【警鐘】リモート監視ツールは導入されてしまうのか!?|世界の最新テレワークニュース
テレワークに関する日本であまり知られていない世界中の最新ニュースについて、その要点&考察をお届けする「世界の最新テレワークニュース」。今回は、Yahoo!finance(英語版)のリリースである「Remote Employee Monitoring: Pros, Cons, And How To Do It Right」という記事に基に、「リモート監視ツールは導入されてしまうのか」というテーマで論点と今すぐ使える対策について解説します。
今回のテーマは「リモート監視ツール」です。 従業員視点では基本的に監視されるのは嫌かなと思いますが、企業がどういう理由でリモート監視ツールの導入を検討しなくてはいけないのかを知っておくことは、自分自身が、働く側マネージャー側のどちらであったとしても、「どうすれば導入をしなくても良いようにできるのか」「監視ツールがなくても、うまく進めることができるにはどうしたら良いのか」などを考える上で非常に重要だと思いますので、ぜひ紹介したいと思います。(元記事は英文ですがとても興味深い内容になっています。ぜひこちらもご覧ください)
▼今回の内容は以下の動画でもご覧頂けますので、ぜひご覧ください!
●リモート監視ツールの導入は進んでしまうのか!?
まずは今回も、記事のサマリーを日本語訳したものから紹介します。
・ガートナ社調査では2020年5月は20%の企業がリモートワーク監視ウェアを導入
→PC画面を写真で取る
→キーボード入力を追う
→時間管理 など
・なぜ監視を行うか
→信頼関係
→セキュリティ
→生産性チェック
・信頼関係は、リモートワークが成り立つ必須条件の一つ
●監視ツールのメリット
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・生産性の確認・向上
→勤務時間はどの程度か
→業務に関係のない時間がどの程度あるか など
・正確な稼働管理
●監視ツールのデメリット
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・従業員のプライバシー侵害
・従業員からの信頼不信
●ガートナ社調査では2020年5月は20%の企業がリモートワーク監視ウェアを導入
ガートナという会社が2020年5月段階で調査をしたところによると、大手を中心に約20%の企業がリモートワーク監視ウェアを導入していたそうです。
リモートワーク監視ウエアとは、どういう機能なのでしょうか。記事では、例えばPC画面を自動で定期的に写真で撮って送ったりとか、キーボードでどういう入力をしていて、どのぐらいの時間でどのぐらい入力する力量があるのかを追うとか、もしくは時間管理として、入退室、パソコンのONOFFや業務の開始終了時間を取るとか、こういったことがなされるということが紹介されています。まさに監視と言った感じで、どうしても怖さを感じますね。
●なぜ監視を行うのか
次に記事では、企業がなぜ監視を行わなくてはいけないと思うのか3つのポイントを書いています。
1)信頼関係
1点目の理由は「信頼関係」です。従業員がきちんと仕事していないのではないか、サボっているのではないかということから発生すると言っています。
2)セキュリティ
2点目の理由は「セキュリティ」です。リモートワークにおいて、情報流出や、外部の怪しいメールに非常に重要な機密が送られてしまって漏洩してしまったら大変という観点からチェックをしているということです。
3)生産性チェック
2点目の理由は「生産性チェック」です。 要はどのぐらいの時間で、どのワークが終わったのかきちんと把握することによって、例えばAさんは生産性が高い、Bさんは低いといった形で評価をしたり、クライアントに対して「この時間をかけてこれができました」という説明責任を果たすためにやっていくということです。
特に記事が強調しているのは、「信頼関係」が損なわれていると監視という方向に行きやすいということです。信頼関係というのは、そもそもリモートワークが成り立つ必須条件の1つであると。「そもそも信頼関係がないと、遠く離れていてきちんと仕事ができるという風に思うことは難しいし、損なわれると厳しいですよね」といったことが書かれています。
●(企業目線の)監視ツールのメリット
記事は次に、企業が導入する上の監視ツールのメリットに触れています。
1)生産性の確認向上
勤務時間がどの位か、業務に関係ない時間がどの位かを正確に把握することで、正しい生産性である、「この時間に対してこういうアウトプットができた」ということが正確に分かるということです。
2)正確な稼働管理
特にこれは、クライアントワークをしている会社に必要な要素として紹介されています。クライアントワークは、例えば、クライアントとの間で、「100人エンジニアがいて、1人がひと月当たり160時間働けます。1か月当たり100人×160時間で1.6万時間働くことができます」ということを話し合っているとします。ところが、実際は従業員がさぼっていて、100時間分しかできていませんでしたとなってくると、企業はクライアントからの信頼を損ねる訳です。監視ツールを導入すれば、そういうことを防ぐために、きちんと稼働しているかどうかをチェックできるということです。
●監視ツールのデメリット
次に記事では、監視ツールのデメリットを紹介しています。
1)従業員のプライバシー侵害
例えばパソコンで何を見ていたかとか、どんなキーボード入力をしたかといったことを全て知られてしまう可能性があると。恐らくテレワークしている多くの方が、仕事時間は仕事で使っているデバイスとは言え、プライベート時間には自分のための私用で使うことが多いと思います。そういうプライベートな使用内容が監視ツールが入っていると丸わかりになってしまうということです。
2)従業員からの信頼不信
従業員からすると、「信頼されてないから監視ツールを導入してるんじゃないか」と思ってしまうと。「企業は全然信用してくれない。我々としてもそんな企業を信頼できないよね」という感じになってしまって、信頼不信に陥ってしまうということが書かれていました。
●「信頼関係」の有無が監視ツールの導入を大きく分ける
以上の内容を踏まえての私の考察ですが、やはり「信頼関係」があるか無いかが監視ツールの導入を大きく分けると思います。
信頼関係があっても、もちろんきちんとタスク管理やプロジェクトの進捗を可視化する必要はあります。しかし、信頼関係があれば、全部を可視化する必要はなく、監視する必要まではないという方向に行ける可能性が大きいのではないでしょうか。
信頼関係があるチームは、監視までいかない、「目標管理」「成果管理」「アウトプット管理」の方向に行き、信頼関係がないチームは、過程を細かく監視して、しっかりチェックして行くという感じになるのではないかと思います。
私は、信頼関係というのは、アウトプットだけではなくて、過程をきちんと示していることによって成り立っていくものだと考えています。
上司からすると仕事を任せた時に、「ちゃんとやってるのか」「出来ているのか」「どこで詰まってるのかわからない」など多々不安になります。 そこを従業員が自主的にきちんと中間報告で共有をしたりとか、細かく相談をしていくことによって、「きちんと仕事してくれているな」という風な信頼が成り立っていくと思うのです。この様に、1人ひとりが信頼関係が作れるようなリモートコミュニケーションを自主的に実践することによって、それが積み重なって信頼関係が築くことができ、さらには監視ツールなど必要ないという論調になっていくのではないでしょうか。
私のnote記事やYouTubeチャンネルでは、そういった信頼関係を築くためのリモートコミュニケーションの方法を具体的にお伝えしています。ぜひ皆様のビジネスにお役立て頂ければ幸いです。
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