はどちらかと言えば fact( opinion の対義)になりがちというのもあって、なおさら opinion の候補になる可能性は低いと見てしまって構わないと考えております。
Vの形だけ見て完全に読み飛ばす、という暴挙は許されないでしょうが、目星をつけながら読む材料としては十分かと。

では、何が opinion になりやすいかと言うと、それは現在時制の形容詞です。look 形容詞 もこれに含まれます。読めば判別できるのはそうですが、とりあえず全部読むのと目処を立てながら読むのとでは集中の持続が段違いですので、頭の片隅にでも入れておくと何かの一助になるかもしれませんね。

fact問題は過去形の一般動詞に着目

過去は変えられません。第一志望に落第し浪人したという過去も、変えることはできません。すなわち、主観ではない客観の事実です。

解答の根拠になるか否かはさておき、これらが fact であることに変わりはありません。そのため、本文を読む際には、まずチェックしておくべき箇所となりますね。

また、現在時制の一般動詞も fact になり得ます。その際、主語に着目してみると、ある程度 fact かどうかの判断を行えるかもしれません。
まず主語が無生物の場合。これは充分に fact の可能性も残されておりますので、流さずに読んでいきましょう。
一方、人主語の場合。これは主語人物の「習慣」を表す場合が多いため、あくまでプライベートな内容 ≠ fact である可能性が高いです。動詞の現在形というのは元来、そのような用法を有しているわけですから、大きく外れるということはないでしょう。

設問文頭 One は true問題

One 〜[空欄]となる場合、その One が文章中にあるという意味であり、選択肢の中から「本文中にあったもの」=「本文内容と一致するもの」= true を選ぶ問題であると言えます。変に文構造を取るほどのものではない、ということだけ覚えておいたらよいでしょう。

設問文頭 Which 問題は主節の欠落箇所だけを確認

疑問代名詞 which が欠落させた箇所が空欄になっているのと同義ですので、その欠落箇所を見るだけで設問内容は把握できます。
「条件」はさすがに読み飛ばせませんが。

設問文中 recommended は本文中の「後悔」「苦労」に注目

CER世界において、商品広告がひたすらにメリットだけを押し売りするのに対し、本文の登場人物が読者へ何かをオススメするのは基本「自身の後悔・苦労」あってのことです。
その根拠となる「後悔」「苦労」エピソードが本文のどこかで言及されているはずです。そして大方、そこが解答の根拠となります。

全部が全部それで選べるというわけではありませんが、そういう場合もあるということで、アンテナを張っておくのは有効ではないかと思います。

Review問題の商品紹介は基本流し読み

読み飛ばせはしませんが、設問の大体が商品紹介後の Review, Comments から出題されます。ので、メインコンテンツはそちらで、商品スペックはあくまでその前座(前提条件ではあるので読み飛ばしは不可能)と見てしまうのも一つでしょう。

設問文中 aim, goal を見たらすぐ to V へと目を向ける

どうせ設問内容は「◯◯の主目的は[空欄]だ」なのですから。
その補語となる to 不定詞 を考える問題なのは読まずとも分かります。そして、肝心の「何の目的か」に関してですが、そんなものは本文を読んでいたら自明なものです。よって、その数wordsは一切読む必要はございません。

機械的に to 不定詞へと目を向けたあとの話。
to[空欄]であれば、もう次の設問文へと移りましょう。
to V ~~ to [空欄]であれば、そこはきちんと読んでおきましょう。
必ず手がかりとなります。決して横着しないよう。

設問文 [空欄] be ◯◯  = ◯◯ be [空欄]

本文を読んでいる間に設問内容を忘れてしまっては元も子もありません。
設問内容の保持は極めて重大な問題であるわけです。
そして速読のできない私のような人間の多くは「英語を英語のまま理解する」なんて芸当できやしないでしょう。

