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なぜ管理職は部下を出社させたがるのか?管理職が出社を好む5つの理由|世界の最新テレワークニュース

テレワークに関する世界中の最新ニュースについて、その要点&考察をお届けする「世界の最新テレワークニュース」。今回は、BBCのリリースである「What bosses really think about remote work」という記事を基に、「なぜ管理職は部下を出社させたいのか?管理職が出社を好む5つの理由」というテーマで要点と今すぐ使える対策について解説します。

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この5つの理由を知っておくことは、「部下としていかに上司に対応するのか」また「上司としていかに自分の考えを作っていくのか」という両面でとても参考になると思うので、ぜひお伝えしたいと思います。

(以下は元記事のURLです。ぜひご参照下さい!)

▼今回の内容は以下の動画でもご覧頂けますので、ぜひご覧ください!

米国の72%の管理職は部下全員を出社させたい

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ではさっそく今回の記事の内容を紹介して行きたいと思います。 記事ではまず最初にいきなり刺激的な内容からスタートしています。「管理職は部下を出社させたい」と。

アメリカの約800人の管理職にアンケートを採ったところ、72%の管理職は部下全員を出社させたいという風に思っていることが分かったと紹介されています。 BBCが運営しているリサーチ団体の調査の中でこのような実態が明らかになったと。

記事は続けて、なぜ管理職はこんなに部下を出仕させたいと思ってるのかその5つ理由を紹介しています。

理由1:評価

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理由の1点目は「評価しづらい」もしくは「気持ちが乗りづらい」という所だと紹介されています。記事では「Out of sight out of mind」=日本語に訳すと「見えないと心に残らない」と書かれています。

以前紹介した別の論文でも「オフィスにいて見えている人の方が、見えてない人よりも昇進評価しやすい」といったことがありましたが、この記事でもまさにこういった要素があると指摘しています。

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記事は以下の様に続けます。米国の62%の管理職は、「フルタイムリモートの人はキャリアにとって不利な影響がある」「リモート組の人は出社君よりも他の人への変更が簡単だろう」と考えてしまっていると。

リモートで実際に業績を上げて働いるAさんより、業績はたいしたことないが出社して頑張っている様子が目に見えるBさんの方を評価したいという方向性、気持ちになってしまうのが偽らざる本音ではないかと紹介されています。

理由2:管理感

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理由の2つ目は「管理感」です。これは指摘に抵抗感を感じてしまう方も多いと思いますが、「対面だとコントロールしやすい」と感じているということです。

今回紹介されているのは、とあるエンゲージメント系の会社を運営しているCEOの言葉です。当然オンラインでもマネージメントをしようとする訳ですが、リモートマネージメントは難しい、コントロールしているような印象にならないと言っています。記事は、実際に出社して相手が働いている様子を見ることで、コントロール感や管理感というのを得ることができ、こういったものがリモートでは感じられないので戻したいと思っているということを考察しています。

理由3:存在感

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理由の3つ目は「存在感」です。これも上司側の方としては、さらに指摘されたくない点かも知れませんが、出社して様々な会議から会議へ歩き回ってアピールすることによって重要人物だと思われていた、また、上座や立派な机に座ることで偉く見られていた、こういう「重要人物であると思われる機会を逃す」のでないかと心配しているということです。

類似の笑い話があります。リモートが始まって、日本の企業からZoom社に様々な問い合わせがある中で、「会社の中での役職順、偉い順にZoom会議の表示順を変えられないか」という相談があったそうです。

偉い人は、これまでは会議でも上座にドシンと座って存在感を示すことができていたが、リモート会議になると全員同じ画面の割合で、むしろ端の方に映ったりして偉く見えないと。

記事では、上席の面々はこういったことが嫌なのではないかと指摘しています。

理由4:モチベーション維持

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理由の4つ目、これはある意味ポジティブな内容ですが「モチベーション維持」です。ハーバードビジネスレビューの調査で、41%の管理職が「長期的にテレワークをするとモチベーションが下がるのではないか」と懸念していることが紹介されています。

理由5:生産性

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理由の5つ目は「生産性」です。 とあるCEOの話として、「確かにリモートでも仕事できるが、議論したりクリエイティブなプロセスにおいては、1つの場所に集まって仕事をすることに勝るものは無いのではないか」という意見が紹介されています。この様な理由でオフィスワークに戻して行きたいと考えている人も一定数いるということです。

これに関しては様々な研究で立証されていますが、「リモートではモチベーション維持や生産性が下がる」ということはファクトが無く、事実とは言えないとされています。反対にリモートの方がむしろモチベーション上がっている、生産性も下がっていないという研究結果も多数示されています。

しかし、上司視点ではまだまだこういった懸念が根強く残っているということです。

考察

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以上の記事の内容を踏まえて、私の考察を紹介させて頂きます。

まずメンバー側としては、上司が今挙げたような様々な不安や懸念があるという事を理解する必要があると思います。「見えないと不安」「 印象に残らない」「管理できてない感じがする」「存在感が発揮できていない感じがする」「モチベーションが不安」「生産性が下るんじゃないか」と懸念していると。

これらを踏まえた上で、「きちんと活躍できてます」「しっかり言われたことをできてます」「生産性も下がっていません」ということの報告や共有を、見えていない分2倍3倍としていくことが必要だと思います。

上司に不安や懸念があることを事実として受け止めつつ、普通にオフィスで働いている時よりも、しっかり良いアピールをしていくことが重要です。これからのリモート社会ではこういった視点とスキルがないと活躍しにくくなってくると思います。

 一方で管理職側に関しては、今後「全員出社」を強要できる時代にはもう戻れないということをしっかりと認識することが大切だと思います。

昨日一昨日と記事やYouTube動画で続けて紹介しましたが、実際に行われた調査で、リモートNGになってしまうと、アメリカで5割、日本で4割が退社して転職することを考えてしまうという結果がでています。これは優秀な人材に長期的に会社に残ってもらい、貢献してもらうためには、リモートという取り組みを完全に失くすことは不可能ということを示しています。

そこで大切なのは、こういった時代になっていることを受け止め、適応するべく自分の印象や先入観で判断するのではなく、きちんとファクトを見て判断する。「生産性下がっている印象があるけど本当はどうなのかな」「この人見えていないから印象に残って無いけど、実際の成績はどうなのかな」というファクトをきちんと見て冷静に判断して行くことです。

会社にとっては、当然ながら出社して生産性が出てない人より、リモートでしっかり生産性を出して貢献してくれてる人の方が価値が高いと言えると思いますので、自分の元々の考えや先入観とファクトや実際のデータを分けて正しい分析や判断をしていくことが大切だと思います。

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