毎日の「オンライン朝会」がテレワークのチームコミュニケーションを向上させる!
テレワークになると、オフィス出社のように「必ずお互いの顔を見る環境」がなくなります。しかし、せっかくチームで仕事をしているなら、仕事はメンバーの顔を見ながらの挨拶で始めたいもの。そのために「毎日のチーム朝会」を行いましょう。
チーム朝会は、始業時に全員で行うオンライン会議
チーム朝会は、オンライン会議でチーム全員が集まる朝の会議です。実施タイミングは始業直後で、時間は 10 〜 30 分程度がよいでしょう。雑談を充分に行うため、長めに時間をとることをオススメします。
朝会の内容を次に示します。
● アイスブレーク
● メンバーのスケジュール・TODOの確認
● 業務の相談
お互いの様子が見えるように、カメラはONにしましょう。
仕事モードへスムーズに移行でき、 雑談・共有の場にもなる
「朝会」というと、やや古く懐かしい響きもあり、人によっては抵抗感があるかもしれません。しかし個人的にはチーム感を高め、コミュニケーションを円滑にするために、重要な取り組みの 1 つだと感じています。
私が顧問をしているメンバーズでも 、2020 年から 1,500人 の社員に対してオンライン中心の働き方にしていくことを発表しましたが、チームでの生産性を下げないためのルールの 1 つとして「チーム朝会を毎日行うこと」を義務付けています。次にその理由を紹介します。
●理由 1:雑談の場になる
朝会として全員がオンラインで同じ時間に集まり、映像・音声でつながることで、テレワークでは作りづらい「直接話をする場」が生まれます。チャットやメールといった文章だけのコミュニケーションと比べて、圧倒的にコミュニケーションが取りやすいといったメリットがあります。
これは、テレワークの課題としてよく挙げられる「雑談する場がない」という課題に対する打ち手としても非常に有効です。
私のチームでは、9 時から 30 分使って毎日朝会を行っていますが、予定がないメンバーはもう少し残る場合もあります。業務に関する確認や相談ももちろんありますが、50% 以上は直接業務に関係がない雑談をしています。この雑談を通じて、新しいアイデアや施策が出ることもよくありますし、各メンバーの近況もよくわかり、各自の状況・関心にあわせた動機づけもしやすくなります。
●理由 2:メンバーの様子がわかる
映像をオンにしておくことで、それぞれの顔が見えます。もちろんカメラ越しなので対面で見るより情報量は減りますが、表情・雰囲気などは映像でも意外とよくわかります。朝会での表情で、あまり表情が芳しくないメンバーがおり、朝会後の個人チャットや 1 on 1 で「表情がちょっと暗かったけど、大丈夫 ? 」といったフォローをすることもよくあります。
テレワークで表情を確認する機会は非常に貴重であり、始業直後に顔を見られる場を作ることが朝会のメリットです。
●理由 3:メンバーの仕事状況がわかる
お互いの仕事状況がわかるとチームの一体感・安心感に寄与しますし、お互いにしっかり仕事をしようという健全な「ピア・プレッシャー」にもなります。ピア・プレッシャーは「同僚からの圧力」という意味です。圧力が強すぎてお互いに監視するような状況は精神的に辛く、雰囲気の悪化につながる懸念はありますが、お互いに助け合うことを前提としておけば仕事を頑張るための健全な後押しになります。
●理由 4:仕 事 モ ー ド へ の 切 替 タ イミ ン グ に な る
在宅勤務だと、通勤・出社という切替タイミングがないため、どうしても仕事モードになりにくいという声をよく聞きます。
『LIFE SHIFT』で世界的に有名なリンダ・グラットン氏も、「在宅勤務をすると、家とオフィスの違いはただ場所が異なるだけではないことに気がつきました。家からオフィスに行くまで気持ちを切り替える儀式のような日課があります。スーツに着替えて電車に乗り、お気に入りのカフェでコーヒーを飲む。こうしたリズムが精神衛生と能力発揮に重要」と指摘しています。(
※ https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00122/061900031/?n_cid=nbpnb_snad_2007_006
また最近では「モーニング・ルーティン」という言葉が流行っています。ルーティン とは「お決まりの所作「」習慣」という意味です。モーニング・ルーティンは「朝に欠 かさず行う習慣」ということです。モーニング・ルーティンとして人気があるのは瞑 想やスケジュール確認などです。これを行うことで、1日のリズムが整い、高いパ フォーマンスが出せるという考え方です。
チーム朝会を毎日行うことは、このような「切替の儀式「」モーニング・ルーティン」 をメンバー全体で行うものとしても有用です。
雑 談 も 取 り 入 れ 、お 互 い を 知 る 時 間 に す る
チーム朝会を効果的に運営していくためのポイントを次に示します。
●メンバーは全員参加にする ●雑談から始める ●時間を短くしすぎない ●カレンダーは全員分を画面共有する ●司会は持ち回りにする ●カメラはONにする
メン バ ー は 全 員 参 加 に す る
朝会は、任意参加ではなく、全員必須にしましょう。一部のメンバーしか参加しな い朝会では、共有内容の食い違いが出ますし、コミュニケーション量にも偏りが出 てしまうだけでなく、非参加メンバーの様子もわかりません。
雑談から始める