ならば、と日本語で情報の保持を行うわけですが、その際、拙い日本語だと日本語としても不完全なまま、保持がままならなくなるという最悪の事態に陥ってしまいかねません。ですので、せっかく日本語で意味を捉えるのなら、せめてその日本語くらいは自然……もっと言えば「自分にとって分かりやすい形」にしておくべきです。

私の場合は、日本語の語順的に「えーと、[空欄]なのは◯◯で……」と考えるよりも「◯◯なのは〜?」とそのまま解答を入れられる形にした方が、脳内で反復しやすかったため、関係性を崩さない程度に語順を入れ替えたりしております。

助動詞 have 過去分詞 は opinion

訳からして少なくとも fact になることはなさそうですよね。

設問文中 should = must, will

つまり、本文で見るべき箇所は「命令」です。

整序問題の選択肢は SV だけ先読み

大問3の整序問題は選択肢全てが適当な内容ですので、先読みで内容を把握するのも一つではあります。
しかし、どうせ本文を読んでいたら忘れてしまうので、とりあえず各選択肢の SV だけをキャッチして、すぐに次の設問文へと移ってしまいましょう。どうせ後から戻ってくるのですから、そのときに後ろまで読んであげたらよいわけです。

設問文中 you understand that ~ [空欄] は true問題

「『あなた』= 『読者』は本文を読むことで[空欄]とわかる」というのは言い換えると「本文からわかることとして最も適当なものを選べ」と同義です。つまり、true問題にほかなりません。あとは一緒です。that節の主語をサッと拾い上げて次の設問文へと移りましょう。

解答の根拠となる動詞・形容詞・副詞は言い換えられがち

CERは言い換え表現の宝庫です。質もかなり高い方だと思っています。そこをどれだけ見抜けるか、をCERでは問われていると考えてよいでしょう。
そこで言い換えられるのは大概が動詞・形容詞で、次点に副詞です。
副詞が次席なのは単に解答根拠としての登場頻度の差でしかありません。したがって、これら3つは「正解の選択肢」においてはほぼ確実に「言い換えられた形」で与えられている、と考えてください。

何なら選択肢を選ぶ際、「この言い回しは本文に同じようなのがあったな」と感じたものを真っ先に切ってしまいたいくらいです。本当にそれが解答になる危険性を考慮して、そのような博打は打てませんが、迷った選択肢の中に「本文表現ママ」のものがあれば、どこかで一度は「作問者にまんまと乗せられているんじゃないか」と疑うようにはしましょう。
そして、その懸念は大体的中します。

言い換え表現探しクイズだと割り切ってしまっても構いません。とにかく、何か上手いこと言い換えられたのが解答になるはずだ、と思いながら選択肢を評価するのです。

名詞は言い換えられないことも多い

上記に打って変わって、名詞はそもそも迂闊に言い換えられない場合というのもありますので、そのまま解答の選択肢に登場することもあります。動詞・形容詞・副詞の場合は再確認した方がよいですが、名詞の場合は「そんなこともあるか」と潔くスルーしてしまった方が時短になることも。

文章整理問題の時短tips

ここからは文章整理問題の2問を少しだけ時短する、ちょっとした小技というかtipsを羅列します。
あくまで便宜上の分類に過ぎず、実質的に長文読解問題と大差ないので、情報取得問題に比べ、即効性のあるtipsとはなりづらいかと思いますが、そこはどうかご容赦ください。

第4問のリード文・設問文・コメントは全無視

いきなり挑戦的なtipsですが、これは断言できます。

第4問は、you の提出したレポートに対し、your teacher からフィードバックをもらい、それをもとにレポートを修正していく……という問題ですね。そのフィードバックというのは、何も「テーマに新規性がないから全没、書き直せ」なんて荒唐無稽なものではありません。既にある程度完成されたレポートにエラーがあるから、そこを一部修正しようというだけの指摘なのです。

加えて、その指摘なんて「挿入」と「訂正」の2種類しか存在しません。前者の場合はレポート本文に Λ といかにもなマークが設問番号とともに添えられており、後者の場合は訂正箇所に下線が引かれているはずです。

