妙齢の妄想と西武対ベイスターズ
横浜から西武球場に行く道すがら。
今回はじめて府中本町~国分寺~多摩湖を経る西回りルートで西武球場に行ったけれど、これがすこぶるよかった。
また西武球場に行くことがあって、都区内に寄り道する用事が無ければ、このルートを選ぼうかと思う。
・府中本町駅(南武線~武蔵野線への乗り換え駅)
この駅での武蔵野線への乗り換えは2階のコンコースを経ないとならないが、この東京競馬場に行くための臨時出口には味があった。横浜だと京急日ノ出町駅のストリップ劇場の少し先にも場外馬券売り場があるけれど、東京競馬場はあれの親玉というか、本家本元のひとつなんだよなと、思うと興味深い。
あとは「そもそも論」で私は武蔵野線へのJR乗り換えが好きかもしれない。
JR武蔵野線と言えば、元々は貨物線と作られた路線で、駅の作りとしても、本来は一般乗客の乗り換えを考慮されていない所に線路が走っている。
しかしだからこそ、元々ある駅や路線の構造に対して、少し力技感のある乗り換えがあって面白い。
お屋敷の増築部分のようで、上野駅や横浜駅とはまた別ベクトルでの「ダンジョン感」も伴ってる。
・国分寺駅(中央線~西武多摩湖線への乗換駅)
わー!初めて多摩湖線乗るかも!
行先をみても、馴染みが無さすぎて面白い。関西の私鉄に乗るときくらい、地名と位置が一致しなくて興奮する。足のつかない水風呂くらい興奮する。
西武線の「小川」って、東武東上線の北の方にある「小川町」とは別物だよね。ってくらいこの辺りに土地勘が無い、たのしい。
「映え度、エース級!」と高橋光成の広告があると、ついに西武ライオンズのお膝元までやって来たんだな!と、テンションも上がる。
あとこの辺りから、同じく西武球場に向かおうとするベイスターズファンの姿も見かけるようになった。
「玉川上水」は太宰治が入水したということしか知らない。でも「それだけしか知らない」ということは、東京にはまだまだ私の知らないことだらけだな。と、いつかこの辺りの白地図へ色を塗る日にも期待もしたい。
西武多摩湖線内の乗客を眺めていると、横浜周辺とは異なるローカル感があるのも興味深かった。
一言で言うと「とにかくサンダル履きの人が少ない」
キチンと感のある革素材の靴を履いている人、それからスニーカー履きでも真っ白で汚れの少ないスニーカーを履いた人が多かった。
もちろん靴以外の部分でもそう。きちんとした足元と釣り合う、着こなし・身のこなしの人ばかり。
神奈川は多摩より南にあるし、海もあるから、夏の着崩しだってフライング気味かもしれない。私も靴下に束縛される季節は嫌いだし。
でも全体的に、私よりずっとマトモな生活を送っていそうな人が多くて、不似合いな群れに迷い込んだ私と冷静に向き合うと、なんだかおかしかった。
・多摩湖駅(西武多摩湖線~西武山口線への乗換駅)
多摩湖駅、ここまで来ると、なんだか不思議な気分になる。
どこか時代感のない駅というか、「改札をくぐると、そこは1994年だった」とか、そういうこともありえそう。
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改札をくぐると、気の早い蝉の鳴き声、何故かセーラー服姿になっていた私。
駅前駐輪場の奥から自転車を出して、坂を駆け下り、麓の町へ。半袖の腕と袖の間に風が通り抜け、8×4の石鹸みたいな匂いが胸の間から立ち上がる。青春ってこういう匂いだったっけ。
町へ降りると商店街ではドリカムの新曲が流れていて、でも私、重たいバラード好きじゃないの。クラスの女子は好きそうだけど、二度目の17歳だもの。私はまだ軽やかでいたいから……。
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なんて「西武多摩湖駅の改札をくぐると、ランダムで西武ライオンズが優勝した年に飛ばされてしまう、時をかける少女ならぬ、時をかける妙齢」という妄想もしてしまう。
・西武山口線の車窓(多摩湖駅~西武球場前駅)
気持ちがまだ西武球場に向かう途中の西武山口線を引きずってる。
鉄道だけどゴムタイヤ?で動く電車。ぎゅうぎゅう詰めだと時々でタイヤの弾力を感じて遊園地のアトラクションみたいだった。
知らない所にはいくらでも行きたい。知らない先に逃避もしたい。できれば勝ち上がりたいけど。
車窓も西武園からゴルフ場と、生活感や時代感の薄い風景が続き、どうせならと、戦前歌謡を模した80年代の楽曲、ゲルニカ「銀輪は唄う」を聴き、時代軸を歪ませながら乗車した。
その後、フォロワさんたちと合流。
はじめましてのグループ席。
西武ファンとベイファンが3人ずつの計6人だったけれど、西武球場に通い慣れたフォロワさんが、ピザにケサディーヤに……と買い出しに走っていただき、とても助かりました!
名物の石窯ピザも美味しかったけれど、蜂蜜のかかったケサディーヤまた食べたい!ローストビーフも美味しかった!
それからウズラの卵のニンニク醤油漬けは家でも作りたいな!沖縄料理店で泡盛ソーダ割のビッグサイズがあったのも助かった!(実はビールがそこまで得意じゃない)
今日の先発はベイスターズが東で、ライオンズは今年ここまで勝ち星の無い高橋光成。
ベイスターズの東は立ち上がり悪く、序盤はフルカウントに持ち込まれがちで球数の嵩む展開ながら、尻上がりに調子を上げ、9回の投球も志願。終わってみれば116球の完投完封勝利だった。
でも今日は東が~というより、捕手の山本祐大(2回表に先制の本塁打も放った)と、バッテリーでの勝利だったように思う。球の見極めでも打撃内容でも、祐大がよく東を支えていたと思う。蛯名やオースティンの走塁時の動きにあやしい所があったので、怪我は不安だけれど、なんとかうまくやってほしい。
高橋光成は5.2回8安打3失点、完全に試合を壊していることはないけれど、去年の活躍を思うと本人が一番歯痒いだろうな。
ライオンズも怪我人続出らしく、守備の連係もあまりよくないというか、オースティンが天井まで打ち上げたフライも拾い切れてなかったし、守備は経験値重ねてナンボなところがあるとはいえ、チーム状況に対して、気の毒にもなってしまう。
再建期として上手くやっていければいいけれど、松井稼頭央監督も休養に入ってしまい、今後どうなっていくんだろうか……
試合の後は二次会の会場に移り、飲んだくれて、帰宅。
パリーグは去年までベイスターズにいたソトも頑張ってるし、なんとなくロッテ贔屓かなと思っていたけど、ライオンズの報われなさを見ていると、私は判官びいきな所があるので、ライオンズもなんだか応援したくなってきた。
そしてそれぞれの思う野球の眩しさを語ったり、野球以外のたのしいことを語ったりして、解散。
来年の交流戦はヨコハマにも来ればいい。だいたい週5であの街にいるから。
たっぷり酒を飲んでしまったけれど、いい乗り鉄を行い、ステキな面々と野球観戦ができ、楽しく、いい一日でした。
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