
【第150回】ディズニー映画「Mr. インクレディブル」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。
Kari: Oh, there’s really no need, Mrs. Parr. I can totally handle anything this baby can dish out. Can’t I, little baby? I can handle it. Who can handle it? 「その必要はないわ。赤ちゃんは私に任せて」
I can totally handle anything this baby can dish out.
dish out は置き換えると give ですがその違いが気になります。ChatGPT によると dish out は、
To give something, but usually in a casual, excessive, or forceful way, often used when giving criticism, trouble, or even physical actions like punches.
とありました。
「何かを与えることだが、通常はカジュアルで過剰または強引な方法で、批判や困難など与える時に使われることが多い」
とのことで、単に giveとは違って”批判などの強いインパクト“を与える時に使われるようです。
この Kari のセリフ “I can totally handle anything this baby can dish out.” 「この赤ちゃんが与えるどんなことでも私は完全に対応できる」は、赤ん坊の予想できないインパクトの強い行動を 単に give だはなくてdish out で表しているのだと思います。
このようなニュアンスの違いも文脈を把握することで頭の中に定着するようになっていくので、沢山の英語に触れることが大切だと思います。
Helen (Mrs. Incredible): STOP IT! We are NOT gonna die! Now BOTH of you will GET A GRIP. Or SO help me I will GROUND you for a month! UNDERSTAND!? 「やめて。死なないわ。ガタガタ騒ぐと1ヶ月の外出禁止よいいわね?」
BOTH of you will GET A GRIP.
Both of you は子供たち(ヴァイオレットとダッシュ)のことでヘレンが2人に “Get a grip” と言っているのです。
grip は“握るところ”で、Get a grip の直訳は「きちんと握っておきなさい」です。そこから「しっかりしなさい!」と相手を励ますフレーズです。
以前洋画のセリフでPull yourself together.「しっかりしなさい」を取り上げた記憶があるのですが、get a grip と共に覚えておくと忘れにくくなると思います。
Bob (Mr. Incredible): RELEASE ME. NOW!! 「私を自由にしろ。早く!」
Syndrome: Or what? 「断ったら?」
Bob (Mr. Incredible): I’ll crush her. 「彼女の命はない」
Syndrome: Ooh...That sounds a little dark for you....Nah, go ahead. 「お前もワルだな。どうぞ」
ヘレンの乗ったジェット機が撃墜されたとシンドロームから言われた時のシーンです。
① Or what? 「断ったら?」
字幕の「断ったら?」は、ボブの「私を早く自由にしろ」に対して言っています。すなわち、「もしアンタを自由にしなかったらどうするんだ?」ですね。
“Or” はここでは「さもなければ」の意味です。英語で言い換えると If I don’t release you, what will you do? ですが、2語の Or what? の短い英語の方がインパクトがあっていいですね。
A: “Don’t tell anyone about this!”「このこと誰にも言わないでね」
B: “Or what?”「もし言ったら?」
② That sounds a little dark for you....
「それは君にしてはちょっと暗く聞こえるね」が直訳です。
That はボブが言った I’ll crush her. 「彼女の命はない」を指します。dark なのでよくない意味だと推測できます。
dark はいろんな意味が考えられますが、ここでは「物騒な」はどうでしょう。
ボブはとても心優しいので I’ll crush her. なんて言うと、”君らしくない物騒な言い方“だ、とシンドロームは皮肉を込めて言ったのだと思います。「君にしては物騒な言い方だね」ぐらいでしょうか。
でも 「暗い」のdark から「物騒な」は案外イメージしやすいのではないでしょうか。
Syndrome: I knew you couldn’t do it....even when you have nothing to lose! You’re weak! ...and I’ve outgrown you. 「すごんでも無駄だ。お前にはそんなことはできない。腰抜けめ。俺の勝ちだな」
I’ve outgrown you.
outgrow = out (…の外に) + grow (成長する) = 「成長して外に出てい」= 「…を脱却する」です。
outgrow の次に人がきたら「(人)を超えた」や「(成長して)(人) を必要としなくなった」という意味になります。
ですから、I’ve outgrown you. は「私はあんたを超えたんだ」となります。かつては Mr. インクレディブルに憧れていたシンドロームが彼に放った一言です。
out と grow の組み合わせでイメージしやすい語だと思いますが、後ろは“人”以外もきます。
I’ve outgrown this toy.” 「このおもちゃはもう卒業した」
He’s outgrown playing video games all day.”
「成長して一日中ゲームをすることをしなくなった」
A: Why not wear this shirt? 「何故このシャツ着ないの?」
B: Because I’ve outgrown it. 「サイズが合わなくなったから」 ( ⇦ 成長してそのシャツより大きくなった)
他にも out… で始まる動詞は次のようなものがあります。
He outlived all his friends. 「彼は友人たちよりも長生きした」 ( “超えて・生きる” = 「…より長生きする」 )
She outsmarts everyone in math. 「彼女は数学では誰よりも賢い」
⇨ smart は「賢い」なので out (…を超えて)と合わさって「…よりも賢い」
The enemy outnumbered us. 「敵は私たちよりも数が多かった」
⇨ “number ( 数 ) が out (超えた)”で「…より数が多い」
全部、意味がイメージしやすいので比較的簡単に使えるのではないでしょうか。