そして、肝心の設問文はというと「コメント1に基づけば、どの表現・文章が最も適切ですか」「コメント4に基づけば、どの言い換えが最も適切ですか」など……そんなこと、言われなくてもわかっていることでしょう。
何度も言いますが、CERは「当事者意識」の共有(強要)にほかなりません。その据え膳が設問文であったりリード文であったりするわけです。よって、事前に(当事者の)シチュエーションを把握しておけば、こんなコメントに目を通す必要などないのです。

もちろん、いざ本番で問題形式が変わっていたら、事前に知っているシチュエーションとは異なる(可能性がある)のですから、それは全無視というわけにはいきません。問屋の卸しも一筋縄にはいかないでしょう。
ですが、同じ形式であれば、設問文やコメントを読むという「当事者意識のインプット」という工程をカットできるわけです。ページをめくった瞬間からノータイムで本文へと移れるのです。

「何を問われているか」も本文に書き込まれた記号で視覚的に掴めるはずです。それも直感的なデザインで。

以上が、第4問は本文レポート以外読まなくてもいい、という一見暴論じみたtipsを主張する理由です。以降、こうした第4問のことを本記事ではFeedback問題と呼称します。

Feedback問題の構成は「序論」「理由①」「理由②」「理由③」「総ざらい」

本番のレポートが何段落かは知りかねますが、それでも「理由」パートに毛が生えた程度のものでしょう。
ここで注目すべきは「総ざらい」パートです。ここでは新たな情報が提示されません。それまでの各「理由」パートを数wordsでまとめた(言い換えた)ものを一文目に並べているだけです。設問で問われていない限りは、レポート筆者の最終的な主張など知る必要はございません。

よって、実質的に「総ざらい」パートは、それまでの段落を読んだ時点で解けるものとなっているはずです。つまり、残り数行は読まなくてもいいのです。設問さえ解けたらそれで充分なんですからね。

Feedback問題の第1段落は流し読み

トピック・主張の提示を担っている第1段落ですが、どうせ大したこと言っていません。どうせ第2段落以降の「理由」パートをきちんと読むのですから、大枠を掴むのはそこからでも遅くはありません。内容合致問題もありませんし。

何より、そもそも本文がレポートであることを考えたら、そんな導入のトピック……もっと言えば本文全体を貫く大テーマなんてのは、タイトルとして記載されているはずです。CER世界ではそういったお作法が結構忠実に重んじられますからね。

したがって、第1段落はタイトル以上のことは言っていない。言っていたとしても、それはFeedback問題の問題回答に影響するものではない。
このように理解しておくとよいでしょう。
さすがに全スキップという暴挙に出るのは不安なところがありますので、私はタイトルと一致しているかの確認程度に流し読みするつもりですが、思い切って第2段落から読み進めるなんて暴挙も、こと Feedback問題においては許され得るものだと私は思います。

第6問のリード文1文目は必ずチェック

ページ数的な意味でかなりボリューミーな第6問。全部読んではいられませんので、まず優先すべきは「立場」を瞬時に把握することです。
そして、その「立場」を分ける大元となるトピック「議題」というのが、第6問においてはリード文1文目となっております。なので、読み飛ばしてはいけません。

それ以降の本文は、そのテーマありきで各々の「立場」を表明していきますから、ここは瞬時にかつ確実に掴んでおかねばならないところです。
リード文1文目の文章内容が「議題の提示」であると予め知っていれば、サッと「議題」部分だけを拾って来れると思うので、ぜひ。

また、本記事では第6問のことを以降、Debate問題と呼称します。

Debate問題における Step は読まなくてよい

リード文の下に数行にわたって Step1, Step2, Step3……と書かれてありますね。あれは以降の設問における「シチュエーション」はこうですよ、と大問内の設問構成を目次化した概要に過ぎません。
そのため、どうせ設問文を読むことになる回答者にとっては二度手間なわけです。つまい読む必要はありません。リード文1文目を読んだら、すぐに設問文へと移りましょう。