朝会の価値の 1 つはコミュニケーションの機会をつくることであり、テレワークに おけるコミュニケーションとして不足しがちなものが雑談です。そのため、朝会は 業務連絡から始めるのでなく、雑談から始めるとよいでしょう。
私 の チ ー ム で は 、 か な り 前 か ら 朝 会 の ス タ ー ト は「 G o o d & N e w 」と い う 取 り 組 み を行っています。
「 G o o d & N e w 」は 、 2 4 時 間 以 内 に 起 こ っ た 良 い こ と・ 新 し い こ と を 一 人 ひ と り 発 表タントの神田昌典氏が『成功者の告白』という本の中で、チームビルディングの手法の 1 つとして紹介しているのを見て、私もそのまま会社に取り入れました。
一見単純な取り組みですが、次の利点があり、朝会のスタートにはもってこいです。
●発表者が良いこと・新しいことに気づきやすくなる(物事を良い方面で捉えや すくなる)●良いこと・新しいことなので、聞いている側の気分がよくなる ●発表者のプライベートの状況がわかり、発表者への関心が高まる
『 1 兆 ド ル コ ー チ 』に お い て も 、「『 旅 の 報 告 』か ら 始 め る 」と い う 節 で 、 非 常 に 近 い 内 容が紹介されています※。
「楽しい職場環境が高いパフォーマンスと相関している「」そうした環境をてっとり 早く生み出すには、家族や楽しいことについて話す(学者の言う「社会情動的コミュ ニケーション」)のがいちばん「」一人ひとりが自分の体験を語り、人間同士として交 流するというこの単純なコミュニケーション手法は、じつは意思決定を改善し、仲 間意識を高めるための手段」
※ エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル 著、櫻井祐子 訳『1兆ドルコーチ シリコンバレー のレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え』(ダイヤモンド社、2019)pp.78.
私が経営していたポップインサイトでは、社員数が 30 人を超えるまでは毎週月曜
日に全員でこのGood&Newをやっていました。全員の発表が終わるまで 30 分ぐらいかかってしまいますし、全員の時間を使うためかなり大きな投資でしたが、チー ムを横断してメンバー理解を深めるための重要な取り組みと位置づけて行ってお り、その効果は非常に大きかったと思っています。
さすがに 30 人を超えてきたタイミングで、一人ひとりの発表時間が限定されてし まうため、6 人 1 組程度に分けて行うようにしましたが、今でもこの取り組みは続 いています。
時間を短くしすぎない
朝会は、単なる業務連絡の場ではなく、雑談の場であり、相談の場です。10 分な ど時間設定を短くしすぎると、その場で気になることがあっても、時間が気になっ て発言しづらくなってしまいます。時間は 30 分程度とゆとりを持ち、「なんでも相 談して大丈夫」という雰囲気をつくることが重要。
カレン ダー は 全 員 分 を 画 面 共 有 する
朝会は、各自の業務状況を共有する場でもあります。業務状況を可視化するため に有効なのが「カレンダー」で、朝会ではこのカレンダーを画面共有して確認する とよいでしょう。
カ レ ン ダ ー 表 示 を「 日 」に す る と 、 以 下 の 画 面 の よ う に 各 自 の 1 日 の 予 定 が わ か り や すく表示され、これを確認していくだけでも状況がよくわかります。
【画像】
また、朝会で予定を共有するということは、前日・始業前には予定が決まっている 必要があるということで、仕事の段取りを事前に考える訓練にもなります。
司 会 は 持 ち 回りにする
朝会の司会は、マネージャーだけでなく、チームメンバーが持ち回りにするとよい でしょう。 マネージャーが毎回仕切ってしまうと、各メンバーは「自分の番だけで話せばよい」 という姿勢になりがちです。毎日持ち回りで司会を行うことで、オンライン会議で の仕切り・画面共有などの練習にもなりますし、朝会への参加意識が高まります。
カメラは O N にする
朝会では、カメラはONにし、顔を出すようにしましょう。顔が見えることは、コミュニケーションにおいてとても重要です。顔を見ることで親近感は高まりますし、また表情から察することができる情報も多い。
映像があることで、話が聞きとりやすいということもあります。
心理学では「マガーク効果」という現象が知られています。「バ」という音声と、「ガ」と言っている映像を合成すると、「ダ」という別の音に聞こえる、というものです。人は、単に音声だけで言葉を認識しているのではなく、表情や口元の動きも含め て言葉を認識していることを示した実験結果です。
カメラをオンにすることには「化粧をしたくない「」服装が乱れている「」家の様子を 見せたくない」などさまざまな抵抗を持つ人もいます。しかし、オフィスに出社し ているときに、同じような理由で全面マスク・ボロボロの服装で出社する人はいな いはずです。 現場レベル・同僚レベルでは指摘しづらいことでもあるので、カメラをオンにする ことは全社ルール・チームルールとして、その上で「抵抗感のない映り方」を考えて もらう方がよいでしょう。
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