Debate問題 Step1,2 と 3 は完全に別個の問題

Step1, 2 は、数人の声明文をもとに解く問題。
Step3 は、それらを踏まえて作られた you のレポートもとに解く問題。

回答根拠の源泉となる「本文」の対象がまるで異なるのです。いっそのこと、旧課程よろしく第6問A,,B と考えてしまってもよいかもしれません。

Debate問題において不要な人物は存在しない

およそ5人ですか。全員の立場・主張は必ず設問に関わってきますし、解答の根拠にもなります。CERは回答者に「読ませたい」のです。故に、不要な人物は存在せず、丸々読み飛ばすということはできないわけです。

それだけだと何のtipsにもなっていないので、少し発想を変えてみましょう。言い換えれば、全員に役割が与えられている、ということです。
Step1,2 含めての設問構成としては、以下のようになっております。

  1. ある2人の主張の共通点は何か(残り3人)

  2. 上記2人以外の誰か1人の主張として適当なものを選べ(残り2人)

  3. you と同じ立場の2人を選べ(残り0人)

  4. 前問2人に共通する主張は何か(変わらず残り0人)

そう。
仮に各設問で選ばれる(回答者が選ぶことになる)人物がすべて異なる人物であれば、各設問で全員に役割が割り振られるのです。
さらに言うと、どこかに被りが生じれば、その時点で不要な人物が1人生まれてしまいます。そんなこと、果たして作問者が善しとするか、という話ですよ(こちらからすれば願ったり叶ったりですが)。

身も蓋もない話ですが、こんなの作問者の匙加減でどうにでもなる事象ですので、絶対にこうだと言い切るつもりは毛頭ございません。
ですが、CERは意外にも素直な出題が多く、あまり姑息な手は使わないような印象が個人的にございますので、ある程度期待してしまってもよいのではないでしょうか。
試験中「どうせコイツも何か回答に関わることを言うんだろ」という色眼鏡があるとないとでは見晴らしが変わってきますので、頭の片隅にでも立てかけておくと、もしかしたら役にたつやもしれません。

Debate問題前半の主張群は「立場」と「根拠1つ」を読めたら移行

Debate問題もとい第6問をあえて「文章整理問題」として「長文読解問題」と区別した一番の理由がこちらです。
word数は他の長文読解問題に負けず劣らずといったところでしょうが、読まなければいけないword数としてみると、やはり圧倒的に第6問が少なくなっております。

CER世界でお気持ちを表明しようものなら、発言者の身分や国籍に関わらず、みな一様に「抽象的な結論→結論を補足する根拠→根拠の言い換え(おおよそ具体例)→結論の反復〜筆者の展望を添えて〜」という情緒の欠片もない形式に落とし込まれます。俗にPREP法と言われるものですね。わかりやすくていいとおもいます。

これはもちろん、Debate問題における主張群の各主張にも通ずる原理です。
発言者が多いために全体としての文章量が増えているだけで、一人ひとりの文章は大して長くありません。せいぜい4,5文程度で 100words に満たないくらい……むしろ、かなり短い部類かと思われます。

そんな短い枠内であっても、CER世界のPREP原理は容赦なく作用します。
するとどうなるか。ご想像の通り、ものすごく窮屈で、ものすごくトントン拍子な文章構成になるんですよね。文章中の半分以上が「主張」と「根拠」で埋まると言ってもいいでしょう。

そんな中で、重箱の隅をつつくような内容合致が問えるとは思えません。それよりも肝心の「主張」と「根拠」は読み取れているか、を問うた方が設問として価値が生まれます。言い遅れましたが、「主張」とは「立場の主張」のことで「立場」です。つまり、回答者も「立場」と「根拠」以外の情報は視野に入れずともよい、と考えられます。
また、この「根拠」は主張の直後(次文)に書かれてあるような直接的なもので構いません。First, Second…や In adition…と並列な場合は、それらも「直接的な根拠」として同等の価値を発揮するので、読み飛ばさないようにしましょう。

Debate問題前半の設問文先読みは Step1 の言及先と Step2 の you の立場チェックのみ

先述したように、Step1 では設問文により抽出された特定の人物の「立場」を読み取らせる問題が出題されます。
であれば、その言及されている人物名(?)さえ把握できれば、あと残りの設問文に用はないのです。

Step2 では逆に「立場」だけが設問文より与えられ、それをもとに合致する人物を回答者が選ぶ、という問題が出題されます。
「立場」さえ掴めたら充分ですね。何度も言いますが、長々とした設問文の99%は「当事者意識」の共有(強要)に過ぎません。それを試行調査や模試という形で事前に備えている人間にとっては単なる二度手間です。思い切って、読まない決断をしましょう。十中八九いりませんから。

設問文中 two は「共通」の意

Debate問題で two authors とありますが、すなわち both であり「共通項」を問うているに過ぎません。少しでもパターン化してしまいましょう。

Debate問題前半部ラストの設問選択肢のSVはある程度無視してよい

確認ですが、まず指している設問は「 you と同じ立場の2人の主張の共通点は何か」というものです。
つまり、選択肢の文章そのものが「主張」として完成されていなければなりません。この設問に辿り着くまでに散々読まされてきた議題の主張です。両者の立場は既に「 you と同じ」という意味で把握できているわけですが、改めて主張するとなると再び「立場」の表明が必要となります。

したがって、どの選択肢にも「立場表明」の数words が含まれていると言え、またそれは既知の事項ですので一切読む必要はないということです。
そして、その「立場表明」は選択肢文の核となる SV にくると予想できます。一応、確認はしておいた方がよいですが、文構造や主語の切れ目などを追うほどの価値はないということだけは覚えておいて損しないかと。

Debate問題 Step3 は Step1,2 と別問題として考える

前半で様々な人物の主張を読んできました。
これらが Step3 で登場することは一切ございません。Step1,2 から引き継ぐのは you の立場のみです。
なので、それ以外は一旦忘れてしまいましょう。

本記事では以降、Debate問題の Step3 のことを Debate問題後半と呼称します。

Debate問題後半のサマリーと設問文は一切読む必要なし

Debate問題後半の構成は、

  1. you の作成した you の主張のサマリー

  2. you の主張本文(Source A)

  3. you の主張を補足するデータ(Source B)

となっておりますが、CERにありがちな「サマリーに空欄がある」問題ですので、サマリーが何の役目も果たしていない状態です。
強いて言うなら、SourceA,B のどちらに基づいた問題かくらいは読み取れますが、そんなもの A,B の順に決まっているのですから、本当に目を通す必要すらありません。

同時に、設問内容も「サマリーの空欄を埋めよ」なのですから、目を通す必要はございません。you の立場も分かっている状態なのですから、後半へ突入し次第すぐに Source A の本文を読みにいきましょう。

Debate問題後半の Source A 問題は Source A 本文の要約

見出しの通りですので、主張・根拠を大まかに把握しておくだけで設問が解けるようになっております。そこに関わる箇所以外は流し読みで構いません。

Debate問題後半の Source B 問題はデータの評価のみ

グラフやデータが大きく表示されており、その上に数行の(グラフについての)説明が記載されております。
そして、設問選択肢はどれも「グラフ」データの正誤を問うものですので、グラフの説明はそこまで目を通す必要がありません。

グラフの補足したい主張は既に Source A で読み取っています。なら、そのグラフが何を指し示したいものかは自明でしょう。

もっと言えば、グラフの数値を見るだけでも設問選択肢の評価は可能です。グラフタイトルや縦軸横軸が何を示しているかも実は不要だったりします。

Source B 問題のグラフの数値は近似値の有理数で挟んで評価

たとえば、45% 72% 27% という数値があれば、
それぞれ 45% < 1/2 、72%< 3/4 、1/4 < 27% < 1/3 というように。
どうせ half や a third 、a quarter of というように選択肢で言い換えられるのですから、グラフに目を通した段階で先回りしておきましょう。

そもそも、センター試験から共通テストへ変わるにあたって単語・文法問題が消失したというのも、決して単語・文法の知識を要求しなくなったわけではなく、その単語・文法が分かっていないと、読めない・解けないように文章問題を作成するようになっただけです。
これが何を意味するかというと、どうせ多少ひねった語句が登場します。

little, few や unless のような知らないと意味を真逆に捉えてしまうような語句を知っているかどうかなど、向こうからしたら問いたくて仕方のない事項なのです。a quarter of なんかも(レベルは置いておいて)その例に漏れない語句と言えるでしょう。

挟み込む近似値の分母は 2,3,4 のいずれかで充分でしょう。変に複雑な分数表現ですと、結局、アラビア数字で表記しているのと大差ありませんからね。そんなことで枠をあっけなく潰してしまうほど馬鹿だとは思えません。

Source B 問題の選択肢が2文の場合、2文目は読まなくてよい

Debate問題の最後の設問は選択肢がどれも2文となっている場合がありますが、その2文目というのは全く読む必要などないのです。

2文目は1文目の分析から導かれる推論ですが、先ほども申し上げました通り、この問題は「データの正誤」を問う問題なのです。つまり、正誤判定は1文目の「データ分析」の方へ向けられるべきで、また1文目の正誤判定だけで選択肢の正誤はすべて判定完了できますので、わざわざ2文目の正誤まで考える必要など一切ございません。

長文読解問題の思索

これまでの情報取得問題、文章整理問題にはある程度の「知っておけば多少の時短になるかも?」といったtipsが存在しましたが、残念ながら長文読解問題にそのようなものはございません。
読み取ることよりも、読むこと自体を求められていますからね。現実として受け入れるしかありません。

サマリー穴埋め問題はサマリーがそのまま設問文

となっておりますので、設問文をいちいち読みに行かずとも構いません。
どうせ「最も適切なものを選べ」なのですから。

サマリーのタイトルは本文タイトルそのまま

ですので、どちらか片方だけ読めばよいですね。
どうせ本文を読む際、目に入るのなら設問サマリーの方では読まずともよいかもしれません。

第7問に時短はない

あれに関しては本当読むしかないですよね。論説のようにPREPを遵守しているというわけでもありませんし。
本記事では以降、第7問を essay問題と呼称します。

essay問題の整序は選択肢のSVとキーワードだけ先読み

明らかなキーワードだけを掴むというのは効果的ではあるのですが、そのキーワードが散在していたら元も子もありません。
かといって、選択肢の5文すべてを読んでいると結構なロスになってしまいます。その上、5文の内容を並列に覚えておきながら長文を読むなんて芸当できる気がしません。

ですから、選択肢が完全分の場合には「誰が」「何をした」にあたる SV だけを拾っておきましょう。
そうでない(たとえば動名詞化されていたりSが省略されている)場合は V だけで構いません。Sは自明あるいは共通というサインでしょうから。

そして、V にあたる1,2語だけ読んで楽しよう、というわけでもありません。
一番の目的は、選択肢で拾った V の言い換え表現にあたる V' を本文から探す、というゲームへ土俵を移せることです。

CERは言い換えの宝庫です。作問のクオリティも断じて低くありませんので、何かしらの捻った言い換えで揺さぶってきます。
そして、先述したように、動詞・形容詞・副詞は言い換えられがちです。正誤問題であれば、個人的に形容詞・副詞がその対象となっているケースが多いように感じます(ほんの一部分での裏切りをしやすいため)が、こと整序問題に関しては、もうすべての V が言い換えられた形で選択肢に記載されている、と思って臨むべきでしょう。

つまり、その言い換え候補 V' を、選択肢の V を見た時点で脳にいくつか挙げておく必要があります。何個も挙げる必要はありません。せいぜい1,2個程度でも構わないと思います。ここで重要なのは、暗中模索の整序問題に対し、そうした V' 候補が「本文にあるかどうか」という思考を以てして、システマチックなアプローチを試みることができる、という点です。

後述しますが、整序問題なんて最後でいいんです。4マークで3点なんてコスパが悪すぎます。そのくせ解答根拠の範囲は全範囲ときました。やっていられませんね。
そのため、他の問題を優先的に解くわけですが、どうせ読むのなら得点したいところではあります。なら、先ほどの V' 候補をマークしておく、というのはいかがでしょうか。その V' しか読まないなんてことはないのですから、多少なりとも文脈というものは引っついてきます。V の意味それ自体を変えてしまうと、文として意味が変わってしまうので、V' はおおよそ V と似た意味になるというのも想像に易いことです。他の設問を解き終えた後に、その候補をザッと確認して、整序問題の文(語句)と照らし合わしましょう。

余裕があればですが、V1', V2', V3', V4', V5' というように選択肢の番号とリンクさせておくと、そのチェックも効率化できるかもしれません。
時短とはおよそ言い難いものですが、アプローチを明確にできるという点では、この長文読解問題における数少ないtipsなのではないかと考える次第でございます。

essay問題におけるモブのプロフィール合致問題は初登場時の段落を先読み

これは時短になるかどうか何とも言えない持論です。
essay問題における「その他の人物」という名目で一括りにされる、いわゆる「モブ」のプロフィールとして合致するものを選ぶ……という問題があったりなかったりします。

その手の問題が出題された場合、本文を頭から読むのではなく、一旦「モブの初登場シーン」へ移ります。これは100%主観なのですが、サマリーで1行にまとめられるほど「主人公」の解像度が低い「モブ」が、CERの限られた字数のessayにおいて、そう何段落も跨いで出張り続けるとは考えにくいわけです。もちろん根拠はありませんよ。

加えて、大体の essay問題が「主人公」の回想です。そのためかは知りませんが、その「モブ」というのは「主人公にとってのターニングポイント」であり、essay内では「ターニングポイントとなったモブにまつわるエピソード」しか描写されないことがほとんどです。

つまり、初登場シーンで見せ場は終わる……言い方と変えると、初登場段落で解答の根拠は出揃うと考えてしまってもよいのでは、というのが私の持論でございます。
「橋の下の少年」と同じです。決して「名なしの妖精」ではないのです。

essay問題本文中、主人公の「学び」や「気づき」は知覚動詞や「思う」系の過去形に着目

言わんとせんことはわかりますよね。だって知覚動詞や「思う」以外で「学び」「気づき」を表現する方が遥かに難しいですから。
その際、主語が I になっているかどうかは必ずチェックしておきましょう。なっていたら、大抵どこかの設問で使用することになります。

essay問題本文中の連続会話は「話し合った」の意

発言の一言一句を重んじて言い換える、なんてことはないわけですよ。設問選択肢のword数なんて限られているわけですから。
その上で読み取っているかを確認したいのなら、ある程度大きな塊を1,2wordsでまとめて言い換えておく、という手法が考えられますよね。その際たる例が、この連続会話です。

要はトピックさえ掴んでおけばよいのです。それだけで「〜〜について話し合った」の選択肢は評価できます。
内容も全くとらないわけにもいきませんが、おおよそ問われる内容としては「その会話で主人公が何を得たか」です。「教訓」「衝撃」「ブレイクスルー」など様々ですが、多くの場合、それらは「ラリーの最後」に位置します。

essay問題本文中の連続会話は「最後のセリフ」のみ注視

先述したように、essay問題本文は「主人公の回想」なのです。それはつまり、主人公に絶対の編集権限が備わっているにほかなりません。本文中何の意味もない会話を長々と続ける必要はないのです。
ですので、必要な情報を出せ次第、主人公は会話の回想を打ち切ります。もっと言うと、その情報を出した瞬間、会話は打ち切られ、主人公のモノローグが始まります。

これが意味するところは、すなわち会話のラリーの最後には、その必要な情報が転がっている、ということです。

主人公「〜〜〜」
モブA「〜〜〜」
主人公「〜〜〜」
モブA「〜〜〜」 
主人公「◯◯なの?」
モブA「■■だろ」
私はその発言に衝撃を受けた。私はこれまで、ずっと◯◯だと思ってきた。だが、それは勘違いで、本当は■■なのだと気づかされた。

これ以降にモブAが直接出張ってくることはありませんし、モブAの見せ場は見てわかるように「■■だろ」の部分です。これで会話のラリーは終了なのです。そのまま主人公には忘れられ、無慈悲にも次の段落へと切り替わります。その過去を次段落以降まで引きずるほど主人公も字数も甘くありません。

なので「なんか◯◯について喋ってるな〜」と思いながらザーッと読んでいき、最後のセリフだけ「結局、この会話の役割は何だったんだ」と注視するくらいが適度な力の抜き具合なのかなと思います。

無生物S 使役V me, us は「教訓」「効果」「成果」の意なことが多い

考えてみれば、そういう訳語なのだからそうなる、という極めて自明なことです。そういった文が出てきたときに、誤って読み飛ばしてしまわぬようにしておきましょう。

論説長文における段落1,2文目は必ず注視

日本語で読むと分かりやすいですが、想像以上に段落中で言っていることは変化しません。変化するのは逆説が登場したときだけです。そうしたディスコースマーカーが来たら、同じ段落内であっても段落が切り替わったと見てしまうのもありかもしれません。
その段落のラスト1文までは、1,2文目の補足に過ぎません。そのため、流し読みしていきましょう。具体的にどう流すかと言いますと、「本当に同じことを言っているか?」の確認をするだけにとどめる、というアプローチとなります。

「どうしても精読してしまう」「どうしても文構造を意識してしまう」など様々あるでしょうが、ここは思い切って「確認」に専念しましょう。
そして、段落ラスト1文のまとめ・クロージングで「確認した内容がきちんと反映されているか」を再確認しておきましょう。そこで大きな飛躍がなければ、その確認は正しかったのだと安心して次段落へと進むことができます。そして、CERに出題されるようなまともな長文であればあるほど、そうしたどんでん返しは発生しづらい印象があります。

長文読解の大敵は、流し読みからくる不安と、それに伴う読み返しの頻発です。時間は圧迫される一方です。
ですので、思い切りましょう。解答根拠は8割方「段落1,2文目」と「段落ラスト」に偏在しているのですから。

総括

語り口調ではありましたが、おおよそ個人的な備忘録となっておりますゆえ、とりとめのない構成となってしまいました。

これらがすべて役に立つか否かはさておき、本記事で何より伝えたかった事実は「読まなくてもいいところって意外とたくさんあるんだよ」ということです。
そのことを「流し読み」「スキャミング」「スキャミング」といった感覚・抽象論ではなく、問題構成や出題形式といった確たる側面から実感していただけたなら、私も本記事を投稿した甲斐があるというものです。備忘録のついでなので、別段なくてもいい甲斐なんですけどね。

最後にもう一度断っておきますが、本記事で挙げたtipsは結局のところ遠回りであり逃げです。よく言われる「音読」「シャドーイング」といったアプローチが最適だという事実なのには変わりありません。
ですが、私のような人間にとっては「それができたら苦労しねぇ」案件なわけです。そして、受験という点取りゲームにおいて、自身の適性を弁えぬまま時間をロスしてしまう、というのはあまりにもったいない話です。悪手ではありませんが、もっと上手いやり方はあるでしょう。

そこでどん詰まりになって「捨てる」という選択をとってしまうくらいなら、本記事で挙げたような対症療法的なtipsを一度でも試してみてください。それ自体は役に立たずとも、自分なりの新たなコツが見出せるかもしれません。

まぁ、入試本番で出題形式が変わっていたら全部台無しなわけですが。

共通テストまで残り90何日か。
そんな杞憂は捨ててしまって、
今目の前にある問題をできるように、今できる最善を尽くしましょう。

いいなと思ったら応援しよう!